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「イラク戦争」討論欄

独裁は武力によってしか倒せないかー高さんの前提についてー

2003/4/7 菅井 良、50代、自由業

 すぐの反応は、議論を深めるためによくないことを承知で、高さんの主張のもとになっている事実認識について、のべます。

1 「独裁は武力によってしか倒せない」とおっしゃいましたが、この命題には明白な反例があります。第一は、韓国の例です。今でこそ、韓国は日本と同様な議会制民主主義の国ですが、少し前、韓国は長らく軍事独裁の国でした。政治弾圧もはなはだしく、前大統領金大中氏などは滞在先の日本から拉致されてしまったほどです。一方、まだ「主体思想」の観念論に完全には染まっておらず、社会主義世界体制も実存して相互経済依存の中で生きていた朝鮮は、現在のようなすさまじい経済破綻にはなっておらず、自尊心をもったきちんとした人民共和国のように見えていました。その韓国が民主化するにあたって、武力での独裁政権の打倒はありませんでした。選挙によって進行しました。
 第二は東欧の「民主化」のいくつかの場合です。ベルリンの壁の崩壊などは武力によるものではありませんでした。なし崩し的にあっという間に進んだというのが僕の印象です。クーデターがあって、軍が動いて、という国もありましたが。

2 今度のアメリカのイラクに対する戦争について見る場合、単に武力であるという点ではなく、外からの武力であることが問題なのです。その国の政治体制はその国の内在的な事情に根差すもので、その国の内部の成熟があって、はじめて変わるものです。「革命の輸出はできない」ということです。この点については、このイラク戦争討論欄の最初の川上慎一さんの投稿の後半に、短いですが要を得た説明がありますので、参照願います。僕としてはそれに付け加えるものは何もありませんので。このままでは米英日統治、あるいはその庇護下の反フセインよせあつめ政権は、「独裁」に転化する以外にはないと僕は考えています。