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2014年4月15日 東京新聞夕刊一面トップ
小泉純一郎(72)、細川護熙(もりひろ)(76)両元首相が、脱原発を目 指す一般社団法人「自然エネルギー推進会議」を設立する。安倍政権が原発推進 路線を明確にする中、学者や文化・芸能など幅広い分野の著名人が参加、脱原発 の国民運動を起こす狙いがある。再生可能エネルギー普及に向けた活動のほか、 今秋の福島県知事選や来春の統一地方選などでの脱原発候補の支援も視野に入れ る。設立総会は五月七日に東京都内で開く。発起人には小泉、細川両氏のほか、 哲学者の梅原猛氏や作家の瀬戸内寂聴氏らが名を連ねる。賛同人には俳優の吉永 小百合氏らが加わる。法人の代表理事は細川氏が務める。
法人は、東京電力福島第一原発事故が収束しない中で、 政府が原発推進のた め十一日に閣議決定したエネルギー基本計画の問題点を訴え、再稼働や原発輸出 に反対を掲げる。設立後、小泉、細川両氏は新潟県や青森県など原発関連施設が ある地域を中心にタウンミーティングを開く予定だ。
細川氏は二月の東京都知事選に「原発即ゼロ」を掲げて無所属で立候補し、小 泉氏が全面支援。約九十五万六千票を獲得したが、三位に敗れた。脱原発票が、 次点となった無所属の宇都宮健児・元日本弁護士連合会長と二分したことが影響 した。細川氏は十五日、本紙の取材に「都知事選で脱原発に期待する声の大きさ を感じた。選挙が終わったからといって、何もしないわけにはいかない」と法人 設立を明らかにした。小泉氏とも相談した上で設立を決めたという。
梅原氏も「地震国であり、悲惨な原発事故を起こした日本が、原発のない社会 を目指すのは当たり前だ。今は稼働しなくても生活できている。政治に影響力を 持つ精神運動として、原発のない社会を国民に根付かせたい」と本紙にコメント した。
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【所感】
小泉・細川氏の脱原発運動をどう見るか。
都知事選で宇都宮健児陣営を支持した都民や国民は、小泉・細川両氏のこの取
り組みを、肯定的には思わない人々がいるでしょう。端的に私の考えを記しま
す。安倍政権が原発政策を全面的に転換させて、原発推進路線に切り替えたこと
に、私は怒りを禁じ得ません。少なくとも小泉・細川両氏は、原発を廃棄し代替
エネルギーとして「自然エネルギー推進会議」を提唱しています。私は、小泉・
細川両氏の総理時代の行政について過去をほじくり返すよりは、現在の原発問題
への対応は、早急に国民的な反対運動を推進していくべきだと考えます。
都知事選は終わりました。この運動を冷静に見守るとともに、反原発運動を少
しでも推進しようとする動きを超党派でも進めて、安倍政権の原発稼働・世 界
中への恥知らずな販売政策にストップをかける世論を拡大すべきだと思います。
先日、長野県上田市の「小宮山量平の編集室エディターズ・ミュージアム」が
主催する「私の大学」第一回を小宮山さんの長女である荒井きぬ枝さんが推進役
となり開催され、聴講に行ってきました。東京大空襲を記録する会の事務局長で
もある作家の早乙女勝元さんが講演をなさいました。講演は東京大空襲と福島原
発事故とを重ねて語っていました。重い雰囲気に耐えきれぬ思いでしたが、それ
が現実の重さでした。
しかし、早乙女勝元さんは大人になった御自分の子どもたちの家族が、全員沖
縄に永住していると語ったのです。東京圏にすむ私たちは、福島は危険だが東京
圏は放射能から安全と思いこんでいます。正 確には思い込みたいと。しかし、
東京の江東区にいた家族を沖縄に永住させた平和運動家の早乙女さんの認識で
は、東京も放射能の危険があり、ホットスポットには高度の放射能が検査されて
いると認識し、ずばり東日本は広範に放射能汚染を免れていないと。
都知事選では小泉・細川両氏への批判と反発は宇都宮健児派からは厳しいもの
がありました。それは私もそう批判されてしかたない要素が2人の元総理にあっ
たと考えます。しかし、都知事選に敗れても、脱原発国民運動をたちあげた小
泉・細川両氏を今度は私は支持します。いろんな批判をぜひお願いします。物質
は運動するから批判や支持を受けて当然です。何もしないか何かをするふりをし
ているだけで、批判を受けるわけがありません。
【補足】
念のために補足する。小泉・細川両氏は、決して革新的勢力ではない。民主勢
力でもない。明確に言えば保守勢力である。保守陣営のなかでさえ、いまの安倍
晋三の行政の未熟で幼稚な手法に、危機感を抱く保守政治家が増えてきている端
的な象徴である。都知事選でマスコミ弾圧・懐柔で徹底的に細川候補の反原発政
策をたたきつぶした安倍晋三総理は、その奇っ怪な取り組みの分だけ、保守勢力
のなかからも批判されている。近いうちに思わぬことで、安倍政権瓦解・引退と
いうこともありうる。それだけ保守政治の内幕は不安定で国民の信頼をうけてい
ない。