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「イラク戦争」討論欄

国連本部襲撃に寄せて その③ーー朝日メディアを検証する

2003/8/23 長壁 満子、40代、金融

 「大樹の陰」氏の指摘にもあったが、新聞・テレビの論調は予見どおり。IQ偏差値ランクの日本メディアの面々は、あくまでその路線を固執する。
 が、身びいきするつもりは毛頭ないが、私が各言及する批判ないし進言は、自分が購読する新聞紙誌である。言い換えれば、最低限気になり、放って置けない存在であるということだ。産経やら読売、文春、正論といったものは批判の対象にもならないことはいうまでもない。
 さて、こんなとき、必ず朝日は「声欄」で「ぎりぎりの正義」を主張して免罪する。8/23日「イラクの叫び耳を傾けたい」は、アラブ人の夫をもち、アラブの国にも暮らした経験をもつ小池保江氏である。紹介する。

 --このような自爆攻撃は後をたたないだろう。米英軍が撤退するまで続くのではないか。旧フセイン政権か、などと犯人についての憶測が飛び交うが、夫や私には何よりイラクの叫びが聞こえてくる。アメリカも国連も嫌いだ! 私たちの国を返せ! という叫び声が・・・・。自爆攻撃はイラク人、ひいてはアラブ人の「命」をかけた抗議である。身を挺してもも訴えようとする彼等の言い分にも、私たちはもっと耳を傾けなければならないのではないか。

 7面「テロの底流に占領への怒りーーイラクとパレスチナ」
 偶然前回ふれた、バグダッド=川上泰徳記者である。
 ーー今回、イスラエル軍のミサイル攻撃で殺害されたハマスの指導者イスマイル・アブシャナブ氏はかつて記者との会見で、「イスラエル軍の占領によってパレスチナの民間人が毎日犠牲になっている。殉教作戦はそれに対する報復だ」と語った。イスラエルは6月の停戦合意も、入植地問題やパレスチナ自冶区の封鎖など占領の矛盾を解消しないまま、パレスチナ過激派の排除を軍事的に強行してきた。イラクの米軍が、占領政策下で圧倒的な軍事力を使って超法規的な治安対策を遂行するのと相似形だ。ーーと、その構図を明らかにしてみせる。前回、国連の曖昧さ、欺瞞ぶりをさりげなく突いた川上記者の視点は、一応、健全である。
 が、朝日の顔である「社説」となるとどうか。
 暴力の止め役は誰かーーと題して
 半世紀の血塗られた紛争が生んだ憎しみは深い。それがテロの温床だ。だが、暴力の応報で問題が何一つ解決しないことは双方ともわかっているのだからこそ、ひ弱とはいえ、6月の停戦合意ができた。何とかして「行程表」の崩壊を止めなければならない。それができなければ、過激派のおもうつぼにはまることになる。
 (この過激派をイラク国民とスパッと切り離す戦法こそが、ブッシュ戦略であり、反テロ暴力戦争の根幹であることを、この論説氏も気づかぬフリをしてみせる。赤旗の論調と全く、同じである。右翼紙誌と寸分変わらぬことになる。そして、米国に対するイスラエルへの対応に常識的な批判をした後、「その姿勢に改めるべき点があるにせよ、過激派対策でアッバス氏を支えることができ、イスラエルの暴挙もおさえられるのは、結局米国しかない」と、あくまで、この殺人鬼・テロ国家を擁護するのである。そして、イラクの叫びなど、意にも介さない朝日主幹の牛耳るこの新聞は、声欄に、イラクの叫びを聞こうという主婦の声を掲載する)
 パレスチナ対イスラエル・アメリカ
 イラク対米英日、その他連合国の構図の圧倒的非対称、不公正な歴史・意図、平等・公正のかけらもないアメリカ主導の欺瞞を、このようにして取り繕う。この世界の欺瞞的思考こそが、テロの温床であり、世界人類の敵であることを、私は、きっぱりと、断罪する。朝日メディアは、少なくない良識をかかえながら、こうして、頭から腐っていくのであろうか。