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「イラク戦争」討論欄

歴史につけを払う者は誰か。高弘さんへ

2003/4/20 東、40代、公務員

 高弘さんの19日付け投稿に、部分的に賛成してもよいところもあるか、と考え、以下若干述べます。私も「しんぶん白旗」さんのごとく、その明快な主張には敬意をはらうものです。

「まず第一に英米の連合軍に対して戦費を支払う事になります。
 本来は、イラクの国民が、自分達でやるべきことを米・英にやらせる形になったので、仕方がないですね。」

 とおっしゃるが、イラク国民が頼んだわけではなく、国際法にも違反して行われたアメリカの戦争の、その劣化ウラン弾やクラスター爆弾の費用を、イラク国民が払うというのはどう考えてもわからない。イラク国民の6割を占めるシーア派住民のアメリカ不信を、高弘さんもご存じでしょう。彼らが湾岸戦争後「自分たちで」やろうと立ち上がったとき、アメリカは傍観するだけだった。そして、「賠償」を言うなら、むしろ米軍こそ、その「誤爆」によって殺した少年・少女らに、償わなければならないと考えますが、いかがでしょう。

 次に

 「かつて軍事侵攻をしたイスラエル・イラン・クウエ-トに対しても賠償金を支払う必要があります。」とおっしゃることについて。

 イランに対して「賠償」を払わせる、というのはおもしろい(不謹慎な言い方ですみませんが)。イラン・イラク戦争のとき、イラン側は「侵略者(イラク・フセイン)に懲罰を!」と言いながらも、果たせなかった。前にも書きましたが、アメリカがシーア派革命の湾岸王制諸国への波及をおそれて、フセイン政権を強力にバックアップしたからですね。アメリカはフセインが毒ガスを使っていることも承知しながら支援した。(そのとき、クウェートもフセインを支援した。自らの王制を守るために。クウェートはそのときの「借り」があるだろう)。ここでもし「賠償金」を取れたら、イランも溜飲が下がるかもしれないが、アメリカが何と言うでしょうね。なにしろ、イランもアメリカにとって「悪の枢軸」だそうだから。逆に、だからこそ、この点について、私は高弘さんに賛成してもいいのです。 

 また、イラクがイスラエルに「軍事侵攻」したとは、「湾岸戦争」時のスカッドミサイル打ち込みを言うのでしょうか。この点の「賠償」も賛成してもよい。しかし、イスラエルは81年、建設中のイラク原子炉を空爆して世界を驚かした。ああいうのはどう評価するのでしょうか。

 それよりももっと言わなければならないことがある。「軍事侵攻」は今この瞬間にも、そのイスラエルによって行われている、ということです。きょうもガザ南部に戦車・ヘリコプターで「侵攻」、パレスチナ人5人死亡、1人は少年、というニュースが入っています(朝日のサイト)。土地を取り上げられ、何十年も占領下に置かれたままのパレスチナ人の解放が、今後なされなければならないでしょう。、そしてアメリカの一方的なイスラエル支持(拒否権を使ってまでの)が改められないかぎり、アメリカの正義も、そして高弘さんの主張も、説得力を欠くことでしょう。

 私は「アフガン戦争」「イラク戦争」の陰で、あるいはそれが隠れ蓑や口実となって、パレスチナの状況がより悲惨を増しているらしいのに胸が痛みます。