投稿する トップページ ヘルプ

「イラク戦争」討論欄

もう一つの「9/11」ーーしんぶん赤旗より

2004/9/9 長壁 満子、40代、金融

 9月9日、しんぶん赤旗9面で、チリ軍事クーデター30年ーー米政府公開文書が示 すものとして、1973年9月11日事件を検証している。新藤通弘・ラテンアメリカ現代 史研究家の分析であるが、この時期、アメリカの関わる歴史的事件を、こうした側面 から光を当てていこうとする試みに、新藤氏および赤旗の見識を高く買う。
 「アジェンデ人民連合政権転覆の軍事クーデターの真相は、まだ明らかにされてい ない。イラク問題と同様、いま、米政府の情報操作疑惑と外交政策の透明性が内外で 鋭くとわれている。」として、ヘルムズCIA長官とCIA高官との会議議事録など を、証拠としながら、30年まえの「一つの戦争」をあぶりだしている。
 わたしもそうだが、多くのみなさんも、このチリの民主連合政権がたおれた理不尽 さは感じていても、よくある政権内の抗争ぐらいにとらえて、それでわかったつもり になっていないだろうか。
 目の前のイラクであるが、12年前のイラク・イラン戦争時、イラクのクエートへの 侵略とクルド人虐殺を唯一の根拠として、多国籍軍が国連の承認の下、残酷な劣化ウ ラン弾をイラクに落とし、その後遺症と経済制裁で、イラクは苦しんできた。経済制 裁はフセインの独裁がその理由だったが、もし、それが理由なら、国の大統領が悪だ から、その国の国民は一連托生、すべての国民がフセインの罪業を担うべしというこ とになる。これは米国大好きな高弘氏の主張である。(過去は過去でも、さざ波の実 績として、言及する必要があるとおもう)。
 さて、この12年目のイラク・イラン戦争の検証分析もされないまま、この度、経 済制裁でぼろぼろになったイラクを、再び、米国は破壊した。今度は、国連のいうこ ともきかずしてである。引き続き英国と日本を子分にして、さらに、あくどい占領を こころみている。
 12年前のイラク・イラン戦争は、そもそも、イランの革命政権を危うんだ米国が、 フセインをそそのかし、武器も生物兵器も与えてやらかしたのではないか。イラクが 優勢になるや、今度は、イランを支持、クエート大使の娘にうその証言(イラク兵士 が、保育器から未熟児を取り出し、路上になげつけているとした)をさせ、国連には たらきかけ、多国籍軍を出動させた。劣化ウラン弾をばら撒かれ、何十万人か殺され、 追い詰められた最後、反撃として敵のクルド人襲撃になったのではないか。このとき まかれた、ガスであるが、米軍からの調達といわれていたが、青酸性のガス、クエー ト(米国?)のものともいわれている。
 つまり、一連の、戦闘行為の一環としてある無残な事例であろう。わかっているこ とは、アメリカの策謀が戦争をしかけ、実行させ、国際社会まで誘導してなされた多 大な民衆の犠牲に、なんの責任もとらないということである。戦争の責任をとるべく は、まず、アメリカであろう。そして、アメリカの策略に乗った国連の多国籍軍であ ろう。なのに、これらは、「民主主義とやらの国権」を利用して、疲弊した国の民に、 更なる経済制裁というムチをふるったのである。
 日本も共産党も、このときの多国籍軍に大賛成したそうだが、そのため、日本は多 額の金をだしたといわれている。憲法のある国の「立派な」戦争参加であろう。米国 からお咎めを受けるいわれはなかろう。
 さて、チリのクーデターは、米国のニクソン政権が強く関与していたといわれ、中 央情報局(CIA)などの政府機関の文書、1万6000点のなかには、「共産主義 者のアジェンデ政権をうけいれることはできない・・そのためのクーデター活動資金 一千万ドルが許可された」など、シュネイデル将軍暗殺事件へのCIAの関与を示す 文書がのこされている。
 アジェンデ大統領就任後は、CIAの活動は「経済かく乱活動、有力メディアへの 資金供与を通じた情報操作、反人民連合勢力への資金的支援に限定され」一部のCI A要員がクーデター計画者と直接関係をもっていたとされる。
 もちろん、こうしたことを隠蔽する資料も画策されているが、事の成り行きとあわ せてみると、真実は明瞭であろう。
 一方、ベネズエラでも、昨年4月のチャべス政権打倒のクーデター未遂事件は、C IAが、世界で実行している基本的な諜報活動に準じた「チリの秘密作戦」にきわめ て類似していることが指摘されている。
 新藤氏の「CIAをはじめとする政府機関の関連文書の全面的な公開が望まれると ともに、より根本的には、民族自決権擁護と内政干渉反対の国際的な世論を形成する ことも重要であるとおもわれる」は、まさに、急を要するものであろう。
 事件の根源を曖昧にしたまま、表面的な善悪にとらわれて、「米国ミンシュ主義」 の殺戮要員になることだけは、断固、拒否したくおもう。

 PS 現在、北朝鮮問題、テロ問題で、議論がかまびすしいですが、旧くからの方 は、双方の議論の根幹が、過去の再現とおかんじになっていると思います。高弘氏 (とどさんも)対多くの武力反対派の方々の根幹思想は、一歩もかわっていません。 私個人でいえば、当時より、知識が増えると同時に、自分の認識が恐ろしいほど、現 実化されていく恐怖をかんじています。同時に、戦争がこんなにも、易々と受け入れ られ、見事に、戦争一色に染まっていく国民の皆さんの頭と心に、恐怖をおぼえます。 日本戦争が経済システムと生活システムにからめとられるや、もう、身動きできませ ん。身動きしようという気にもならない「ゆでがえる」に、わたしは、語る言葉を失 いそうです。
 9・11を前にして、いままで、何度でもいってきたことですが、もう一度、「テ ロの根源」を、自分の頭で、一地球人として、考えてみてくださいませんか。
 そして、ここで、討論している間にも、世界各国で、命を懸けた闘いが、子どもか ら大人までの闘いが、なされているということです。今瞬時にも、理理不尽な殺戮が、 容赦なく行われているという現実をどうか、しっかりとみてください。現象ではなく、 その根源を、テロの水路を、たどっていくと、どこに行き着くのかということを。
 最後の最後に、一言、9・11テロ=米国人殺害=無差別テロという公式は、米国 大統領の青写真でるということです。アフガニスタン攻撃は、それまで穏健なタリバー ンを、極悪非道な政権とレッテルを貼り、気味の悪いブルカ女性と差別し、米、英の 大統領妻が糾弾し、女性の人権と教育を掲げ、世界でもっとも、平和にくらしてきた、 緑豊かな、小川の流れる花畑と、心優しいひとびとを壊滅しました。
 ここ200年の米国の、世界の陰謀と蛮行は、アジア、中東の人々をどれほど、苦し めてきたか。どれほど、仲間同士、殺し合いを強制されてきたか。資源があるばかり に、国土を狙われ、尊厳を奪われ、文化を奪われ、挙句、パレスチナ人のように、人 類抹殺の憂き目にあっている、何十年間の苦闘。
 私は誤解を承知であえていう。
 アルカイーダがいかなる組織か、その正当性はしらぬが、今までの米国とのかかわ りと闘いを検証し、ビンラーディンのインタビューなどとつきあわせていえることは、 米国のCIA以下ではないということである。
 その動機たるや、何十年もの間のパレスチナの虐待への怒りがあり、米国の驕りへ の激しい憤怒があるということである。ビンラーディンは、インタビューで、「米国 の爆撃は、女・こどもを区別しているか・広島、長崎の爆弾は、民間人と兵士とを区別 したのか」と、問うている。
 敵の首領は殺さぬという方針だときいたが(殺せば、交渉ができないということか ら)、何十年間の同胞の虐待は、最早限界であろう。ハマス側も、今回初めて、シャ ロン暗殺を口にした。
 CIAとも深いかかわりがあったとされるビンラーディンだが、だからこそ、その 組織、米国の底知れぬ残虐性は身にしみていたことだろう。そうした組織に抗するや りかたの究極としてアルカイーダという攻撃部隊が形成されていったのではないか・・ ・と、私はかんがえている。
 テロをみなさんが、無差別、無差別とオーム返しにおっしゃるが、無差別など、一 度もない。9・11も軍のペンタゴンと、資本の富を象徴する貿易センタービルであ る。イスラエル人1000人の働く、米国資本傘下の多国籍会社のあるビルである。貿易 センタービルも多くの謎がのこっているが、ペンタゴンは、さらに、隠蔽され、すべ ての証拠が隠滅されている。
 こうしたイスラム側の視点をいっさい受け入れぬものは、米国と国軍の愉快犯的な、 また、強盗殺戮という蛮行はゆるせても、イスラムの命の叫びには、耳をかたむけな い。
 これは、北朝鮮問題でもいえることである。
 今や、日本も、イスラムも、アジアも世界中がつながり、絡み合った糸が絡んだま ま、日常がまわっている。余りに複雑・かつ巧妙すぎて、よほど、気を鮮明にしてい ないと、米国と日本政府の謀略にまんまと乗せられ、殺戮列車に乗ることになる。
 9・11に犠牲になった全ての人々、そして、自爆テロ実行者の死を悼む。