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６月７日朝日（夕）、「在日朝鮮人、思い様々」として、今や耳目を集めさせている万景峰号についての記事。
肉親との再会や墓参の航路だった船は今、不正送金や麻薬密輸疑惑でかつてない警戒を受ける。・・船は、総連傘下の商工業者らが資金を出し合って建造し、北朝鮮に寄付した。５９年から８４年までの帰還事業で北朝鮮に渡ったのは、約１０万人。肉親の訪問や墓参のため、毎年数千人が利用したーーとある。
で、この在日の人々の足ともいえる船が、今、疑惑の船として、クローズアップ。拉致の報復として入港禁止へとさらに圧力が加わる勢い。
次々と北朝鮮のあら捜しが続く。週刊誌、新聞、テレビでここぞとばかりにバッシング。今や北朝鮮は、狂いに狂った「テロ国家」であるらしい。対話のかわりにリンチ・拷問・見せしめである。
数日前は、座礁した北朝鮮の不審船？の観察に蓮池徹さんがテレビに。弟等がこういうもので拉致されたかとおもうと・・・と、心境を語る。ついで、「圧力を加えることで、拉致帰国者の家族を取り戻させる」と続く。
この武力行使ありき、圧力ありきの世論誘導が、唯一絶対のように語られる。人間としての、言語を媒介にしたコミュニケーションは、どこにいったのか。
先だっては、山口正紀氏（元読売記者）が、北朝鮮関連の原稿を「金曜日」に書きつづけていたため、記者職を解任されている。なんでも、８００人の苦情があったそうな。山口氏の存在故、読売嫌悪が緩和されていた私だが、これで、元の木阿弥。
こうして、反北朝鮮バッシング派は、「異論」を排除され、良識は弾圧を受ける。日本の民主主義の正体とは、この程度であるらしい。
北朝鮮をぶちのめす武力行使の有事法案が是となり、民主党一人の棄権を除き、全員が賛成したことからも分かるように、現在の日本国家は、完全なるファシズム体制下にあるといえる。
この流れは、ブッシュ戦略と酷似。まず、差別ありき。加害の意識を永久に封じ込める狙い。そして、目障りなものを根絶するために、相手を徹底的においつめる。相手のぎりぎりの抵抗をあぶりだす。こちらに被害の及ばない範疇でいじめぬく。
何十万という在日の人々を人質にとり、その生存権を奪う。必死に耐えて生きている在日の人々を、脅威につきおとす。マスコミは、ことさら、こうした事実に目をつぶり、避け、あるいは、北朝鮮バッシング世論に迎合するばかり。
こうしたテロ国家日本の下、北朝鮮、日本で、数知れぬ北朝鮮の人々が犠牲になっていく。
韓国大統領を、有事法制で出迎え、イラク新法で送り出す欺瞞。日本国家の欺瞞の構図、ここに極まれり・・である。