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「イラク戦争」討論欄

「国民」の生ずるところ

2003/4/16 菅井 良、40代、自由業

 イラクはもともと人工国家である。オスマン帝国下のバグダッド、モスル、バスラの3州が、イギリス支配を経て、1つにまとめられ、イギリス人の手で決められた王を王にすえて独立した。その後、革命がおこり、フセインに至った。フセインの強権で一つになっていたとしても、インテリは別として、各人にイラク国民という自覚がなかったとしても当り前だ。
 そのイラクを、アメリカが一つの国にした。攻められているのは、フセインという名のものだそうだが、現実に侵されたのはイラクの国土であり、殺されたのはイラクの国民だった。そして、アメリカはイラク国民の土地を占領したのだ。

 以下の毎日新聞の伝えるイラク人の声は、イラク国民という自覚が確実に存することを示していると菅井は感じる。二人のイラク人の言う「国民」という言葉は、決して別のものではない。

 (「略奪」の様子を報道して)出入り口では、宮殿から運び出した調度品の椅子やシャンデリアを満載した小型トラックがまさに発進しようとしていた。理由を尋ねると、20歳代の男性は「皆がやっているのになぜ俺がやっていけないんだ。これらはイラク国民のものだ」と荷造りの手を休めずに返答した。
 その様子を見ていたイラク人の男性技師(48)がつぶやいた。「この宮殿はサダム・フセインのものではなくて、国民のものだ。壊してはいけないし、盗みは厳禁だ。これではイラクの未来は良くならない」