◆滋賀県知事選
6月26日告示された滋賀県知事選(7月13日投票)には、元経産官僚の小鑓隆史氏、共産党県常任委員の坪田五久男氏、元民主党衆院議員の三日月大造氏の3人が立候補した。マスコミの中でも良心的な報道の東京新聞でさえ、「事実上、自公が推薦する小鑓と引退する嘉田知事が支援する三日月の一騎打ちとなっている」と報道している。滋賀県は、現知事嘉田さんの意欲的な政治活動で前回の衆院選、参院選で新党をつくり護憲リベラル派を結集しようと試みた。
自公推薦の小鑓氏は、「原発隠し」を徹底している。石川県知事選、京都府知事選と同様に選挙で「原発隠し」を自公系候補が行う。世論は誰でも同じと思い、争点は盛り上がらず、投票率は低く、それが結果としての自公候補の優位となって当選する。このパターンは打破できないのか?
最近の時点で、小鑓氏が「卒原発」の三日月・嘉田連合に10ポイント前後の差をつけていると東京新聞はいう。ジャーナリストでリベラル派の横田一氏も、「きのうの第一声は自民党の石破幹事長と公明党の斉藤幹事長代行が揃って応援に入りましたが、小鑓候補は演説で原発政策にひとっ言も触れずじまい。とにかく経済一本で乗り切ろうという戦略のようです」と伝えている。
ただ東京新聞は、自公の石破・斉藤両氏のそろい踏みが、公明支持者に「逆効果」だったかもしれないと言う。自公の“談合”で進める集団的自衛権の行使容認の閣議決定が、選挙の構図をガラリと変える可能性が出てきているというのだ。
以下は東京新聞記事である。
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「集団的自衛権の閣議決定は間違いなく選挙期間中に行われます。公明支持者にはいまだに反対が根強い。滋賀の創価学会票は5万票といわれます。20万票の争いとなりそうな知事選で、5万票を握る彼らが反発して選挙をサボタージュしたら、結果が変わりかねない。関係者は戦々恐々なのです」(地元記者)
直近の共同通信の世論調査では、公明支持層の7割が集団的自衛権の行使容認に反対だ。さらには、行使の「新3要件」の原案の作成を、自民党の高村副総裁ではなく、実際は公明党の北側副代表が主導していたことを西日本新聞(20日付)にスッパ抜かれた。自公協議の裏側がバレ、公明党内に動揺が走っている。
執行部が閣議決定を急げば急ぐほど、地方議員を中心に公明党内の不満は高まるばかりで、28日に地方組織の幹部を集めた会合を開かざるを得なくなっている。
閣議決定は来月1日とも4日ともいわれる。選挙戦は、まだまだ波乱がありそうだ。
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私はそうは思わない。なんやかんや言っても公明党も基盤の創価学会も、指導部や池田大作氏の言説は貴重な箴言として重んじられているからだ。
結束の固い創価学会・公明党の支持票は、たやすくはばらばらにならないと考える。むしろ嘉田前知事が民主党色の候補者を応援しても、圧倒的な反原発の県民が原発自公与党に打ち勝つだけの風を巻き起こすことができるか否かにかかっている。
◆東京都議会の惨憺
毎日新聞はこう伝えている。
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東京都議会の本会議で18日、みんなの党会派の塩村文夏(あやか)議員(35)が、女性の妊娠・出産を巡る都の支援体制について一般質問をしていた際に、男性の声で「早く結婚しろよ」「子供もいないのに」などのヤジが飛んだ。同会派は、議員席からだったとして「公の場でセクハラ発言を受けた」と反発。発言議員を特定し、注意するよう議会運営委員会に申し入れる。
塩村氏は議長席前の演壇でヤジを浴び、声を詰まらせる場面もあった。質問終了後、報道陣に「女性の気持ちを代弁していただけに腹が立つし、悲しい」と語った。同会派の両角穣(もろずみみのる)幹事長は「6年後に五輪が開かれる都市の議会でこういう発言が出るのは恥ずかしい」とあきれた様子。一方、議運の吉原修委員長(自民)は「聞いていない」とした上で、「(各)会派の中で品位のない発言をしないよう確認すればいいのでは」と述べるにとどめた。
塩村氏は昨年6月の都議選で初当選。放送作家として活動し、日本テレビが放送していた人気バラエティー「恋のから騒ぎ」に出演していた。
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この毎日の報道は問題をはらむ。なぜ「恋のから騒ぎ」に出演していたと女性差別報道を伝える記事に書くのか。週刊文春や週刊新潮もそうだ。塩村都議の自民党による人権蹂躙差別発言が都議会で最大会派の自民党によって野次発言の特定と辞職を求める法案を自公で葬り去ってから、文春や新潮などは「セカンド・セクハラ」とも言われる第2の段階にふみいった。女性が性差別を受けて、それをさらに個人的事情をことこまかに報道して被害者を痛めつける。これが権力と癒着したマスコミの日本型差別報道構造である。
驚くべきことは、都議会でも全国でも自民党など保守政党が圧倒的に多数派をとる地方議会で、まともな議会質問中に、書くに耐えない酷い暴言が全国各地で覧られることをTBSやテレビ朝日の報道番組は特集であきらかにしている。まさに、みんなの党の塩村議員に関する問題は、全国の議会で性差別もそれ以外でも、水面下に出て報道されることはなかったが、あちこちで頻発していたことだ。
国会で安倍政権が自公両党で圧倒的な議席を占めた時には、全国地方議会でも自民党が多数派を占めて、このような議会の破壊行為がおこなわれていたのだ。
選挙で低投票率で、議会の多数派を自公がとりつづけたばかりか、議会の実質的解体が進んでいる。その危険は、さらに四国の高松市のような県庁所在地で、五百票の白票の違法な扱いが国会議員選挙でおこなわれ、当事者が明るみにだし、謝罪するという驚くべき事件がつい最近報道されたばかりだ。
地方も国政も、議会制民主主義は融解してしまっている。この危険にどう対処すべきか。重大な事態が日本列島で起きている。