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「現状分析と対抗戦略」討論欄

猪瀬都知事の去就・東国原議員の参院議員辞職・今回想定される都知事選の意味

2013/12/13 櫻井智志

東国原参院議員が、参議院議員を辞職した。宮城県知事を務めている間は、見直した。だが、その後の腰の定まらない名誉めあての知事、参議院議員、都知事と標的を次々に変えた行動には、幻滅してそれ以上の関心をもったことはなかった。
 今回もねらいは、私には都知事をねらっていると読む。本人は完全否定しているが、維新の会が一時のブームから人気が下降しているとしても、なにか思惑がなくて、辞職はしないだろう。猪瀬氏が、東京五輪承知に献身的に取り組んだことは認めたい。でも五千万円の金銭の隙だらけの貸借は、決定的な致命傷となるだろう。あれほどの得票を得て、圧倒的に勝利を収めたが、人間一寸先は闇とつくづく思う。

 都議会では、猪瀬直樹都知事に対して、与党格の自民党や公明党、民主党が手厳しい批判攻撃を行っていて、「あれっ?」と最初は想った。しかし、政治の力学から言えば猪瀬氏では、都知事の職務をつとめることはできないと自公与党が見限って、別に都知事候補を立てようとしているのかも知れない。共産党は百条委員会の設置を早くから要求しているが、他の政党が同調していない。いまは都知事選というよりも、猪野都知事の当選に至るまでの「政治献金」的疑惑を徹底的に解明すべきだろう。前回の都知事選は、空前の四百万票も集め、都知事選の史上トップの得票だった。しかし、副知事時代の猪野氏が、それほど政治的力量と都民への人気が圧倒的に高かったわけではない。東京五輪誘致も知 事に当選してからのほうがより熱心で、都民が五輪で四百万票を与えたとは思えない。五千万円ならわかる。業界などに組織的に配布して集票に充てたなら、そのような仮定もあり得ると考える。
 猪瀬氏の代わりの駒を立てることが内々で合意されていたら、東国原氏にお鉢が回ってきたという見方もそれほどお門違いとは言えまい。

 在野勢力は、都知事選を想定して、水面下で準備を開始したほうがよい。来年四月の京都府知事選が国政なみの重要選挙である。東京都知事選がもしもおこなわれるなら、四月よりも早くなる。西日本の京都、東日本の東京。都知事選は、猪瀬直樹氏に対する都議会の動きと都民の世論とが決定することだろう。在野勢力護憲反原発勢力からすると、ご本人が最終決定するこことで外野からまだ時期尚早であるけれども、私は上原公子さんが推薦人の中心となって、「人にやさしい都政をつくる会」の候補擁立運動を見守りたい。前回はそこから、宇都宮けんじ氏が推されてきた。前回都知事選の様子を見たが、宇都宮氏は、今回でも選挙の候補者として適任と考えている。トップダウンでなく、都知事擁立の 市民運動から新たなうねりとなって、国民的共同の東京都版としての候補者擁立が望ましい。
 都知事選や京都府知事選にこだわるのは、中央の安倍自公政権のあまりの酷さに、民意を意思表示する必要が絶対あると思うからだ。国政では、公約もしていない 「特定秘密保護法案」を唐突に持ち出して、衆院で強行採決させ、参院でも強行採決させた。自民党幹事長の石破幹事長の暴言は、指摘されたら謝罪訂正するけれど、意図的に何度も軍事的センスの剥き出しの「軍事オタク」としか思えないような連続暴言の反復である。

 さらに、川崎市長選に「川崎民主市政をつくる会」から立候補して、九万票近く集票して、結果的に天下りの自公民候補を落選させた君嶋千佳子氏は、自らのツイッターで実に的確な安倍総理の問題点をついている。

【「断じて・決して・完全に・あり得ない」が使いにくくなった。嘘つきと思われる!首相9日の記者会見で「知る権利が奪われるとの懸念は断じてあり得ない」「一般の方が巻き込まれることも決してあり得ない」そしてあの言葉「汚染水は完全にブロックされている」】

 まさに安倍=石破コンビの自民党公明党政権の政治とは、野中広務氏、古賀誠氏、片山虎之助氏、小泉純一郎氏などかつて自民党の要職にあった保守政治家ですら、眉をひそめる反対論を力説する暴走政治である。自由民主党をかつての保守政党から、全体主義的排外主義的反動政治推進グループに貶めた。
 このような中央政界の悪政を阻止するためにも、2014年4月の京都府知事選とそれに近く実施されるかもしれない東京都知事選では、秘密保護法制定後も、反対と法案廃棄を求めて全国でうねる国民的なうねりと連動すべきである。そして、国政の暴挙に対する国民的抵抗の意思表示の絶好の機会である。