侵略戦争に文字通り命をかけて反対した日本共産党に所属し活動する者にとって、元号の使用を拒否することや、「日の丸・君が代」の公的使用に抵抗することは、ごくごく自然なことである。それは党員としてのプライドの表現ともいえるだろう。
まわりの活動家を見ても、学齢期の子を持つ親であれば入学式や卒業式では「君が代」を歌わず、「日の丸」掲揚時には起立を拒否し着席を貫くものが多い。こうした行動は、ときには党員自身の誇り・勇気を試されるなかで、今日まで地道につづけられてきた貴重な闘いとなっている。
さて、今回の「日の丸・君が代」法制化策動に対して、われわれ党員はどう闘えばよいだろうか。「全戸配布ビラ」で対話のきっかけはつくったが、いざ具体的行動として「起立拒否」をするような機会は非常に限られている。そこでひとつ、ささやかではあるが簡単で有効な方法を紹介したい。
「公共放送」を名乗り、「放送法」を語って受信料をとるNHK。遵法精神が災いして、無批判に受信料を支払っている人はいないだろうか。ご存じの方も多いと思うが、NHKは毎朝毎晩、放送開始時と終了時に、「日の丸」を画面に大きく映し出し、「君が代」をおごそかに演奏させている。国民世論が賛否に分かれ、自殺者まで出したこの物騒なものを、毎日毎日公共の電波で宣伝をしているのだ。
もっとも「公共放送」や「不偏不党」という言葉自体が十分にうさんくさいということはいうまでもない。しかし百歩譲っても、自民党と社民・共産党とはまるで見解の違う「日の丸・君が代」を、「公共放送」におけるシンボルとして採用することは、極めて党派的である。「放送法」の第1条第2項の「不偏不党」の原則を踏みにじり、その結果、第3項「健全な民主主義の発達」を押しつぶしているのは他でもないNHK自身なのである。この宣伝を続ける限り、NHKに「放送法」を語る資格はないし、ましてや彼らにお金を払ってスポンサーとなる必要などまったくない。もし、なんらかの間違いで受信料を払い続けている活動家がいるならば、さっそく今月分から「うちは払いません」と拒んでみるべきだろう。罰則はいっさいないので、家計にとっても有効だ。徴収員自身も受信料が「私的契約」であることをよく知っているので、はっきりした態度を表明すれば、彼らもそれ以上は要求しないし、できない。私もせっかく足を運んでくれた徴収員と対話をして「日の丸・君が代」問題を訴えたかったが、あっけなく帰ってしまい残念であった。ともかく党員たるもの、不本意なまま党派的な放送局のスポンサーになるべきではない。