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「イラク戦争」討論欄

ジャーナリズムへの弾圧が始まるーーアルジャジーラ記者をスペイン警察が拘束

2003/9/7 長壁 満子、40代、金融

 カタールの衛星放送、アルジャジーラの看板的な存在として活躍していたテッシール・アリョウニ記者が5日、テロ組織とのかかわりを疑われ、スペイン南部のグレナダの自宅で、スペイン国家警察に身柄を拘束された。
 同記者はシリアとスペインの両国籍をもち、01年の米英のアフガニスタン攻撃やイラク戦争の取材で著名に。
 スペインからの報告では今回の指示は、同国でテロ捜査を指揮する予審判事が指示。
 「米国同時多発テロの準備にかかわったとみなされている同国内のグループに加わり、活動を支援した疑いがもたれているという」が、なんとも、意味不明瞭な、タイム ラグなことであることか。
 いよいよ、大本営発表に従わぬものは、すべて非国民となるということか。米国の犬、スペイン警察・テロ捜査指揮予審判事が、その職権をフルに活用し、とうとう、アルジャジーラの解体に乗り出した。今、真実を、アラブの血の叫びを、地道に報道しているのは、唯一アルジャジーラである。米国の欺瞞を欺瞞として、アラブ民衆の草の根の声を、真実をひろいあげている。
 殺戮される側に視点を当てた報道は、限りなく真実に近づくものである。パレスチナホテルでのジャーナリスト殺害がしめすように、今や堂々と真実を隠蔽する米軍隊である。虚構の上に成り立つ戦争は、あくまで虚構のまま終わらせなければならない米国にとって、本物のジャーナリストの存在はまことめざわりであろう。
 先のパレスチナカメラマン殺害もそうである。前日の思想犯のいる?刑務所爆撃を取材しようとした記者を戦車から銃殺。この刑務所襲撃は、公開されたくない真実があったろう。恐らく、ハマス幹部級、また反戦・市民活動家、宗教者の面々と、そうとう、殺されたかもしれない・・と、遠く、日本の地で妄想してみたりする。当時は、パレスチナ人何人釈放かといった声が、ロードマップを取引にあがっていた。
 ロードマップがイスラエルの謀略で立ち消えになった今、シャロンは、面子のため、ハマス幹部をさらに爆撃・無差別に殺害している。米国指揮のシャロンの役割は、パレスチナ人根絶である。こんなことは、パレスチナ人のほとんどは、みとおしていた。何十年も、イスラエルと世界にだまされ続け、尊厳も何もあったものでない籠の鳥のような生活を強いられれば、どんなお人よしでもわかるだろう。
 分からないのは、絶対安全圏のなかから、「かわいそうね」と同情し、クラスター爆弾を誘導ミサイルを買い込むどこかの平和な連中だけである。「テロも戦争もだめですよ」と、ぼろぼろの憲法にとりすがってよしとするゆでがえるだけである。
 ところで、メディアが不思議とこの件を問わない。自らの所属する根本が脅かされているというのにである。毎度のことだが、米軍の謝罪もない。民衆にたいしても、ジャーナリズムにたいしても、真実に対してもない。従って、米軍に加担する「少国籍犬部隊」の蛮行もおとがめなしである。
 一方、イラク戦捕虜の捏造手記を出版するジェシカ・リンチのお相手(共著)は、元ニューヨークタイムズの記者である。この記者は名誉ほしさに(マイノリティーであるがに)取材もしないで捏造記事を書きまくり、ピュリツァー賞も受賞している。リンチのゴーストライターとしてはまことおあつらえ向きである。
 アルジャジーラは同日、「ジャーナリストに対する悪質な嫌がらせ」と、抗議の声明を発表したが、当然である。
 そもそも、一昨年、ウサーマ・ビン・ラーディンとインタビューしたことを唯一の根拠に狙いをつけて、アルカイーダ容疑をしかける短絡さは、単細胞のブッシュと同似である。今や、真実を報道するもの、反「米軍御用記者」は、すべて、犯罪者となるのである。
 わかりやすくいえば、ジャーナリストというのは、弁護士のようなものかもしれない。国家に抗う「テロリスト」の弁護を引き受けるものは、すべて、犯罪予備軍となる。犯罪者にするしないは、また、米国監視機関の意のままである。
 昨今の風潮、弱者の異議申し立て者の側につくものは、すべて、弾圧・圧殺される立場となる。
 過去、日本においては、あまたの無政府主義者、共産党員、小林らが殺されたように、国家権力のテロルが横行し始めるや本格的な15年戦争が始まった。
 世界は、ジャーナリズムは、こうしたことを百も承知していながら、どうして、声をあげないか。そして、この記事がなぜか、元祖・赤旗にはのらない。
 変わりに、9月5日の赤旗は、NHKの大本営発表ドラマの解説を、とくとくとやらかすのだから、あきれ果ててものがいえない。
 民主集中制は、末端には届かないのだろうか。