以前から、全国の選挙開票で、一手に開票作業を請け負っている株式会社「ムサシ」の開票の問題性が指摘されている。詳細は、本澤二郎氏の論考がくわしい。今回紹介したいと思ったのは、元外務省の高官で革新的な評論や著作を世に問うている孫崎享氏が、有料メルマガで発表した論考である。拝読していただいて、そんな馬鹿な、と思われるかたもいらっしゃるだろう。それも結構である。ぜひお読みいただいて、このような指摘もあることを知っていただければ幸いである。
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孫崎享のつぶやき
東京都知事選、桝添獲得票=猪瀬獲得票×0・48%をもう一度考えてみよう
2014-03-09 06:502
(配信がうまくいっていなかったようです)【注:( )内は孫崎氏本人】
1:すでに配信したように、
① 桝添獲得数はほぼ全ての選挙区で猪瀬獲得数のほぼ48%である。
② 石原氏の獲得数(最後の知事選挙)はほぼ0.60である
③ 日の出村、檜原村、奥多摩町 、大島 、利島、新島村等投票数の少ないところ、監視できる所はばらつきがある。
2:何故こう出来たかは横において、人為的操作がなければこの様な現象は起きない。
桝添氏票に0.48かけたものが得票数とされたことは多分間違いない。桝添氏の票は自民公明の組織票だからこういう現象が起こるという論はもっともそうである、しかし、自民党票は桝添200万、田母神に割れた、この中、全ての選挙区で同じように割れるという事はありえない。
3:この現象は投票と言う民主主義の根幹に触れる問題である。多分、この操作を行った人はばれないと思ったのであろう。今後は、操作するのに、もっと巧妙にやるだろう。したがって事実の解明は今しかない。事実があまりに我々の常 識から外れている。日本はそこまでひどくないという思いがある。しかし、事実は雄弁である。人工的操作がなければこうした結果は出ない。桝添反対勢力はいまこそ、この問題を徹底的に調査すべきである。
これは東京都知事選挙だけでなく、全ての選挙につながる。桝添と書いてある%は各々の区での「桝添獲得数÷猪瀬獲得数の%である。同じように石原の下は石原獲得数÷猪瀬獲得数の%である。
桝添 石原
都全体 0.48 0.60
千代田区 0.48 0,66
中央区 0,50 0.59
港区 0,48 0.64
新宿区 0,47 0.61
文京区 0.51 0.62
台東区 0.47 0.60
墨田区 0.48 0.61
江東区 0.50 0.61
品川区 0,48 0.58
目黒区 0,49 0.60
大田区 0.49 0.60
世田谷区 0.49 0.61
渋谷区 0.45 0.62
中野区 0,46 0,60
杉並区 0.46 0.59
豊島区 0.466 0.60
北区 0.49 0.60
荒川区 0.51 0.63
板橋区 0.49 0.51
練馬区 0.48 0.60
足立区 0.50 0.60
葛飾区 0.48 0.62
江戸川区 0.46 0.60
これらの数字を見て、桝添獲得数はほぼ全ての選挙区で猪瀬獲得数のほぼ58%である。桝添と猪瀬は別人格である。さまざまな点で異なりがあろう。区によって所得、年齢層など様々なものに異なりがある。しかし、全ての区でほぼ60%程度と言う結果が出るであろうか。石原獲得数は猪瀬獲得数の%であり、これもほぼ同様の傾向がみられるが、ばらつき度合いはやや大きい。この結果は極めて深刻な意味合いを持つ可能性がある、
この傾向は多摩地区でも続く。しかし小さな村単位になると崩れる。
桝添 石原
都全体 0.48 0.60
日の出村 0.55 0.699
檜原村 0.67 0,86
奥多摩町 0,57 0,53
大島 0,67 0.94
利島 0,78 0,858
新島村 0.69 0.94
選挙関係者であれば、もう少し詳細な関連情報があろう。民主主義の根幹にかかわる問題である。是非何故このような事態に至ったか。検証する必要がある。
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なお、別件であるが、宇都宮健児氏の選挙母体「希望のまち東京をつくる会」は、選挙後の総括をA4サイズで36ページに及ぶ選挙総括の素案を創作して、それを広く市民が検討して意見を求め、それを吸収して総括案をつくり、市民集会を大きな会場で行うとしている。選挙後のこのような総括と広範な検討にゆだねる労作は、日本の民主主義を検証する上で大切な労作である。さざ波通信での批判も意義はあるが、見通し-実践-検証のサイクルで広範な市民の検討を集約する作業は、日本の選挙運動のなかで意義深いと考える。私は全部プリントアウトして目を通した。一本化問題についての叙述には、すべて同意できるとは考えないが、このように批判の遡上にのせること自体に意義がある。宇都 宮氏はいまも「東京デモクラシー」という視点から運動を推進している。その経緯も見守りたいとかんがえる。
以下のリンクから読むことができるので、前文も一緒に掲載する。
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宇都宮けんじ・市民選挙の総括文素案を発表いたしました。みなさんからのご意
見を反映したうえで、希望のまち東京をつくる会としての「選挙総括 (確定
版)」を、3月16日のふりかえり集会で公表します。忌憚なきご意見をお待ちし
ております。
HPのトップページの右下、PDFファイルをダウンロードしてご覧ください。
http://utsunomiyakenji.com/
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民主主義は、批判を欠かせない。疑うことが民主主義の重要な要素であることを、哲学者・思想家の芝田進午氏も力説されていた。読んで不愉快になるような批判も私たちは民主主義を発展させる上で欠かせないことを熟知したいものである。