イスラエル軍の攻撃継続宣言で、ヘリによる上空からの殺害。これで、何人目か。差は圧倒的とはいえ、イスラエル占領軍に拮抗するハマス。圧倒的な武力で、パレスチナ人根絶を目指すイスラエル勢力の幹部級クラスの死はない。
アフガニスタン戦争でも、イラク戦争でも、いつもそうだ。殺る側はせいぜい三桁、殺られる側はその100倍200倍である。こうした表面的な数だけみても、今の戦争がいかに一方的かつ残虐なものか、わかりそうなものであろう。いかなる性質のものであるか、まともな神経をもっていれば、その構造が理解できるのではないか。
米軍の未曾有の蛮行に、その蛮行に加担する国々、組織の欺瞞性がこれほど露になったことはない。短絡的なブッシュの凶暴性が、ここぞとばかりに、拡大する。
その米国で、英国で、イスラエルで、占領反対の声があがる。議会での声以上に米兵自身から、民衆自身から、草の根から沸き起こる声。
にしても、世界のアラブの、真正面からの声が消されている。特に、日本では、当然か、米国製洗脳報道が蔓延する。三度三度の食事のごとく、そうした報道につかっていれば、まともな精神は破壊されるのだろう。責任を負うべきメディアが、そこで働く人間が、戦争加担することに、何の異議もとなえない。それどころか、右翼紙誌は、戦争PRに懸命である。
アフガニスタンのカブール傀儡政権は、世界各国から資金が集められ、ブッシュ子分のカルザイが統治しているのだが、5%のアフガンさえ、統治しきれていない。
乱立する「英語塾」は、それでも、当初300人から3、200人に、希望者があふれかえったばかりに、30人から75人に増えた教師の月給も払えず、教師には、やる気がなく、教育効果は疑われている。
アフガンの自立も、教育もすべて、おためごかし。なぜ、英語塾か。
石油のパイプラインのために、ビンラーディンを犯人に仕立て上げ、藁のなかの一本の針を探すと称して、藁ごと焼き尽くした。たった5年のタリバーン政権は、反タリバーンの北部同盟をつかった米国のもと、あっけなく、無残に崩壊。
当時、穏健そうなタリバーン政権の幹部たちが、テレビにで、「バレーボールがとくいです」と素顔を見せる場面もあった。宗教学校・マドラサでは、敬虔な信徒である教師たちが、「ジハード」をためらいもなく口にした。
「西洋型の戦争は、人間が人間を支配することを目的とする侵略戦争であって、神が人間を支配する社会を築くことを目指す防衛手段としてのジハードとは性質がことなる」(対テロ戦争とイスラム世界)板垣雄三編。
カブール以外のアフガンでは、更なる、戦乱の様相。タリバーン以前の、地獄図に逆戻りしているという。米軍の上空からの空襲もあり、ゲリラ戦もあり、双方の死の実態は報告されない。おそらく、世界から集められた金は、これら軍事費にまわっていることだろう。米国にとっては、テロ掃討戦争は、終わらせてはいけないのである。
タリバーン政権が崩壊して、まこと、アフガニスタンは、アメリカミンシュ主義にいそがしい。8月30日付「舞い戻った監督」として、タリバーン政権崩壊後、初の国産映画として盛況をつたえる。識字率3割の国で、「みんなが楽しめる数少ない娯楽は映画だと信じる」シャンヒン監督は、俳優養成学校も始めた。
このようにして、99%の陰の部分は、伏せられたまま、アフガンのほんの一部の米国傀儡政権の様相を、それも、表層のみをすくいとっとてみせる。教育教育と、タリバン政権崩壊まえからかまびすしいが、教育よりも、映画よりも、まず、命だろう。治安が崩壊したアフガン各地で、米軍に殺されまくっている民衆・民兵、米軍兵士等にレイプされている女性たちは、一度として、ニュースにはならない。
アフガン空爆前、ニュースステーションで、久米キャスターにタりバーン政権のネガティブな部分を問われ、「教育の前に、まず、治安ですから、まず、生きることが最優先です。教育はそのあとに」と穏やかに応えた、タリバーン幹部の言葉が記憶に新しいが、メディアは、こうした真実の声など、記憶にないらしい。崩壊後も、長老・ジルガ60人が乗ったバス?が空爆されている。神学校生徒100人の殺戮も、米軍の空襲。コンテナつめ1000にんのタリバーン兵虐殺も。今も、キューバの基地では、アルカイダ捕虜が、家畜同然の、野晒し・拷問の状態におかれている。ブッシュ政権は、国連の人権委員をよせつけない。
数ヶ月前だったか、朝日で「アフガンに教育が戻った」とする内容の記事があった。それまで、勉強するために男の子に似せて頭を短くした少女が、今では「自由に勉強ができて幸せ」とコメント。さらに、お母さんに、字を教えているというものだったが、母親の年齢からいって、10年以上前であったろう。少なくとも、その教育期間は、タリバーン政権時代ではなかったはずである。
アフガニスタンは、山脈と山脈の連なりの中に、集落があり、地元の長老たちが、リーダーとなり、村々を統治してきた。ソ連が撤退した後のアフガンの内紛にピリオドを打ったタりバーン政権は、これら長老・ジルガにむかえられ、パキスタン政府に承認されて登場してきたものである。米国でさえ、それまでの、内紛のアフガンでは、石油のパイプラインのうまみを分捕れないと、応援したときく。が、自分たちの意のままにならないと悟ったが最後、’99年には、大旱魃で、100万の餓死が予想されるというとき、経済制裁で、殺戮。米国の殺戮誘導装置は、こうして、地球の隅々にまでネットをはりめぐらせる。