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「現状分析と対抗戦略」討論欄

自民党参院選公約の変節

2013/6/21 櫻井智志

 6月20日に、自民党と社民党は2013年7月に行われる参院選の公約を発表した。社民党は、社会党解体後も社会民主主義の政党として護憲を掲げ、国会の議席数こそ次第に議席を減らしている。それだけ日本社会の政治情勢が変わってきていることも背景にある。だが、その政策は日本共産党とともに明確な平和国家としてスタートした戦後日本の革新護憲勢力の理念を掲げている。
 たとえば、以下のようにまとめることができる社民党の公約である。
①憲法  96条「改正」は立憲主義の本質を破壊するものであり、強く反対する。
     憲法三原則を厳守する。
(*憲法三原則とは、戦争放棄の平和主義・議会制民主主義・基本的人権の尊重をさすだろう。)
②原発  再稼働は一切認めず、原発の新設増設は白紙撤回する。
③TPP 国民生活に重大な影響を与えるTPP参加に反対。
④消費税 弱者に厳しい消費税増税を撤回する。
 一方、自民党の公約を同様にまとめると、以下のとおりである。
①憲法  国民の理解を得つつ、改憲原案を国会に提出し、憲法改憲に積極的に取り組む。
②原発  安全と判断された原発を再稼働する。地元の理解が得られるよう努力する。
     原子力技術の輸出支援の体制を強化する。
③TPP 国益にかなう最善の道を追求
④消費税 全額社会保障に使う。
両者を見比べると、どちらが戦後日本の本道を歩く理念か明白である。
さらに自民党の公約には、おまけがある。
自民党公約
●普天間移設  沖縄県内名護市辺野古に移す。
●経済     アベノミクス「三本の矢」を推進。
        GDP成長率を今後10年間平均での名目3%、実質2%の実現
●農林水産業  地域や担い手の所得を10年で倍増。
        2020年に農林水産物・食品の輸出額1兆円を目指す。
●子育て    2017年度末までに約40万人の保育の受け皿を新たに確保。
●教育     大学の秋入学を促進。大学入試を改革。
●選挙制度改革 衆院の比例定数30削減
 自民党は昨年末の衆院選でどう公約したか。
◎原発   原子力に依存しなくてもよい経済・社会構造の確立をめざす。
政権についたらこういう風に政治を行います、という公約が政権についたら、原発公約は破棄します、と言っているのだ。テレビの報道でも原発は専門機関の判断に委ねると言っている。専門機関とは原子力規制委員会をさしていた。福島県自民党公約と、全国に公約した自民党本部の内容は全く正反対なのである。
普天間移設もそうだ。
沖縄県自民党県連の「県外」移設を公約に盛り込む意向を無視して、辺野古移設と打ち出した。
全く国民をばかにするのもほどがある。