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「現状分析と対抗戦略」討論欄

国会で私人を五分間非難し続けた安倍自民党の裏事情

2012/3/24 櫻井智志

 国会で自民党議員が、評論家孫崎享氏を五分間も使って 延々と批判を行った。かつては外務省国際情報局長の要職 にあったけれど、現在は全くの私人である。
 このように政権権力の与党自民党の議員が、すべての 立法権力をもつ国会という場で、孫崎氏の私人としての 見解を詰問されるような事態は極めて異例であるし、異常 なことである。
 戦前には、国会での治安維持法治安下の質問もあったが、 民主憲法のもとでこのような横暴な権力的事態を見逃すな らば、しだいにエスカレートして、護憲派ゆえに非難され たり、政府批判ゆえに中傷されたりするような蛮行がエス カレートしていくことだろう。
 私はいろいろ考えたが、孫崎氏本人が記している文章が 過不足なく問題の全体像を読者諸氏に伝えるために、全文 を掲載する。それは、この違法的発言は、TPPについて の関連質問であり、孫崎氏は、以下の文中で述べているが、 TPPについての本質的発言も及んでいるからである。

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【以下転載】
孫崎享氏の視点ー(2013/03/22)
「大西英男議員の衆議院での私への批判」
大西議員よ。情けないではないか。
折角、「多く諸先輩のご配慮により質問する機会を与えていただき」 それで、私への攻撃に5分も使うとは、すこしは国政のことを 考えることはないのでしょうか。
私に関して、質問するなら、本ぐらい買ったらどうですか。
そのお金ないのでしょうか。それとも読書は全くの苦手ですか。
 大西議員の質問は動画があるので、これを見てもらえばよいが、 「テレビにだまされないぞぉ」というブログに文字お越しをして あるので、それを見てみたい。
大西議員
「自民党新人の大西英男でございます。多く諸先輩のご配慮により 質問する機会を与えていただきましてありがとうございます。
まず、私はNHK報道の政治的中立性についてお尋ねをしたいと思う。
実は先日、早朝の会議に急ぐために車で移動していたら家内から、 『お父さん大変よ 、今、テレビでTPPはとんでもないという事を やってるわよ 』という事で連絡があった。
私はすぐ家内に録画を録っておけよと言って、帰ってから深夜見たら、 まぁとんでもない。
NHKじゃなくてテレビ朝日、8時からの【モーニングバード】で、 丁度、安倍晋三総理がTPP参加を表明した直後の放送だった。
そこで孫崎亨という評論家、これ外務省出身だが、 この人がTPPというのは『もう交渉の余地はない。決まってるんだ。 今からでは手遅れだ。』
あるいは『これアメリカの国家利益に奉仕する枠組みで、 日本はアメリカの植民地化してしまう。』
こういう事を、メインコメンテーターとしてとうとうとやっている。
それで私は孫崎亨氏の今日までの政治的な発言について調べてみた。
とんでもないんですねー。
これは自らのツイッターや 、あるいはテレビ報道でも言っているが 『尖閣は中国の領土だ』『竹島は韓国の領土だ』こういったことを 主張している。で、これは相当前からで、更に調べていくと、 ナントナントNHKに何回か出演している。
例えば、平成24年9月の【NEWS WEB 24 尖閣や竹島に日本はどう対応する】 というこの大事な問題に、孫崎ウケルさんがメインコメンテイターとして 出席をして、自説を言ってるが、少しトーンダウンしたかも知れない。
その後、ナント今年、平成25年1月、
【NHKスペシャル 2013世界とどう向き合うか】 という、
世界に向けて日本の公共放送であるNHKが基本的な姿勢を示さんとする その番組にもコメンテーターとして出ている。
複数の人たちが出て、違った意見をいう事を妨げるものではない。
しかし、NHKの番組において主たる評論家として、一方的に自己の、、 我々にとっては正確を欠いている複数の人たちが出て、違った意をいう事 を妨げるものではない。
しかし、NHKの番組において主たる評論家として、一方的に自己の、 我々にとっては正確を欠いている、正しい認識とは思えないような主張を 延々と続けていく、こういう事が許されていいのかどうか。
私はNHKの、こうした機会に、率直に見解を伺いたいと思う。」
松本会長
「お答え申し上げます。
ただ今、話が出た領土問題だか、NHKは日本政府の公式見解を踏まえ、 ニュース・番組を制作しており、例えばニュースの原稿でも、 尖閣諸島や竹島に触れる場合には、『沖縄県の尖閣諸島、島根県の竹島』 という形で、日本の領土であることを明確に表現している。
また、この領土問題は国家の主権に関わる重要な問題なので、 今後ともニュース番組できちっと伝えてまいりたい。
NHKは放送法により、政治的公平を求められている。
一方で意見が対立する問題はできる限り多くの角度から論点を明らかにする というのも求められている。
出演者については、色々な論点を紹介する判断の材料を提供するために 依頼をするという事で、報道機関 として放送法の求める 公平・公正・不偏不党という原点を踏まえ考えてまいりたいと思う。」
大西議員
「会長からお答えがあったが、NHKは日本の公共放送なので、 その公共放送において、こうした『尖閣は日本の領土ではない』という事 を発言して、評論家活動を行っている人間が活動しているという事は、 これはやはり諸外国に対して、日本の世論は揺らいでいるのではないか という事を思わせかねない状況がある。
会長が仰るように、言論の自由、不偏不党を守っていかなければいけないが、 この人だけをテレビ出演させて、一方的な意見の表明をさせたという事は 事実なので、これらについては十分注意をしていただきたいと思う。
この孫崎亨さんのこうした一連の評論活動を受けて、
朝鮮日報は『孫崎さんの本を読みなさい。日本人は頭を冷やしなさい。』 あるい は中国も、そうした報道をしている。これは明らかに国益に反する ことだ。
これについては、ぜひ、しっかりとした対応を今後ともお願い申し上げたい と思う。
私は別にNHK嫌いじゃない。テレビを見る7割はNHKで大河ドラマが大好きだ。」
 これについてコメントしておきたい。
 大西議員は国会質問で「、一方的に自己の、、我々にとっては正確を 欠いている、正しい認識とは思えないような主張を延々と続けていく、 こういう事が許されていいのかどうか」と述べているが、 私には領土問題について『日本の国境問題』や『懸賞領土問題』があるが 私の領土問題に関する本でも読んで、如何なる主張がなされているか、 「正確に」理解しているのか。
「平成24年9月の【NEWS WEB 24 尖閣や竹島に日本はどう対応する】という この大事な問題に、孫崎ウケルさんがメインコメンテイターとして出席を して、自説を言ってるが、少しトーン「いるのか。
 この質問のそもそもはTPPに関する発言である。
 『もう交渉の余地はない。決まってるんだ。今からでは手遅れだ。』
あるいは『これアメリカの国家利益に奉仕する枠組みで、日本は アメリカの植民地化してしまう。』という発言をとらえているが、 大西議員という国会議員はTPPについて次の事実も知らないのか。
「USTRによる声明文」
アメリカの主席交渉官でUSTR代表補のバーバラ・ワイゼルは、 TPP参加国がこれまで達成した非常に多くの交渉問題に関する意見の一致に 基づき、本会合において11か国の代表は、残存する問題について 相互受け入れ可能な道筋を見つけ、合意の法文化を進める動きを進展させた。
活発な会期間の折衝や、会合における全参加国が見せた実用主義や 柔軟性の結果、関税、通信、投資、サービス、貿易における技術的障害、 衛生や植物検疫の手法、知的財産、規制の統一、開発やその他の問題など、 多岐に渡る領域において、多くの問題に対する解決を見出すことに成功した。
この進展をもって、関税(customs)、通信(telecommunications)、 規制の統一(regulatory coherence)、開発(development)を含む いくつかの交渉グループは、今後の会合で法的文書に関して再度集まっての 議論は行われず、これらの分野において残った課題は、 合意がファイナルとなる最終ステージの会合で取り上げられる予定である。
このことにより、TPP参加国は、知的財産権、(公的機関の)競争、環境と いった、残った最も難しい問題の解決に努力を集中させることができる。」
東京新聞は「TPP:東京「先行九カ国に遅れ参加の加と墨に交渉権著しく制限 の条件を課した事実を民主党政権時代日本政府が把握しながら公表せずが 分かった。
安倍首相オバマ米大統領との会談を受け 「聖域なき関税撤廃前提でないが明確」と強調してるが加と墨が条件のみ、 日本も約束させられる危険性がある」と報道。
 更に3月9日付読売新聞は「岸田外相は8日の衆院予算委員会で、 環太平洋経済連携協定(TPP)に関し、新たに交渉に参加する国に、
〈1〉合意済みの部分をそのまま受け入れ、議論を蒸し返さない
〈2〉交渉の進展を遅らせない
〈3〉包括的で高いレベルの貿易自由化を約束する――といった条件が 出されていることを明らかにした。」と報道。
 これを見れば、『もう交渉の余地はない。決まってるんだ。 今からでは手遅れだ。』というのは当然であろう。
 さらにISD条項で「企業の利益確保が国内法に優先して、損害賠償出来る」 となれば『これアメリカの国家利益に奉仕する枠組みで、日本は アメリカの植民地化してしまう。』という懸念は当然でしょう。
TPPに関し、
『もう交渉の余地はない。決まってるんだ。今からでは手遅れだ。』という 事実も勉強しないで、『もう交渉の余地はない。決まってるんだ。
今からでは手遅れだ。』と警告する人物を国会という場で糾弾する、 自分の無知をさらけ出しているようでかわいそうな気もするが、 しかし、確実にNHKは私を締め出すという措置をとる。
言論統制をするという行動が起こる。
 いずれにしても国会でNHKの予算などを審議する中で、勉強すれば その人間がどのような発言をしているかが正確にわかるのにそれもせず、 極めて不正確な情報に基づいて、特定人物の出演が望ましくないと 圧力をかけるのは、言論弾圧以外の何物でもない。
 自民党はどの様な理念を持っている党か。少なくとも2010年 自民党綱領は次のように書いている。
 「わが党は常に進歩を目指す保守政党である。
 勇気をもって自由闊達に真実を語り、協議し、決断する」
 多分大西議員は自分の政党の綱領も十分ご理解されていないに違いない。  自由民主党という政党は「自由」が何であるかを自己の国会議員も 理解できないほどの政党になってしまったようだ。

=======引用終了===================

 いまTPP交渉は、福島県など全国巡回で総選挙で「TPPは参加しない」 という旨の公約を行った安部晋三自らが公約違反で自民党内で猛烈な批判に さらされながら、TPPに参加交渉を表明している。
 アベノミクスとよばれる安倍総理の経済政策は、改憲以外の問題で 着々と達成感を国民に味わわせるような手法を用いている。それを権力の 手先のように屈服した大手マスコミの首脳陣が支えている。マスコミの現場 にいるマスコミ労働者たちは良心的な報道や企画を真剣に考えて行動してい る人々もいる。安倍総理は、このようなやり方で高い国民の支持率を持続し ている。このままで行けば、参院選とその前にある東京都議選において過半 数を達成する危険性もでてきている。
 その後は一気呵成に改憲にむかって突進していくだろう。 今でさえ、「国民総背番号制」を「マイカード法案」などと言語感覚を歪め させてあたかも便利なキャッシュカードや便利な鉄道のカード全 国統一のよ うなニュースのあいまにしのばせて、心理的には深層心理に訴えておいて、 「国民総背番号制」を決定してくいくようだ。だがそれ自体がジョージ・ オウエルの管理国家批判小説と同じ世界に日本社会をひきこむ老獪な手立て となっている。
 憲法の条文に対する改憲そのものは後回しでも、手取り足取り絡めてから 国民生活全般が軍国主義的管理社会化を推進していっているのが、安倍政権 の「実体」である。実質的に憲法空間を破壊して、生活空間はとても人権や 平和を主張できないような国民の生活空間をつくりあげることが、安倍内閣 の戦略である。条文改憲だけではない。かつて京都の蜷川府知事は、「憲法 を暮らしの中に」のスローガンをモットーにして民主府政 を推進した。 安倍総理は、「暮らしの中から民主憲法を放逐しよう」という隠れた深層心 理の戦法をとっている。
 だから、安倍自公政権のひとつこひとつの政策を検証し吟味する必要がある。 野党左派勢力は、改憲改憲とひとつおぼえで牽制するだけでなく、安倍政権は 条文改憲をできなくとも、日本社会から「民主憲法の空気」を放逐して、 軍国主義管理社会の空気と入れ替えることを果たすだけで十二分なのだ。 それが実現した日本社会は、安部晋三氏が願うよりももっとファシズムの 濃厚な跳ね上がりの政治家や言論陣、知識人、大学人、社会運動などを醸成 していくことだろう。
 そうして、その一貫として、国会でひとりの私人を名指しで300秒も あることないこと誹 謗中傷し続け、なにも知らないネット右翼を無意識的に 動員し、第二第三の山口乙矢少年が浅沼稲次郎社会党委員長を立合演説会で 刺殺したような、前段階の仕掛けを行ったと言えばわかりやすいことだろう。