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「現状分析と対抗戦略」討論欄

資本制社会の展開を自然法則のように見るぺきこと

2011/11/6 菅井良

 妙な題をつけてしまいましたが、以前なら唯物史観とか史的唯物論といえばだいたい通じたのですが、今は、共産党に関心をもつ人でも(党員でもというべきかもしれません)その認識を前提できなくなってますので、あえてこうつけさせてもらいます。

 資本主義世界体制は、新たな危機の時代に入っています。うちつづく恐慌に近い不況で、世界の国家指導者たちは、対策のための会合を繰り返してやり、さまざまな介入をしていますが、いつ、それらが破綻してもおかしくないような状況です。

 資本主義の世界的な危機は、過去に二度あり、二度とも世界戦争となりました。第一次世界大戦と第二次世界大戦でした。今回が三回めということになります。
 すでに新たな戦争の時代への徴候が現れています。
 アメリカがアフガニスタン、イラクに戦争をしかけ占領しました。
 リビアでも、ヨーロッパ連合が、所属各国の反対を押し切って、内戦の一方に加担するという形でイギリスフランス軍中心の介入を行い政権を倒しました。
 日本でははけ口がないため、鬱屈した排外主義は中国や朝鮮への敵視をつのらせ、再軍備、改憲、中国との戦争を求めるような潮流が強まっています。

 これらは、それぞれに表面的な事情は違いますが、本質的に危機の時代を戦争でのりきるという、資本主義の自然(さが)の現れです。第二次世界大戦時になぞらえるなら、日本の満州侵略のようなものです。第二次世界大戦においては、アメリカなどは、むしろニューディールなど国内の開発事業によって需要をふやすやり方だったのですが、今回はアメリカにはその余裕はないようです。
  日本へのPTT参加の要求も、アメリカが自国の経済危機への対策として、直接軍事占領ではありませんが、結果として日本への輸出を増大させる意図でされていることは識者の論じている通りです。野田首相は、参加すると独走していますが、これは、リビアのカダフィがやったのと同じ屈服方針です。何年かのちには、日本は事実上アメリカに併合されたも同じようなことになってしまうでしょう。

 資本主義が自らの通常の装置(市場、自由?競争など)では、いかんともしがたい全般的な危機に陥りつつあるのですが、そうなると、自然法則のように、戦争、帝国主義的再分割の方向が生じてくるということです。国連は国際連盟よりははるかにしっかりした組織ですので、むき出しの戦争の形をとることをある程度防いでいますから、形態は同じではないでしょうが。今後どうなるかはわからないと思います。

 また、危機の時代には革命の時代であるというのも、自然法則のようなものです。すでにエジプトで革命が起きました。これは進行中で帰趨は予断を許しませんが、その世界的な波及は、アメリカにおける占拠闘争に及んでいます。(この戦術は数年前の日本の派遣村からインスパイヤーされたという噂もあります)一度も革命を経験せず、従順であった日本の諸民も、未曽有の原発事故を前に、立ち上がりはじめています。
 これらの世界的同時多発的な現象は、資本主義の危機に対する、戦争とは違う、もう一つの自然法則のようなものです。

 これらの現象は各国内では、社会の変革、、国家や資本の横暴の制限を求める運動と、ファシズムにつながる排外主義の運動を生み出します。いずれも現存政治体制に不満を持ちますし、諸民、貧乏人が加わっていることでも同じなのですが、解決の方向が違います。
 たとえば、第二次世界大戦の前の危機の時代には、ドイツのナチスは、第一次世界大戦で負けたため禁じられていた再軍備への道を進みます。軍がないので、突撃隊のような諸民を組織した武装集団を作り上げ、彼らに国家の警察、軍事的役割を与えることによって、失業を救済しました。今のネット右翼も今自分たちのやっているようなことをやって給料を貰えるなら、もっとやる気を出すと思います。ただ、ナチスはその後突撃隊を切り捨て粛清します。政権につき、大資本の支持を受けるために、労働者的な要素は切り捨てられてしまうのです。そして、国内ではホロコースト、国外へは侵略、戦争をつづけることに進んだのです。ドイツでも途中まで、社民党や共産党や労働者の運動も並行して発展しましたが、陰謀により壊滅させられてしまいました。日本でも、今小沢一郎などへの陰謀攻撃が行われています。

 社会の本質的変革によって危機を克服しようとする道(「革命」の道)と、戦争によって危機を克服しようする道(「帝国主義」「ファシズム」の道)が並走、対立する、これは危機の時代においては、その具体的な展開や現れは観察してみればさまざまですが、自然現象のような必ず起こってくる出来事です。

 かつての共産主義者の用語でいえば、「革命と危機の時代」の到来ということです。
 長く続いていた安定期とは異なって、新しい情勢においては、それに応じた新しい戦略、戦術、組織そして理想が組み直されなければなりません。また、路線論争も必ず起こりますし、必要なことです。ここ、「さざ波通信」という場も例外ではないでしょう。

 「現状分析と対抗戦略」討論欄で原さんと、丸さんの議論がその始まりになるとよいと期待しているこの頃です。