イラク攻撃を、「イラク民族の解放」という、マスコミ・世論を支持する人と、しない人。人それぞれの自由だからいいではないかーーと、私は、考えません。
何故なら、この二つの異なる意見の分岐点には、価値観の違いがあり、その価値観を形成しているものに、真実の把握とその受容の深度があるからです。
ただ、これは、個々人の真実度を、受容度を測定するものさしがありませんから、説得力の困難さがつきまといます。
人は、本能的に、自分の嗜好・感性・既成の価値観といったものを土台に、一つの事実を自らのオブラートに包んで、見、判断しようとします。
食べ物や、ファッションや、個々人の範疇ならいいのですが、こと、人の生き死に、自分、日本の将来に直結することであれば、そんな悠長なことをいってはおれません。
まして、その「真実」が、ある意図のもとに、歪曲・捏造され、流布されたものであれば、意見はいろいろ・・などと、欺瞞を信じる9割の人々を、放置しておくわけにはいきません。
次に意図されている「北朝鮮問題」が、目前に迫っています。ここさざ波に私が参加するきっかけとなった、「懸念」は、今や、最高潮です。外務省の田中均氏を、私は、支援します。「圧力は暴発につながる」と懸念する彼の良識を、高く買い、その勇気に賛同します。
ネオコンの正当化に利する「金の独裁」なんて言葉は、今は、必要ありません。アメリカに悪の枢軸と名指しされ、精一杯、あるいは、したたかに、虚勢を張っている北朝鮮を、これ以上、追いつめないでください。窮鼠猫をかませないでください。
朝日新聞の異例の対応には、あいた口がふさがりません。曽我さんの家族の住所云々ですが、誘拐事件じゃあるまいし、もうすこし、冷静な分析が必要ではないのでしょうか。
むしろ、私は、北朝鮮憎しの捏造記事の反乱のほうが、こわいです。日本の悪意に満ちた情報で、在日の方々、あるいは、北朝鮮の拉致家族のかたがたを取り巻く環境を、憂います。これ以上、キム政権をおいつめると、お互いの命にかかわるとおもいます。こんなことが、どうして、みなさんは、わからないのでしょうか。何度もいいますが、相手の身になること、一寸でもいいですから、北朝鮮の家族に思いをはせたらいいのではないか、とおもいます。
朝日に「みる、きく、はなす」が登場しました。小尻記者の事件以降、度々、シリーズがくまれます。異論を投書した人の、被害心情を吐露させるものですが、この時期、そうしたシリーズをくむことが、どういうことか、意図されたものなのでしょうか。勇気ある発言を、控えさせるための、メディア既成の一環と、私はみます。
また、かの石原氏の差別剥きだしの言説をのせ、ここぞとばかりに、硬軟両用、戦争構造に加担します。
マスコミはもちろんのこと、朝日にも、ほんとうに、うんざりしていますが、ある記事のみをタブー視して、危うい世論作りに加担し、その世論にまたもや迎合する、というのは、どういうことでしょうか。
かつて、渡壁先生の捏造記事をのせた朝日は、あやまりもせず、三浦さんの件も、その真実を追究しません。実際に、そうした事実誤認の記事で、優秀な教師が職を奪われ、誤解で名誉をきずつけられます。
こうした、ソフトな網が二重三重にはりめぐされて、強固なファシズム体制ができあがっていくのです。この仕掛けに、気づくか、気づかないかの違いです。おりしも、個人情報保護法案は参院可決したそうですね。
そして、今日、5月30日の天声人語。
--最近の言葉から。「本当に日本から脱出したくなった。異なった存在を排除する排他的なナショナリズムの動きが強くなってきている」。北朝鮮が拉致を認めて以来、ホームページに悪質な書き込みをされた在日韓国人2世のエッセイスト朴慶南さんーーが引用されている。同じく、辛淑玉さんのところには、一日、600件の嫌がらせファックス等があるという。
私たちに今できること、それは、国策というプロパガンダにのせられず、真実を見抜く視点をもつこと。そして、この日本に蔓延している、謀略を許さず、声をあげること。勇気あるひとびと、抗う人々と連帯することではないか、とおもいます。
今なら、まだ、このメールも利用できます。北朝鮮報道に異議を唱えるメッセージ、米国の戦争犯罪を国際刑事裁判所に訴える署名も、マウスを動かすだけで、できるのです。
井鍋さま、獏さま、同時代をい生きるとき、共有・連帯ほど、大きな力になるものはありません。
また、とどさま、高弘さま、わたしは、いままで以上に、本音で議論できる入り口に立てたとおもっています。高弘さんの、ある一途なもの、律儀な部分には、敬服します。
ネクラーノフさまのコメント、角度を変えた、簡潔・明瞭な言説に学ぶものをかんじました。
皆さまに、感謝します。