もう少し状況の展開を見てから投稿すべきかもしれませんが、試論として、さ ざ波参加の方々に提示したいと思います。悪文になってしまいました が、ご容赦ください。ご意見、ご批判をいただければ幸いです。
原子力発電の再稼働反対の抗議は激しくなっている。22日には、主催者発 表で四万五千人余、警察発表一万一千の諸民が、首相 官邸前で抗議の 声を上げた。このことは、六十年安保闘争以来のことであり、画期的であること は、いろいろな人が言っている。
しかし、民主党野田総理とその側近たちはそれに耳を傾けることはない。
なぜなら、今、諸民の利害に逆らって、消費税値上げ、 原発再開を断
固としてやり抜くことが、今までの日本の支配システムを持続する唯一の道だか
らである。
その点では、民主党だけでなく、自民党も公明党も日本独占もマスメディアも利
害が共通している。しかし、それはきわめて不安定な解であり、少な
くとも、今までは、あまり実現するとはおもえなかった。
それが、野田という鉄面皮首相の決断と、おそらくはアメリカ国家の強力なサ
ポートが確実にあって、いきなり復活してきた。今や、それらの支配層
は小異を捨てて団結しようと心を決め始めている。
野田が個人的権力欲だけでいすわっているのなら、それほど心配はない。
諸民の不評と、強い抗議で心が折れてしまうことは十分ありうる。
だが、もし自分の総理の地位さえ、その(システムと支配の側の)「大義」の犠
牲に供することができるほどの覚悟が野田にあった場合には、これは
相当きびしいことになる。
一番悪い政局の構図は、小沢後援会に入って、小沢たちを支えているブログ 「反戦な家つくり」の明月さんにより述べられた以下の ようなものか もしれない。
「26日消費税増税法案採決の当日。急きょ両院議員懇談会。その 場で野田が法案通過後の辞任を表明。すかさ ずハト(鳩山)が離党は やめましょうと一席。馬淵あたりを後継に名ざし。」
その場合、打つ手はほぼないことになるだろう。民主はゆるがず、自公は国難 を理由にそれに協力、中間派、小沢グループの動揺分子を回収、小沢 グループは最良でも、きわめて小さな政治勢力として、大政翼賛的な支配層の大 同団結の外に、取り残されるということになる。ネット市民たち(原 仙作氏もその方向で実践されていると想像する)がだいぶん支えているのでそう はなるだろうが、場合によってはそれさえ危な い。
小沢たち、民主内の反増税グループが思いの外優勢であるという感じで大 手メディアが報じているが、小沢派と支持の市民たちを 油断させるた めのようで、危険な感じがする。
再稼働反対派は、小沢派の健闘と、反増税世論と原発反対の流れの中で早 期に選挙ができると楽観しているように見える。10万 人を、とか、も っぱら抗議者の数的動員に力を注いでいるように見える。
小沢たちの抵抗が民主支配に亀裂を生じ、選挙せざるをえないようになる 可能性はもちろんあるわけだが、渡米以来の野田の行動 を見ていると 、アメリカ支持のおすみつきを印籠として、増税慎重派をきりくずしているので はないかという危惧はぬぐいきれない。
再稼働反対の人々の抗議も、数は増えているが、組織されないばらばらの 市民であり、警察の誘導にすなおに従うものであると、 今のところあ しもとを見られている。騒ぎは大きいが、六十年安保の時の自然承認の時のよう に、ひとたび大飯が再稼働してしまえば、指導的市民たちの「挫折感 」と世論の慣れの方向に向けられるとたかをくくっているのだ。
菅井は、今の流れを戦前の経験に比定して、「上からのファシズム」の方
向とみなしている。名前はとりあえず、どうでもよ い。
だが、自民党政権のもとで、支配の核となるような力が見失われていき、新し
く政権交代した民主党に、官僚支配に抗する形での新しい統治能力が生 まれる
ことが期待されたが、それはできず、代わりにアメリカのバックアップで、新た
に支配権力の核になるものが形成されようとしているということ だ。それは今
までの官僚システムを温存するが、民族独立的な要素はほぼ失われる。水戸黄門
の印籠にあたるものが、日米同盟のおすみつきだからであ る。
橋下は、小沢については沈黙を守ってフリーハンドを保ちながら、石原を
政治的後見人として、下からのファシズムの出番に備え ようとしてい
るが、その国政での出番がありうるかどうかは、現在の局面の帰結にかかってい
るだろう。
そして、反原発運動に焦点を結んでいる現在の状況をきちんと分析し、現在ふ
くらみ、方向としてはほぼ敵を正しくとらえているように思える、諸
民の運動の本来持つ可能性に真の名前を与えることのできる勢力が次の状況を切
り開くことになるだろう。
志位氏は、22日の官邸前市民による大飯再稼働抗議に現れて、マイクを とっていた。警官隊の後ろ側においやられてはいたが、 特に高いところ からではなく、一市民と同じところで発言をしていた。その声は「再稼働反対」 の大音声の中でよく聞きとれなかったけれど、その行動やよし、であ る。だが、共産党が十分に力を発揮するためには、まだまだなされなければなら ないことがある。