アメリカ アメリカ アメリカ
それはあまりにも近くて遠いバリケード
歌うな 数えよ
(寺山修司・詩 「アメリカよ」より)
ブッシュがフィルドス広場の映像をみて、喜び歌っているのならば、我々はいちいち数えてみなければならぬ。
数百人の市民の歓呼に迎えられた米軍兵士はいったい何人だったのか?
ロイター通信は伝えている、車列をなして行進した海兵隊の数は数千人いたのだ。これは、歓呼で迎えられたと言える状況だろうか。
このとき、この街、バグダッド市北東部のサダムシティーには、何人の人がひそんでいたのか?
自分のカメラマンを米軍に殺されたロイター通信は忘れずに書いている、200万人であると。あとの199万9千数百人はこの時何を考えていただろうか。そして、バグダッド全体の人口は500万人なのだ。
米国のモーニングショーの時間にあわせて、フィルドス広場でアメリカ軍のクレーンがフセインの像を倒したとき、広場にいたイラク人は何人いたか? 現地特派員氏によれば数百人である。そして、そっぽをむいている人もいた。では、フセイン像が倒れた瞬間、歓喜して、それを踏みつけた男たちは何人だったか? 特派員氏は30人ぐらいという。そのできごとの映像が敬虔なブッシュを歓喜させたのだ。
その人たちは、ロッキーかだれか、アメリカンスターが描かれた星条旗をふってカメラにおさまっていたのだが、その旗はいったい誰が用意したのだろう? クルド人地区でアメリカ兵を歓迎するクルド人も全く同じ旗を振っていた。
電通みたいなアメリカの広告代理店とか、特殊部隊とかが持ってきたのではないのだろうか。
映像は強烈である。であるからこそ、僕らはいちいち数えあげなければならない。