2012年4月1日付けのさつき氏による『櫻井智志さんの「福島原発の
根本問題」へ』を拝読した。子どもたちの内部被曝などが与える恐るべき後遺症
を免れるために、避難を要請して、裁判所から敗訴の判決を受けたことについ
て、さつき氏からつまびらかにしてほしいという要請があった。今回は、その事
実を、すぐれた集団【映像ドキュメントcom】による「ふくしま集団疎開裁
判」についての資料を援用して、さつき氏の要請に応えることとした。すべてを
転載したのでなく、重点的に引用したことと、原典には豊かな映像があるので、
ぜひリンクを参照していただければ幸いである。
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*映像ドキュメント・com
http://www.eizoudocument.com/0632sokaisaiban.html
福島原発事故から3カ月半後、子どもを放射線から守ろうと郡山市で「ふくし
ま集団疎開裁判」が始まった。14人の子どもが原告となり2011年6月24日、福島
地裁郡山支部に「空間放射線量が年間1ミリシーベルト以下の安全な環境で教育
を受けられるように避難すること」を申し立てた。
しかし福島地裁郡山支部は2011年12月16日、「100ミリシーベルト未満の放射
線量を受けた場合の癌などの晩発性障害の発生確率に対する影響については、実
証的に確認されていない」などとして却下した。
法律は一般公衆の被曝線量限度を年間1ミリシーベルトとしているのに、法律
を守るはずの裁判所が100ミリシーベルトまではいいという。裁判所とは法律に
もとづき、人権を守るためにあるのではなかったのか。
原告は2011年12月27日、異議申立(即時抗告)を行い、2012年2月26日にはこ
の判決の不当性を問う世界市民法廷を開催した。
この裁判を契機に結成されたのが、「ふくしま集団疎開裁判の会」である。ふくしま集団疎
開裁判の会には、関連資料などが詳細に銘記されている。
世界市民法廷にあたっては、ノーム・チョムスキーのメッセージも寄せられて
いる。
・ノーム・チョムスキーさんの支持・支援表明
・ノーム・チョムスキーさんから「世界市民法廷に向けて」
この世界市民法廷については、関連する映像が整備されている。
ふくし
ま集団疎開裁判~子どもの被曝をめぐる判断を問う OurPlanet-TV
市民世界法廷(東京法
廷・前半) OurPlanet-TV
市民世界法廷(東京法
廷・後半) OurPlanet-TV
「世界市
民法廷」記者会見 2012.2.17 Independent Web Journal
2012/02
/26 ふくしま集団疎開裁判 世界市民法廷<東京法廷> Independent Web
Journal
世界市民法廷について主催者側が、以下のように述べている。
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福島第一原発の事故が起きてからもうすぐ1年。福島での出来事はあたかも収束 したかのように、新聞でもテレビでもあまり報じられなくなってきています。
一見すると日常が戻ったかにみえる福島市や郡山市などの原発周辺地域。とはい え放射線量は高いままで、郡山市の線量を1年間で概算すると年間5ミリシーベ ルトを超えています。年間5ミリシーベルトというのはチェルノブイリ原発事故 の場合の強制避難区域にあたるのです。
ところが郡山市ではこういった状況下でも、通学区域にそれより高い線量のとこ ろがあっても子供達は普通に通学し、部活も再開されています。
「ふくしま集団疎開裁判」は、郡山市の中学生14人が郡山市に対して安全な場所 での教育を求めて起こした裁判です。それに対して一審は政府の「冷温停止宣 言」とともに申し立てをしりぞけました。こうして今でもほとんどの子供は転校 も本当に安全といえる環境を保障されることもないまま、かつてのように学校に 通っているのです。
私たちは、郡山市の現状と予測される未来、そして裁判がどのようなものだった のかを陪審劇で再現し、当日参加してくださるみなさんと、もう一度この裁判に ついて考え直す機会を持ちたいと思っています。
福島の問題を、福島だけの問題にすることなく、一緒に考えてみませんか?私た ちの住む世界を少しでもよくしていくために、一人でも多くの方の参加をお待ち しております!
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世界市民法廷は、既に終えているが、以下のような内容の法廷であった。
日時:2012年2月26日(日)12時半開場、1時スタート、16時半終了
会場:日比谷コンベンションホール(千代田区立日比谷図書文化館地下1F、
旧・都立日比谷図書館) 丸の内線・日比谷線・千代田線「霞ヶ関駅」C4・B2出
口より徒歩約5分
定員:先着200名
資料代:一人1000円(ただし福島県在住の方、福島県から避難されている方は無
料)
プログラム:
第1部
ふくしま集団疎開裁判とは?、世界市民法廷陪審劇(約1時間)
第2部
ゲストによる討論 、大江健三郎(作家)、メリー・ジョイス(ピースボー
ト)、上杉隆(ジャーナリスト)、生井兵治(元筑波大学農林学系教授)、野中
ともよ(NPO法人代表)ほか
第3部
市民法廷参加者同士での対話、意見交換
主催:ふく
しま集団疎開裁判の会
協賛:日本環境法律家連盟(JELF)、グリーンピース・ジャパン、原発訴訟弁護
団、チェルノブイリ子ども基金、原発はいらない屋久島の会
お問い合わせ:光前法律事務所 03-5412-0828
※郡山法廷は、2012年3月17日(土)午後1~5時、郡山市男女共同参画セン
ター(さんかくプラザ)にて
世界市民法廷ガイドブック(総集編)
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以上で、さつき氏からの質問に応える作業を終える。ただ一点だけ。さつき氏 は、私の前回前々回の対米従属による重大な問題と、それに解決できる変革主体 としての統一戦線については、その意義そのものの原発事故にも関わる重要な意 味合いを認めてはいらっしゃらない。さつき氏には氏なりのお考えがあってのこ とと了解しうるので、以後その点については、さつき氏と討論する必要がないと 認識した。今回の重要な裁判について、私がまなぶ機会を与えてくださったこと を、さつき氏に感謝して、この稿を閉じる。