昨日に引き続き、朝日4月2日付一面は、「攻撃激化、多数の死者 イラク 子供ら民間人で拡大」の見出し。
その横に従軍記者の日記が続くーー米兵の疲れて眠る写真の横には「臨戦 獣の目に豹変」「若者らしさ一転」の見出し。本文「日本人の私にとって、やはり、兵士と言う職業は敵と戦うために存在しているのだと、改めて納得させられる。」ーーこの「敵と戦う」とすんなりと書く視点が怖い。 英米の武力侵略の開戦を、「イラク開放のための戦争」と口真似して伝えたキャスターとさほど、違いはないか。ただ、朝日の記者の本音が正直に吐露された部分は興味深い。
27面、科学「イラクの最大の懸念、見つかるか大量破壊兵器」の見出し。生物化学兵器に備え、防毒マスクをつけた米海兵隊員の写真。(劣化ウラン弾の脅威を知らないのか。いつまで、茶番を続けるつもりか)
7面、国際「科学兵器」米英は使うなーー欧米科学者ら両首脳へ書簡ーー「自らが違反しては、イラクの大量?破壊兵器廃棄という戦争目的も著しく正当性を損なう」と警告している。
3面、「大統領の戦争」はイラク攻撃に反対して辞表をだした米外交官の良心を掲載。ワシントンのパレスチナセンターで、「外交をわすれ、テロを政治に利用した米国は、何世紀にもわたって憎悪の対象になるだろう」と講演。かつて、保険業界の内幕を鋭く突いた坂尻記者の報告だが、この「憎悪」は、日本にも向けられていることを指摘するべきではないか。他人事のように書くだけが能じゃない。
7面、ーー開戦後、8千発以上の「精密弾」米英軍の囲み記事の下、「米NBC解雇のアーネット記者を「真実語る」と英紙が雇用」の記事。湾岸戦争で活躍し、ベトナム戦争報道でピュリツアー賞を受賞したアーネット氏を雇い入れるのは、大衆紙・デーリー・ミラーである。英国はこうした勇気と見識のある大衆紙に支えられているか。翻って日本はどうか。
他、15面、「深読み 海外メディア」
--米国への抵抗を貫くフランスの代表紙ルモンドが、「米国の失敗」を非難し、「欧州は米国に対抗するための経済的・軍事的手段をもっている。問われているのはそれを実践する意志があるかどうかだ」と主張する。
--それでも、超大国はわが道を歩む。開戦を支持する米紙ワシントン・ポストは「これから何週間かは困難が待ち構え、米にもイラクのも高くつくものにになる。が、報酬も大きい。余りにも長くはびこった独裁者の終わりがそれだ」と高ぶっている。--私見だが、全体的に先のアフガニスタン攻撃のときより、中立に向かおうとする姿勢が目立つようになった。
が、次の「国際社会との協調を訴え続けるニューヨークタイムズ」のように、視点は9・11で止まったままだ。「こんどの武力行使には、だれも口に出さないが、深くて絶望的な動機が一つある。テロの記憶をわれわれの心から消し去ることだ」では困るのです。何という短絡・稚拙な思考停止か。著名なメディアというのは、この程度か?
テロの記憶を永久に刻みつけること。米国のみならず、地球上全ての人間が・・米国が狙われたことの意味、動機、原因、世界の中の米国の位置、在り様を徹底的に検証することだ。精神的グローバル化を早急にすすめることだ。旧くて、腐った「米国型パラノイア民主主義」を蔓延させる野心は即刻中止するべきだーここからしか、米国の繁栄も世界の進歩も未来の希望もありません。
ジャーナリズムは、本来、もの言えない人の代弁者になるべきではないか。まず、弱者の側に、無法に犯される側に、爆撃を落とされる側に、殺される側に、視点を置き、光をあて、闇を暴きだすことで公正中立な報道が成り立つのではないか。侵略者の側にくっついて、殺す側にくっついて、何が、ジャーナリズムか。ならば、イラク兵と寝食ともにして、米兵側と同等に報道しあうことではじめて、視点の公正がたもたれるはずだ。それができなければ、せめて、アルジャジーラに何人か出向するべきであろう。見えない、視ようともしないその驕った根性こそが、戦争の根源である。