ジェシカ・リンチは疑惑の救出劇で助けられた米軍女性捕虜。
命がけ?で救出した側がヒーローだというのならまだ分かるが、被救出者がなぜヒーローなの?
救出劇に登場した美人で目立つ存在=「象徴」のことを単にヒーローと呼んでいるにすぎない。
戦友愛、ひいては同胞愛に心を熱くした観客米国民は、同胞愛を捧げた救出兵士を賞賛するのではなく、「象徴」としての被救出者を誉めそやす倒錯・軽薄さ。
観客は身の危険を犯さず、傍観者の立場のままで、同胞意識を堪能するだけ。
さらに帰国後、婚約相手まで登場したパレードをして、同胞愛物語をリプレイして楽しむ。
主役の「人間」としての救出兵士はどこいった?
ここで同胞愛は、それを実践で発動した人間が真に称揚される、地に足の着いた価値になっていない。