イラク戦「不支持」65% 開戦直後より上昇
いつから「イラク攻撃」が「イラク戦」に昇格したのか。
3月31日付、朝日一面にはじまる世論調査の結果である。前回、確か、国民のイラク武力行使への反対は、7割~8割だったと記憶している(他紙でばらつきがあった)。
米英の当初の目論見がはずれ、プロパガンダも少しほころび、米英の犠牲者もでている今、イラク攻撃反対・戦争反対は、更に増えているはずである。なぜ、65%か。
本文を読むと、そのからくりがわかる。
関連して、小泉首相のイラク攻撃への支持表明については「反対」が前回の50%から53%に、「賛成」は39%から36%になったとのこと。この反対65%と首相を経由した53%との差も意味深である。
賛否の理由 反対は、戦争そのものに反対が7割、米国の主張に説得力がないが2割。賛成は、北朝鮮問題で米国の協力が必要が6割を占め、「米国は同盟国」が3割。日米同盟があるから、といわないのか。
質問の誘導にもよるのであろう。今回は、質問事項がきちんと掲載されていないから、推測しかないが、結局、賛成派は、形骸化された「日米同盟」と日米のプロパガンダ上の「北朝鮮脅威」を、その理由とする。小泉のセリフを踏襲していることもまた然り。仮想敵国をつくり、戦争経済にたよってきたアメリカの属国にまことにふさわしい日本の民度である。
それにしても、賛成派の人は、本当にいざとなったら、米国が守ってくれるとおもっているのだろうか。「イラク戦争」後の復興事業の利権も、一部はイギリス、米国大企業がほぼ独占ときまった。日本は、後始末だけさせられるということが、まだわからないのか。
自分の顔を鏡で見てみろといいたい。私たちは、アジア人である。中東の人たちと同じ、有色人種である。事実から眼をそらしていては、真実はみえてこないのではないか。朝日の編集局も、通り一辺のアンケートや、国に媚びるようなものではなく、独自のスタンス、平和と共生に導く視点があってもよかろう。
他4面、「北部攻防、どう動く」は、イラク北部南部の戦線を伝える内容だが、中央を占める大きな写真は、「両親どこへ」とタイトル。「イラク中部で、イラク人のおんなのこを抱きかかえる米海兵隊の軍医、激しい攻激によって混乱する前線で、イラク人一家が離ればなれになった=ロイター」とキャプションがつく。
この地に侵略攻撃したのは、どこのどいつか?この軍医のみを槍玉にあげるつもりはないが、侵略側であることは、事実。侵略後の悲惨をまるで災害のごとく書き、慈悲深い米海兵隊を印象づける狙い。
そして、左には、英首相の処刑発言に、遺族「うそつくな」の記事。「英兵二人がイラクに処刑された」とするブレア首相の発言が捏造であることを遺族が怒りの告発。私は、この件でも、朝日の新聞記事のまやかし、垂れ流しに違和を感じていた。掲載は朝日の良識とみるが、垂れ流しの責任をきちんと釈明するべきではないか。
繰り返す。アフガン攻撃でも、そうだった。戦闘は今も続いているが。しかも、更に、激しく。
この国に流れている情報の99%は、アメリカ発のプロパガンダ、米国製のフィルターを通して入ってくる。これが基本である。
11面、「生中継にも情報操作の危うさ}と題して武田徹さん(戦争報道著者)のインタビューを掲載。
湾岸戦争時、多国籍軍(なぜぬかすのか)が、イラクへの武力行使に踏み切った(議会が決議と表現)きっかけは、イラク兵の残虐性を捏造したイラクのクウェート大使の娘の証言だった。
この戦争とは何か、世界史や人間とは何かということを踏まえて報じられることが非常に少ない。・・戦争では情報操作や得られる情報が限定されることから、事実の報道だけでは、戦争の本質がわからない。情報を統合し、戦争の意味そのものを思索していく解説や論説がひつようだ。・・・事実報道の限界をわきまえ、事実と思索から戦争をとらえようとする編集姿勢が臨まれる。
ーー久方ぶりに真摯なメディア評論を聞いた気がするが、朝日は、いつでも、こうして、自らの過ちを免責する。
もう少し、しっかりしていただきたい。