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「イラク戦争」討論欄

イラク復興計画のまやかしを突く爆弾攻撃

2003/8/20 長壁 満子、40代、金融

 前日の米軍のパレスチナ人カメラマン射殺に衝撃をうけていた私の目に飛び込んできたのが、今回の記事。
 起こるべくして起こったという感じだが、赤旗はともかく、朝日の取り上げ方の大仰なこと。
 まず、朝日を検証する。
 一面、バグダッド国連本部で爆撃
    16人以上が死亡 自動車爆弾 米、テロの見方 特別代表重症ーーと見出し
 そして、中ほどには、人道援助も脅威に直面ーーとして
 ① 米軍への攻撃が続いたイラクで、初めて復興と人道援助を担う国連が爆弾テロの標的になった・・・
 ② 「非軍事的任務を強調する」自衛隊の派遣にも影響がでるのは必至
 ③ 犯行声明を出していないが、大量の爆弾を使った手法は、国際テロ組織アルカイダを連想させる手口だ
 並行して、「米大統領が強く非難」
 「テロリストはイラク人民、文明社会の人々に対する敵だ」〈笑い)
 「不当な暴力だ」とアナン総長非難ーーと続く。

   9・11事件から、間もなく2年になる。9・11に突きつけられた世界の問題を、世界は、まったく学ばない。特に、米英日の輩は・・・である。
 恐らく、他紙も同様かあるいは、右翼的な戦争紙誌は、更なる扇動報道であろう。
 イラク情勢が混沌を極めるなか、まこと、タイミングよく、節目節目にこうして、ことがおこされる。もちろん今回の場合は、真実の怒りからくるものであろうことに、疑いないだろうが。
 それにしても、「テロ攻撃」を、米側は「自分たちになされる一方的な暴力」と定義づけ、それを唯一の口実に、テロ根絶、テロ掃討作戦の名のもとに「戦争暴力」が続行されてきた。
 テロの土壌を誰がつくったのか
 テロの種をだれが蒔いたのか
 そんなことなどいっさい考えず、見向きもせず、 ただただ、己の欲望のままに大国は、正規軍として中東の人々をホロコーストの対象とした。
 アフガンではわかっているだけで、3万人の民間人の死者
 イラクでも同程度の死者
 そして、あろうことか、今回のイラク攻撃は、米軍の蛮行はさらにランクアップし、ジャーナリスト殺害にまで及んだ。イラク戦争のまやかしである、大量破壊兵器云々が暴露されるや、ケリー博士殺害(自殺とみせかけてはいるが、英国ブレアにのみ責任をおしつけているが、真実はほかにある。メデイアは、この欺瞞を追求しようとはしない)。
 8月20日しんぶん赤旗で、ケリー博士の死亡の状況を明らかにする独立司法委員会で審理を実施ーーとある。
 同じ紙面には、18日、19日、米軍はサダムフセイン残党勢力の掃討作戦うを各地で行い、民家を「襲い」、少年を殺害しているとのこと。
 こうした一連の米国主導の狂行に、いったい世界は、国連は、何ほどのことをなしたのか。
 今回、国連が標的にされたことに、みな一様に驚き朝日6面では、「無差別化する攻撃対象」などともっともらしい記事にしているが、どうして、こうも、壊れたテープのごとく、ワンパターンな報道になるのだろうか。
 繰り返す。
 無差別化する蛮行をくりひろげているのは、どこのだれなのか。
 「戦争のルール」は最早存在しない状況などと書く記者のおめでたいことよ。
 いったい、米国に「戦争のルール」があったとでもいうのか。
 アフガンでも、イラクでも、どこにそんなルールがあったか。
 いったい、いつになったら、記者諸君は、ジャーナリスト本来の任務を自覚するのだろうか。「目の前の現象の底にあるものをみてくれ」と、何度、これまで、いってきたことか。あなた方記者は、こんな一般人の無教養な女の視点にも及ばない程度のランクなのか。
 デンマーク兵も国連も、米軍の傘下であるかぎり、目くそ鼻くその類であろう。100歩ゆずったとしても、目の前の蛮行をとめられもしないで、人道援助をとなえても、むなしいではないか。イラク・中東の人びとは、それほど、ばかでない。今までの報道からうかがしいれるが、ブッシュより、ブレア、小泉より、数千倍人格高潔なひとびとである。
 米軍の略奪にも耐え、むごい状況にも、敵にマイクでこたえ、正義ずらして食料をおとすその犠牲になりながら、怒りを封じ、「時が来るのを待つ」という。
 理解しやすいように、一例をあげれば、朝日の一面、川上記者が言及している記事「国連が戦争の口実を米英に与えることになった大量破壊兵器査察の実施主体だったことと、さらに国連安保理決議で米英軍の占領を認めたことなど国連の役割に対するイラク国民の不信感は強い。」
 大量破壊兵器の存在云々といった、おためごかしをイラクのひとびとは、とっくの昔にみぬいていたのである。米英日も国連も世界中のメディアも、この点では、裸の王様であったということだ。
 それにしても、わたしは、最初から、このテの欺瞞はいいつづけてきた。国連の、世界の世論のおかしさをメールしてきたが、これほど、あとからあとから、裏づけのごとく、おもいが重なるのも、何か不思議である。
 朝日記事のなかで、この川上記者の視点をのみ、今回はかう。私見だが、その内容において、この箇所はスクープであり、読む人が読めばトピックスともなるものである。
 他は、似たり寄ったりの「まともな」記事ばかりで構成されている。
 最後に、イラク情勢云々というときには、必ずでてくるアジア専門家S女史。
 先日も、「イヤイヤ園」などといった例え話でフセイン政権なき今のイラク情勢をかたっていたが、私には、その都度、おおきな違和が残る人である。
 この人の著書も数冊購入し、講演も複数回、その他メディア当でもお目にかかっているのだが、直言して以来、その違和の温度差は縮まることはない。
 たぶん、わたしが今日までこだわり続けてきた、「相手の視点」によせる思いの欠如なのだろう。そして、これは、彼女のみならず、おおかたのメディア人及び、著名人らに共通するものでもある。
 いま、現に渦中にある生身のひとに寄せる、共感・同情・義憤そうした人間本来のこころが排除された報道は、いくら能書きを垂れようが、こころはうたない。残るのは、後味の悪さである。