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「現状分析と対抗戦略」討論欄

急速に反動化を強める安倍自公政権にどう対応すべきか

2014/5/4 櫻井智志

 憲法制定から半世紀以上たった。定着していた平和憲法が、安倍自公政権によって相次いで変質化させられようとしている。公明党は自民党の暴走を制止するかのような言動を表明し、それに期待をもったことも私にはあったが、とんでもない。すべての反動立法と選挙で、公明党が一度として自民党と対立した候補を立てたこともなければ、土壇場で制止したこともない。公明党・創価学会とは、平和や福祉の装いで国民の目くらまし効果を発揮する補完勢力でしかない。

 日刊ゲンダイは、このようなニュースを憲法記念日に伝えた。

===========================  細川護煕・小泉純一郎の元首相コンビが進める「社団法人・自然エネルギー推進会議」が、GW明けの7日に発足する。当日はフォーラムの形で細川と小泉が挨拶するほか、発起人に名を連ねる著名人のパネルディスカッションが予定されている。その後は全国で“脱原発”のタウンミーティングを企画しているというが、注目されるのは何と言っても「選挙」だ。「地方選挙や国政選挙で独自候補や野党などと連携した統一候補を立てて勝利し、それをきっかけに野党を再編して安倍自民に対抗する勢力をつくっていくのが最大の目標です」(細川周辺)
 まず手始めに取りかかるのが11月の福島県知事選。福島第1原発のお膝元だけに、原発政策を巡って全国注視の選挙となる。ここに推進会議として候補を擁立する計画で、すでに情報収集に入っているという。来年4月の統一地方選でも、知事や市町村長らの首長選挙で独自か統一候補の擁立を図るが、その勝利のウルトラCが小沢一郎生活の党代表との連携だ。
「細川さんは小沢ブレーンの平野貞夫元参議院議員とずっと連絡を取り合ってきた。推進会議ができたら、小沢さんと会って選挙の話をしようと日程を調整しています」(前出の細川周辺)
■情勢や人間関係もすべて把握
 生活の党は「原発ゼロ」だから連携は自然だが、なぜ小沢なのかには、別の理由があるらしい。
「前回の統一選の準備が始まった4年前は、小沢さんは民主党幹事長だったので、全国の首長選挙の細かな情勢や人間関係などをすべて把握しているのです。“小沢選挙”では、独自の世論調査などで選挙の膨大なデータを集めても、やたら公表するのではなく必要な人にだけ見せて<数字がこうだからもっと頑張れ>とやる。表に出していないから誰もそんなデータがあることすら知らないが、今もそのデータを手元に持っている。それで、細川・小泉コンビが選挙を制するため、小沢さんと連携したいということです」(政治ジャーナリスト・鈴木哲夫氏)
 小沢も最近会った「生活」の議員に、「今年中に必ず大きな動きがある。自分は何でもやる」と話したという。“一強”と浮かれている間に、安倍自民は地方から崩されることになる。
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 小泉改革の酷さと細川金権疑惑とから言うと、それほど期待はできない。しかし、安倍自公政権のあまりの超特急の暴走は、まだ小泉・細川のほうが・・・という気持ちになる。小澤一郎氏に私は民主党時代に期待していた。金権政治家と言われても、ダーティな鳩と佐高信氏が評価していたこともよく覚えている。
小澤氏が期待されながら、未来の党、生活の党とじり貧な選挙結果を見てきたせいか、次の選挙でも期待はしていない。それでも、安倍政権に比べれば、保守反動勢力の中で、日本維新の会やみんなの党、結いの党と比べると、これらの保守勢力は今までにその限界がためされ済みである。どうなるかは、日本共産党と市民運動勢力を最も期待しているけれど、福島県知事選、沖縄県知事選との関わりで、東京都知事選、京都府知事選で小泉・細川、小沢一郎諸氏の効果は薄かった。今回はどうか。反安倍勢力を分断する結果にしかならないというケースもある。政治力学はそうとう実態を見据えないと、あいまいな楽観はできない。

 東京都知事選で細川氏と闘った宇都宮健児氏は、都知事選後にも政治運動を続けている。宇都宮氏の護憲と平和を基調とする弁護士としての信念を堅持している。しかし、都知事選の結果は、安倍総理に大きく自信をつけさせ、それ以降の憲法の空洞化、武器や原発の輸出、国民の生活権の破壊政策など目に余る暴走政治は、世界中の懸念を増加させている。政治にもしもという仮定はあり得ないが、都知事選で細川氏が勝利しても桝添要一氏の都政とあまり変わらぬ結果であったかもしれないけれど、安倍総理に与えた打撃はそうとうなものであったろう。自民党町村派の先輩が小泉氏である。安倍総理は、マスコミに脱原発のアピールを一切封じ込もうとした。細川候補を徹底してつぶすために、マスコ ミを駆使した。新聞、週刊誌、テレビと安倍総理が怖れたのは、宇都宮都政の実現よりも、細川都知事実現を徹底して封じ込もうとした。そして細川氏は宇都宮氏にも下の順位だった。けれどもあれだけ牽制しつくしても、細川氏は宇都宮氏とほぼ同じ90万票台に達した。

 安倍政権の集団的自衛権の暴走を阻止する上で、小泉・細川、小沢三氏がなんらかの現実的な対策をもち、彼らが日本共産党など左翼政党や市民運動と提携する道はあるのか?ずばり言えばないだろう。両者とも提携など眼中にあるまい。よく共産党が統一一本化しないと非難されるが、細川氏らもそのような姿勢は皆無なのが実態である。

 このまま行くと、かりに小泉・細川・小沢三氏の提携で統一した候補を立てて、福島県知事選や沖縄県知事選を戦うことはあっても、市民運動、社共政党らとも提携しなければ、おそらく自公政権の押す候補に勝つことはできない。

 沖縄市長選挙では、保守系の無所属新人で前自民党県議の桑江朝千夫氏=自民、公明推薦、そうぞう、民主、維新支持=が革新・中道系の無所属新人で前副市長の島袋芳敬氏=社民、共産、社大、生活推薦=に2189票差を付けて当選した。鹿児島県知事選では、金子 万寿夫氏自民(公明推薦)が打越明司氏 無所属(民主、日本維新、結い、生活の党推薦)を破り当選した。日本共産党の三島照氏は、山本太郎氏が代表の新党ひとりひとりの有川美子氏にも当選ランクひとつ下の第四位であった。

 このような事実を見ると、小泉・細川・小沢の三氏が提携しても、自公候補、共産党候補と三極化して、結局は自公系候補が福島で勝つことがありうると予想される。深刻なのはじりじりと革新勢力を保守勢力が侵食し続けている沖縄県の知事選である。小泉・細川・小沢三氏が提携して候補者を出すなら、生活の党は、革新勢力にはつかない。自公、革新系、小泉・細川・小沢系候補の三極化でやはり自公政権候補の優位さが出てこよう。

 問題はこのような構図にならないで、選挙が活性化して安倍政権系候補に「ノー!!」と結果的にも示すことのできる選挙の構図である。
安倍政権勢力に対して有効な対応策を構築して闘う。そのためには、国民的な闘いのうねりが形成されなければ、実現は難しい。当面、安倍暴走政治に数々の護憲や反原発などの集会で、在野勢力はよく努力している。その願いを現実政治に生かすための海図をいかに描いていくのか。大きく問われている。