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「イラク戦争」討論欄

高弘さんへ、書き直しましたのでよろしければお読み下さい

2003/6/23 JOL、30代

 気分を害されたようで、大変失礼をしました。ただ、わたしの投稿は質問のかたちをとっていますが、自分の意見の羅列でもあります。分かっていただけると思ったのですが、あまりいい伝え方ではなかったようなのであらためて述べます。

①「普通に考えれば」

「普通」をある基準を指すものとするなら、その使用はこういった討論の場ではふさわしくないと思います。テレビのニュースや新聞を情報源としている人もいれば、インターネットを活用している人もいます。新聞をとっていない人も珍しくありません。かくいう私も新聞をとっていません。赤旗もです。ただしインターネットで朝日の見出しくらいはチェックし気になる記事を読むことはあります。テレビのニュースは見ます。多くの人が多様なチャンネルで情報を収集することができるようになった現在では、思考の前提も多様です。かりにわたしが「普通に考えれば米国がする戦争は侵略だろう」といっても納得しませんよね。前提が多様である以上、「普通」を根拠に意見を述べても説得力はないのです。また、異論を「普通じゃない」と排除することにもなりかねません。いずれにせよ私も高弘さんも自分が考える「普通」を基準に話しをすすめるべきではないと思います。

②「米軍が犯罪を犯す訳ではないでしょう」

 沖縄では米軍の犯罪は深刻な問題です。横須賀にも同様の問題があります。だからこの意見には納得がいかず、根拠を訊ねたのです。イラクでも米兵がイラク市民に略奪をけしかけたという報道がありました。また石油省ばかり厳重に警備しているという報告もあります。広河隆一さんの報告なども読んでみてはいかがでしょうか?それから、米兵が正義の戦争だと考えていたとしても犯罪を犯さない根拠にはなりません。アジアを侵略した日本軍にとって、あれは「アジアを解放する」戦争だったはずです。

③「普通の新聞に目を通し、テレビもよく見た方が、偏った考え方にはならない」

 読売・朝日・毎日のような大新聞の収入は購読料より広告料のほうが大きくなっています。朝日をみると紙面も広告が半分(以上?)を占めています。当然のことですが、なによりも広告主の利益が尊重される、という意味で偏っています。また記者クラブ制度のために取材対象によっては批判的な報道がしにくくなっています。警察の発表などはそのまま垂れ流しが基本です。テレビも基本的には同様です。海外からのニュースもCNNやABCなどに頼っていることが多いようです。もっとも商品としての価値を落とさないために別のソースからの情報も流してくれます。アルジャジーラがとりあげられたのは、米よりの情報だけでは消費者が納得しないと考えたからでしょう。こういったことはメディアリテラシーの基本だと思っています。それから、メディアはどれも偏っています。発信者が重要だと思うものを発信し、そうでないものはとりあげない。発信者の主張や利益に資するものに肩入れする。これは必然だと思います。

④「でもイラク国民が、長年フセインの独裁によって苦しんでいたのは、分かっていたでしょう。それを助ける方法が他に有ったと言うのですか。多分ないでしょう。」

 イラク戦争回避とイラク解放について経済学者の金子勝などは熱心に持論を展開していました。いやそんなことより、フセインの独裁をながらく支えてきたのは米国です。米国がフセインを支えなければクルド人虐殺も防げたかもしれないし、独裁政権も「長年」とはならなかったかもしれません。

⑤「普通の人間は、一般マスコミの情報は概ね正しいと感じるでしょう。それをプロパガンダだと言われたら、仮にそうだとしても、普通は、そっちの方がおかしいと思いますよ。よほどおかしくない限り、マスコミの流す情報をそのまま受け入れるでしょう。」

 これについては③で述べたので繰り返しません。

⑥「少なくともソ連が、同じ事をやれば、侵略以外に解釈しようが無いと思います。」

 これについてはただ疑問なだけです。わたしは米国であろうとソ連であろうと「侵略は侵略」としか考えられません。根拠なく、米国=善、ソ連=悪、と考えているのであれば、やはり「無批判な思考上の枠組」に囚われていると言わざるを得ませんし、根拠を述べていただければ納得するかもしれません。

⑦「反戦派の人は、身近な人すら説得できていないでしょう。」

 できている人もいるでしょうし、できていない人もいるでしょう。事実関係をその人なりに検討するなかで反戦の立場をとった人もいれば賛戦の立場をとったひともいるでしょう。どちらがどれだけ多いかなど分かるはずもないし、わかったところで多いほうが真理とはなりません。

⑧「ほとんどの人が、イラクは解放された、と言っています。」

 これは情報源を教えていただければすむことです。NHKの世論調査なのか、新聞の記事なのか、周囲の人の意見なのか。むろん、そう言っているからといってその内容が正しいということにはなりませんが、そういう状況がある、という理解は成り立ちますから。

⑨「テレビで見ている限りは、外国の主要メディアも、日本のマスコミと同じような情報を流しています。」

 前述の③でも触れましたが、CNNやFOXといった米政府出先機関の情報が多くとりあげられている一方で、他の国のメディアは無視されています。ただビンラディン(とされる人物)の声明を放送したアルジャジーラは別格扱いとなっています。もちろんアルジャジーラも偏っています、念のため。

⑩「大半の人は、戦争は嫌だと思っていても、アメリカが介入した後は、大体状況は、良くなると言う事が分かっているのです。」

 「大半の人」についてはとりあえず置きましょう。アメリカが介入した後は良くなるというのがアフガニスタンやニカラグア、チリについて当てはまらないのはなぜでしょう。米国に勝ったベトナムは独裁政権ではありませんよね。「大体」というのであれば、米国が軍事介入して独裁政権が倒され民衆が解放された複数の例を挙げていただきたいのですが。

⑪「現在のアメリカは、他国に対して侵略をするような国ではありません。」

 中東、中南米、東アジア等に対する外交姿勢を見ると、わたしには世界を支配しようとしている侵略国家としか考えられません。独裁政権であろうが民主政権であろうが、米国に従う国は認め、米国の利益に反する国は許さない、という点では、基本的には一貫していると思います。⑩でも述べたアフガニスタンやニカラグア、チリ等のことを踏まえていただきたい。

⑫「(上に続いて)それは、軍国主義から民主主義へ開放された日本を見ればよく分かると思います。」

 私は、日本の民主主義は米国の利益を損なわない範囲で見逃されているに過ぎないと考えています。今回のイラク侵攻への追随ぶりをみれば明らかですが、日本国政府は基本的には傀儡政権です。重要な案件でアメリカと対立したことなどあるのでしょうか?米国主導の謀略だったと言われている下山事件、三鷹事件、松川事件を思えば、米国が日本の民主的成熟を阻害してきたことは明らかです。

 以上が「無批判な思考上の枠組にとらわれたように思われる例」として挙げたものについての私の意見です。『「イラク戦争」討論欄』なので迷うところもあったのですが、イラク戦争には情報戦という側面もあるので投稿することにしたものです。

 あらためて述べます。マスコミを疑わず、普通はこうだろう、という個人的な感覚に依拠すると自分自身の前提に囚われて異なった視点が持ちにくくなる、という事のような気がします。高弘さん、そうは思いませんか?

 最後に

他の投稿者との討論と言うより、自分の投稿内容に対して疑問を持つ人に、理由を説明しているに過ぎません。

 ここは『「イラク戦争」討論欄』なので討論をするつもりで投稿しているのだと思っていました。