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「現状分析と対抗戦略」討論欄

前回菅井投稿の再検討

2012/7/21 菅井良

この欄の前回の私の投稿について、以下の点を再検討しました。

 「(原発)再稼働反対の人々の抗議も、数は増えているが、組織されないばらばらの 市民であり、警察の誘導にすなおに従うものであると、 今のところあ しもとを見られている。」

 組織されない、ばらばらの市民であり、警察の誘導にすなおに従うものである

 組織はともかく、ばらばらの市民とはいえなくなったと判断しています。  まず、主催者の注意は、かなりきちんと浸透しているということです。「続けるためには、警察とのトラブルは避けてください」など。主催者は、混乱を理由に30分近く終了を早めたことがあるが、それをツイッターと、マイク拡声、口伝えで参加者に徹底させることができた。終了時刻が絶対なのではなく、主催者の指示にしたがうという規律訓練が行われている。次回の金曜は抗議を休み、その力を日曜の国会包囲に集中させるという決定も、告知、宣伝されている。

 つまり、権力が発生しているということです、「上意下達」の。これは「民主集中制」の発生過程なのです。警察に従うのは、多くの日本の諸民がすでに身体化している規律訓練です。しかし、ここでは、主催者の指示に従う、主催者の説明に耳を傾けるという、規律訓練が行われているのであって、それと同じではないのです。主催者が「30分前だが中止します」といったから、中止しているので、警察がやめろといったから終わっているのではない。主催者が「警察の誘導にしたがってください」「トラブルを起こさないで」といっているから、おとなしい抗議になっているので、警察が言うからではない。 もし、主催者が、今日は30分オーバーで抗議行動をやります、とか、警察のこの指示には断固として戦ってくださいといったなら、そうなる可能性を秘めている、といっているわけです。
もちろん、メディァにとりあげられるようになったので、メディアの宣伝と権力を争うことになるとは思います。これは今後重要になってくると思います。

なお、興味深い点は、共産党もいまのところ、この権力にしたがっているように見えることです。赤旗は、現在まで、主催者の呼びかけ、指示をそのまま流しています。志位氏、原子力問題担当だけでなく、他の幹部も参加しています。外部から批判的な論評をしていません。

 数が力になる、大規模な抗議行動をしなければならないということは、去年阿佐ヶ谷ロフトでおこなわれた共産党・素人の乱の合同イベントでも言われたことでした。その時点では高円寺、新宿で万の単位のデモの組織に成功した素人の乱がそれを実現するかと思われたが、その後、彼らは、杉並・脱原発という、もっと地元に根ざした、猥雑な運動を展開していて、やや方向はちがっています。杉並の有志が官邸前抗議の主催に加わっているという関係はあるようです。

 数への希求に焦点をしぼって、大成功にたどりついたのが、官邸抗議であり、首都圏反原発連合です。主催者たちの、「数が圧力になる」という強固な信念がそれのもとにありました。規律は主としてこの目標の必要から生じている。いまのところ、彼らの成功自体が彼らの威信の源泉になっています。

だが、状況が変わってきたとき、この権力はどうなるのだろうか。解散してしまうのか。つぎのステージへ進めるのか。

いまのところ、警察は、この権力の発生に対し、それほど危険とみなしていないように思われます。あしもとをみている、というよりは、たかをくくっている状態でしょう。

以上は、原さんのこの欄の最新の投稿にあった

「この示威行動は・・・・(中略)・・・参加数の起伏や様々な困難を越えて独自に発展していく内実をすでに持ち始めています。」

ならびに

「国民の決起する広範な示威行動のコア」

という部分に触発されつつ書きました。

さざ波通信参加の方々に、ご検討をいただければありがたいです。