7・6日付しんぶん赤旗一面
「自爆テロ約20人死亡 ロック会場 チェチェン武装勢力か」の見出し。
「モスクワでは昨年10月、チェチェン武装勢力による劇場占拠事件があり、人質約130人が死亡しました」と結ぶが、このときの死亡者全員は、「ロシアからの圧政・独立を求めるチェチェン人の、「穏健派」の主導した民衆蜂起であったはず。しかも、早々と、捏造情報を流し、対話を求めているのを封印し、あろうことか、得体のしれない毒ガスを撒いて、10数人の独立派もろとも130人の市民を殺戮したのは、プーチン率いるロシア政府である。
この件でも、その後、何の検証もされず、現在にいたっている。
続いて15面は、更に「若者のにぎわい一転、現場に血だまりの跡」と大きな見出し。
「週末の土曜日、晴天に恵まれたモスクワの野外ロックコンサート会場。若者らでにぎわう憩いの場は、爆弾を抱えたテロリストの手で一瞬にしてせい惨な現場に変わりました」と、淡々とおどろおどろしく書く。
あくまで、ブッシュ式に倣い、テロ掃討作戦強行しているプーチンの側からの視点をかえない。
渦中の筆坂セクハラ問題にしろ、結局、根源を見つめようという姿勢が欠如した視点からは、限界があるということか。
一方、朝日の記事一面
「ロシア 連続自爆テロ15人犠牲
チェチェン絡みか 4万人ロック会場」の見出し
「モスクワ北西部のトゥシノ飛行場で開かれた野外コンサート会場で、5日午後、爆発が断続的に起きた。・・・
{周到に計画された自爆テロ}と見て、捜査にのりだした。モスクワでは昨年10月にロシア南部のチェチェン独立を求めるイスラム過激派による劇場占拠事件で多数の犠牲者(?)を出して以来の惨事となった。・・・(犯人の)女性のベルトに爆発物が巻きつけてあったという。2人は即死し、15人の観客が死亡した。・・・ロシアでは チェチェン過激派による自爆テロが続発している」
--とし、4面の関連記事には、
「プーチン政権に打撃 チェチェン解決焦り裏目?」
ーー「チェチェンに文明的な政治を根づかせる」とするプーチン大統領の「甘い思惑」を吹き飛ばす衝撃を政権にあたえたとある。
朝日は、少なくとも、チェチェン問題の深刻さとプーチン大統領の政策のかかわりを問おうとする姿勢があるか。
もっとも、根幹は、いずれも、国家権力側の視点の域をでないともいえるが、朝日は、35面に「恋 冷戦下、モスクワで始まった」と題して前民主党石井議員(故人)の妻・ナターシャさんのインタビューを掲載。民主党だからともいえるが、石井氏の暗殺は、私には、こころにわだかまるものがあり、その一面を深くしることができたような気がした。
それにしても、「年内にチェンチェンの民主化を実現すれば、下院選挙で勝利し、政権基盤は安定する。チェチェン問題の解決を急ごうとしたことが、今回のテロ事件に結びついたともいえるだろう」とは????????????
それにしても、民主化だとか、自由だとか、安定だとか、こうした言葉の持つ意味を、私達は、よーく考えなければならない。権力者がこれらをつかうときは、独断・圧政、不自由、緊張・不安定・・と逆の意味に使われるのだから。
マスコミは並べてこの欺瞞性をつかない。