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「現状分析と対抗戦略」討論欄

税制再論とアベノミクス批判

2012/2/13 伊賀篤 40代 エンジニア労働者

 恐らく、誰でもわかる単純な疑問で、よく日本共産党は(今も)…「大企業の 内部留保を賃金に回せば1万円の昇給が可能」…などと言うスローガン言います が、それで恩恵を受けるのは、大企業の社員という中間層以上の所得層だけなん じゃないかという事があるのではないでしょうか?
 これは、一種の「トリクルダウン」説の裏返しであって、単に「トリクルダウ ン」を止めている【内部留保】だけを、実際の企業の財務3表も見ずに、敵視し ているだけの、2流のポピュリズムではないでしょうか?

 労働自由化以降の貧困層の増大が、消費を冷え込ませているという認識があれ ば、積極的に所得の【再分配】について、踏み込んだ提言があるかと言うと、そ れも無い。
(例えば国家主導による積極的な【再分配】である、基本所得保障=ベーシッ ク・インカム制度とか)

 また、アベノミクス批判についても、その孕む危険性についての指摘に【理論 的】に見るべき所は少なく、金融の常識やら、マクロ経済学やミクロ経済学の素 養も無く、ちょうど今、拙ブログの下記記事(※1)で「対話」している様な、 インフレ期待による長期金利の上昇⇒ここ10年間の長期金利が2%以下だった 事による国債を大量に保有する金融機関の含み損の発生⇒国債の日銀の買い支え 期待による市場への既発国債の大量放出⇒国債価格の暴落と政府のデフォルト回 避の為の日銀による国債の買い支えによる大量の市場への通貨供給⇒ハイパーイ ンフレ化(1990年のブラジルの様に)という重大な懸念も、貧困層増大の中 で消費が伸びない状態でインフレだけが先行してもマネーは投資には回らず、良 くてもリーマンショック以前の米国と同じ金融バブルが生じるか、悪くすればイ ンフレだけど不景気というスタグフレーションになるという視座も、機関紙から は見当たりません。
※1:
税制再論とアベノミクス批判 | 伊賀篤のブログ
http://blue.ap.teacup.com/nozomi/139.html

 こういう党中央の「政策」水準の低さ自体を見直さなければ、6中総で強調し ている様に、幾ら対話したって、党は伸びません…(苦笑)
 一体、選挙から何を「総括」したのか疑われます。
(金太郎飴を産んでいる、党内での行動では無く意見での派閥まで禁じた「民主 集中制」についても無反省ですし)

 少しは、下記(※2)のスウェーデンなどでの高成長と高福祉を産んでいる、 未だ日本の製造業には幾らでも成長の目がある成長産業への「産業構造改革」や ら、いわゆる「積極的労働政策」(労働者や失業者への再教育により先端産業へ の労働資源を集中させる政策)への提言ぐらいが出来なければ、国民の日本共産 党を見る目(何でも大企業敵視)は変わらないでしょう。
※2:
知られざるスウェーデンの強さ
~「Mighty Triangle」=「強い経済」「強い財政」「強い社会保障」
~高い国際競争力を有すると同時に、所得再配分により格差も小さく
http://www.jri.co.jp/MediaLibrary/file/report/other/pdf/5291.pdf

 最後に余談ですが、春闘の時期ですが、ちゃんと自分の勤める会社の財務3表 ぐらいは、読める様になる必要はあるでしょう。
 私の勤務先は、一応(社員1000人ぐらいの中小企業とは云え)東証一部上 場企業ですが、自己資本比率が低すぎる事と、それに比して長期債務残高が多い 我が社は、3年連続の増収増益の黒字予想だが、利益は(恐らく)内部留保して 自己資本強化(設備投資)に回して、今年も株主にも「無配」ではないか?…と 皆が思っているので、賃上げや一時金の要求は去年と同レベルに留まっていて も、職場審議では、誰一人も「反対」が出来ませんでした。
 私も組合方針案に「賛成」ではありませんでしたが、組合執行部に「一任」す るから、せいぜい満額回答を取ってくれとしか言えませんでした。
(まぁ、我が社の連合系・労働組合に対して私から「信用」があるかと言えば… 長い歴史の中でストを1回もやった事が無いのを「自慢」しているぐらいなの で…全く無いのですが)