小沢一郎氏は、7月8日のNHKテレビ番組に出演した。その様子を、NHKは以下のように伝えた。
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NHKの「日曜討論」で、今週、新党を結成する小沢一郎氏は、大阪維新の会を率いる大阪市の橋下市長との関係について、「考え方が一緒の方とは力を合わせながらやっていきたい」と述べ、連携を模索していく考えを示しました。
この中で、小沢氏は今週11日に結成する新党の規模について、「まだ民主党から離党したいという人も、党内に結構たくさんいるので、確定的なことは分からないが50人で船出できると思う」と述べました。
また、小沢氏は大阪市の橋下市長との関係について、「橋下市長も、『いわゆる統治の仕組みを根本的に変えなければ、この国は本当によくならない』と言っている。私も、ずっとそのことを主張し、中央集権の霞ヶ関支配から、地域主権を作らないといけないと言っており、基本的な考え方は一緒だ。どなたであれ、考え方が一緒の方とは力を合わせながらやっていきたい」と述べ、連携を模索していく考えを示しました。
そのうえで、小沢氏は「自民党の中にも民主党に残っている人の中にも 、志や考え方が同じ人がいるとすれば、自民党や民主党を離れて協力しようというなら否定する必要はない」と述べました。
さらに、野田内閣に対する不信任決議案について、小沢氏は「われわれ40人や50人では、内閣不信任決議案は出せても可決できないうえ、今は民主党と自民党と公明党が組んでいる状況なので、そのことありきで国会運営を進めようとは思わない」と述べ、不信任案の提出には慎重な考えを示しました。
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私は、橋下徹大阪市長が代表を務める「大阪維新の会」の政治行動に根本的に不信感をもっている。大阪市職員に対する相次ぐ労働三権を無視した公務管理行政は、危険なさきゆきを感 じるばかりか、現時点でも教育条例の反民主主義的な要素が多すぎる政治に、その悪政が全国の自治体に及ぶ危険も現実化しはじめてきた。
その橋下氏と小沢一郎氏が、政治的行動をともにする。
田中秀征氏はTBSの日曜朝の「サンデーモーニング」で、小沢氏についてこう述べた
小沢氏は、権力獲得のために、細かい政治の器の中身については別人にも委ねて、ともかくも権力を獲得するために、全精力を注ぐ。あらましそのような意味の発言をなされた。
橋下氏は、日本テレビのバラエテイ番組で人気が出たら、「100億パーセント出馬しない」と直前まで言いながら、大阪府知事選に出馬してトップ当選を果たした。その点では、小沢一郎氏も自民党幹事長を務めた40代の頃から、権謀術策にたけている。
橋下氏と連携して、小沢氏が保守系「オリーブの木」を構想しているようだ。石原等と知事は小沢氏とは組まないことを明言し、嫌悪感をあらわにした。
私はこう考える。小沢一郎氏が橋下徹氏や他の政治勢力と連携して、国会で多数派を形成して、総理になるか他の人物を押し立ててその後見人に収まることはあり得る。 しかし、いま小沢氏が明言している「脱原発」「反消費増税」の二点を、あいまいにしたり没にしたりしていくなら、国民は小沢氏を見捨てていく。
まして、橋下徹氏は一度も国会議員も務めていないし、首長選もたった二度である。
マキャベリストとしての橋下氏をどのように提携していくのか予断は許さないし、橋下氏自身も小沢新党となんらかの共通行動をとるのか明確にはしていない。
私は小沢一郎氏の政治行動には関心を持っている。橋下氏については、どのようなポピュリズムを示そうが、日本の民衆たちの苦悩にいささかも立脚した政治行動は示していないので、今後も維新の会を支持することはありえない。小沢一郎氏が、自らの権力欲を満たそうとするなら、それは一気に表面に出てくる。野田分裂「民主」政権と三党合意政治の自民党公明党には、いささかの未練ももたない。
やはり愚直とも言われそうな社民党や日本共産党の融通は利かないけど、一本の柱が通っている政党は、まともな発言を続けている。労働組合運動が、連合結成前後から右より路線に多数をとられているが、その組織率は驚くほど低下している。左翼政党の支持率も小選挙区制と選挙制度の度重なる改悪で、毎回横ばいか低下しつつある。
それでも毎週官邸前に五万人、十万人と集まり、明治公園や代々木公園には五万人集会、十万人と組織動員でなく、ツイッターやフェィスブック、インターネットなどを使って、民衆は抗議行動を続けている。このような政治的識見をもちはじめた民衆は、菅・野田といった政権の欺瞞を見抜いている。小沢一郎が実際にどのような政治行動をとるかによっては、国民の政治行動は予断を許さない。中南米、中東、アフリカ、フランスなどのように、それは国際的な連動も孕んでいる。福島原発と沖縄米軍基地は、国民を守る政治家の出現をいずれ現実のものとせざるを得ない必然性をもっている。