地球に住む自分と同じ人々が、一方的な圧力で、虫けらのごとく殺されまくっているときに、フツウに生活している人々がいる。残虐なハイテク兵器、殺虫剤、小型核その他諸々の製造費用は、こうしたフツウの生活をするひとびとの給料から支払われる。同じ給料で、ソフトクリームを食べ、ハンガーバーをたべまくる。
自分と同じ女性、こども、若者、壮年、父親、母親、老人、生活者たちが、塵芥のごとく、一握りの狂人に始末されようとしているとき、それらをテレビで「冷静」に論評するひとがいる。面白おかしく記事にして、飯の種にする人がいる。あるいは、時の権力者の罪業のみに固執して、割引しようとする人がいる。
そんなあなたに、私は問いたい。
あなたがこのときの権力者であったなら、どうしたか。どうできたのか。あなたの目の前に、今、巨大な敵がたちはだかり、あなたを、国民を、国を破壊せんとするとき、あなたは座して死を待つのか。手元にある、あらん限りの武器をもちいて、敵に反撃するのではないのか。
他国の国の歴史の検証を、詳細にやる余裕はないが、人間が、一つの史実、事件を語るとき、当事者の、命を懸けた究極の実情、過程を理解することも必要ではないのか。一つの悪、過去の蛮行を、「侵略、誘導の末の追い詰められた愚行」と私はみた。イラクのフセインのその後の強権・独裁を、「種々の民族の統一を図るための」過程とわたしはみた。評価ではない。理解したまでだ。
そして、今、この国に立ちはだかる、非道な殺戮・凶行を前にして、かつての蛮行を誘導したものの正体が露になったと、確証する。今、再び、大量処刑が進行せんとするとき、被害者の人権を声高にとなえることが悪いのか。今このとき、日米英の加害の割引など、微塵もする必要はない。瀕死に面した人類と国の統治者にむかって、あらん限りの手をさしのべるのが、人間のすることだ。むしろ、暴力と金、利権まみれの狂人を首相にいだいているこの国の脅威を、あなたは考えた方がよい。憲法も教育基本法も踏みにじり、世界の世論・良識さえも、あるいは、日本の世論さえも無視してはばからないこの男を首相にいだく、国民の民度を深くかんがえたほうがよい。フセインの独裁性をはるかにしのぐと私はみる。いま、イラクの民衆を嬲り殺しにしているのは、この日本の政権、これを許しているフツウの生活者の私たちではないのか。
テレビをみよ。食事をしながら、タバコをふかしながら、画面をみつめればよい。もうもうと立ち上る噴煙、おもちゃ箱をひっくり返したような修羅、生きた人間の顔、頭の吹っ飛んだこども、アルジャジーラの真実が伝える一瞬の報道。が、この報道も狂人によって、電磁波爆弾で破壊か。今後、ますます、真実は隠蔽されるだろう。
今にはじまったことではない。アメリカの蛮行は、ノームチョムスキーを紐解くまでもなく、その大国の仮面の下で殺戮パワーゲームをくりひろげてきたのだ。日本は、もっと巧妙に、厚化粧をし、憲法というきれいな衣をまといながら、とうとう、テロ国家にまえなりさがったのだ。そして、わたしたちは、今、狂気の嵐をとめる手立てもなく、今後、何をしようとするのか。