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「イラク戦争」討論欄

第三次世界大戦勃発かーー今あえて問う米国の罪

2003/9/13 長壁 満子、40代、金融

 「米国は私やその他のものたちに好きなだけ罪状をつけた。この傲慢な空気のなか、 米国は自国の不正に抵抗する者すべてをテロリストと呼ぶダブル・スタンダードを設 定した。米国はわれわれの国を占領し、我々の資源を盗み、神の啓示に依拠しない傀 儡に我々を支配させ、これらすべてに我々が同意することを求めている。それを拒否 すれば、米国にテロリスト呼ばわりされる。
 国を占領されている哀れなパレスチナの子どもたちの行為を米国がどう決め付けて いるか見るだけでいい。彼らがイスラエルの占領に対して石を投げれば、米国は彼ら をテロリストと言うが、女性と子どもで一杯だったレバノンのカナの国連施設をイス ラエルのパイロットが爆撃したときは、米国はイスラエルに対する一切の非難を止め た。
 米国は権利をを求めるすべてのムスリムを非難するかたわら、IRAの高官を政治 指導者(殺戮指導者としてでなく)としてホワイトハウスに迎えていた。権利を求め るムスリムこそまったく哀れである。
 いつ見ても、米国は世界のテロと犯罪の指導者である。米国は遠く離れた国々に原 爆を落とすことをテロとはみなさないが、こうした爆弾は軍人だけを識別できるもの ではない。こうした爆弾はむしろ、女性・子ども・老人を含めた全国民に落とされた のであり、現在でも日本にはその後遺症がのこっている。
 米国はイラクで我々の息子たちや兄弟たちが何十万人も、食料や薬の不足で死んで いることをテロとはみなさない。だから米国のいうことには根拠がないし、我々はそ れには影響されない。                (CNN)
(クリントン大統領に向ってメッセージはあるか、と問われ)クリントンや米政府の 名を口にすると胸がむかつく。米政府やクリントン、ブッシュといった名前が、直ち に我々に連想させるものは、頭をもがれた1歳にも満たない子どもたち、手をもがれ た子どもたち、イラクで死んだ子どもたち、またわれわれの子どもたちを武器で打ち のめしているイスラエル兵の手といったものであるからだ。
 ムスリムの心は米国と米大統領に対する嫌悪で満ちている。大統領の心に言葉は通 じない。何百人もの子どもを殺す心に言葉が通じるわけがない。彼には言葉が通じな いから、アラビア半島の人民は彼に無言のメッセージを送るであろう。
 もし私があなたを通して送るメッセージがあるとしたら、それは米兵の母親に宛て たメッセージである。彼等はここに来て、軍服で誇らしげに我々の土地を行き来して いるが、一方我々の国の学者たちは投獄されている。これは12億5000万人のム スリムに対するあからさまな挑発であると言いたい。
 これらの母親たちに言うが、もし自分たちの息子が心配なのであれば、米政府の政 策と米大統領にに反対せよ。大統領が殺された兵士(あなたの息子)の遺体の前に立 ち、サウジの自由の戦士をテロリストといったとしても、騙されてはいけない。息子 たちをイスラエルの利益のためにそんな目に遭わせたテロリストは彼(米国大統領) なのだ」
 ここで、彼が「頭をもがれた1歳にも満たない子どもたち、手をもがれた子どもた ち」云々と言っているのは、単なる妄想ではなく、すでに彼の発言に何度か出てきて いる96年の「カナの虐殺」で撮影され、アラブ世界を激怒させた光景のことで、現 在でもインターネットなどで見ることができる。この凄惨な現場に居合わせたイギリ スのジャーナリスト、ロバート・フィスクは、犠牲者の遺族からアメリカ人と罵られ、 「自分を爆弾に仕込んでイスラエル人のなかで自爆してやりたい」という言葉をきか されている。ちなみにコバルト事件は、この虐殺の二ヵ月後、ウサ-マの対米宣戦布 告は4ヶ月後のことであった。       (CNN)
 「我々は男、女、子ども、老人を区別する。男は戦士であり、彼が武器を持ってい ようと、税金を払ったり情報を収集したりして我々を殺すのに強力しようと、おなじ ことである。彼は戦士である。
 ウサーマは民間人を殺すと脅しているというが、では彼等がパレスチナで殺してい るというのは何だというのか? 彼等は民間人はおろか、子どもすら殺している。
 米国はメディア操作に長けており、必要に応じて(人びとの価値の)基準を変えら れる巨大なメディアの力を持っている。すべての米国人の男は我々の敵である。彼が 直接我々と戦っていようと、税金を払っていようと同じことだ。
 米国人のほぼ四4分の3がクリントンのイラク空爆を支持しているというのを最近 あなたも聞いただろう。彼らは大統領が無実の民を殺すと株を上げ、大統領が淫蕩と 大罪を犯すともっと支持する、価値と言うことの意味が決してわからない下劣な連中 なのだ。
     (jajeera)
 ウサーマ・ビン・ラーディン  その思想と半生
                    (成甲書房)

 元・外務省専門調査員の石野氏は、本書の目的として、「おびただしい情報は、9・ 11以降爆発的に増加しているが、量が増えただけでなく、質的な部分が落ちたため、 混沌としている。この人物が何者で、これまで何をし、何を考えてきた人物であるか を紹介し、その過程で現在流布している情報をきちんと整理して提示したい」とする。
 「もともと、外務省委託の研究報告書として作成したものである」と記されている が、匿名でもあるように「反テロ」の流れのなかで、こうした本をあえて世に出すの は一種の賭けであったろう。
 そうした苦悩を示す事例が行間にあふれているのは、痛々しい限りである。
 まず、表紙「ウサーマ・ビン・ラーディンーーこの男の思想は[ユダヤ・十字軍連 合による世界支配]と[聖戦思想]の結合といえる。それは全く、稚拙なものだが、世 界中のムスリムには絶大な訴求力をもっている」にはじまり、「たとえウサーマが殺 されても、必ず誰かが後継者になり、米国への復讐を誓うであろう。世界中にばら撒 かれたウサーマの思想は、もはや回収不可能であり、これからも支持者を生み出して いいくであろう。我々にできる最良のことは、できるだけ早く、この思想を風化させ ることである」とむすぶ。
 中身は、中東を理解するために、ウサーマの「インタビューのみを」脚色を加えず に例示してみせたといいながら、「稚拙なものだが、訴求力がある」といった誹謗を してみせる。ならば、その乖離の説明はなされていない。文中にでてくる批判はたん なる、言いがかりの域をでないものである。
 そして、最後の「思想を風化させることである」には、哂ってしまう。読む人が読 めば、これほど、矛盾したことはない。悪意がなくとも、あっても、なんとも、ふざ けた表現か。風化させたければ、こんな本をださなければいいのである。「テロリズ ムの根源」ともいえるウサーマの人となりを、真実の素顔と思想に迫った貴重な資料 と見た私だが、このようにして、世論に媚び、歪曲した条件をつけなければ出版でき ないのである。ちなみに、この本は、紀伊国屋でやっとのこと見つけたものである。
 世界は、刻々と戦争拡大し続ける。人びとを置き去りにしたまま、着々と反テロ戦 争が泥沼化する。私は、共産党の緒方氏にもいってきたが、中東にいかれるなら、テ ロリズムの根源を、ビンラーディンがなぜ、民衆に支持されるのかを、考えてほしい と進言してきた。「テロ根絶」はそこのところを見ずして始まらないのである。
 何十億ドルという賞金をかけられながら、瀕しに面したアフガン人がひとりとして、 ビンラーディンをうったえない。このことの意味を考えれば、答えは自ずとでてくる のである。
 それでも、傲慢ゆでがえる人たちは、お金の価値もわからないだとか、密告でもし たら、たちまち殺されるからだとか、アホなことをいってきたが、自分に置き換えた らどうかと言いたい。
 アフガンでも、イラクでもそうだが、こうした戦時の混乱時は、人はなんでもやる のである。米軍主導といえ、略奪もあれば、殺し・それこそ自爆テロもあるのである。 自分がしんでも、家族のために、ビン・ラーディンを売ることくらいできたろう。あ るいは、タリバーンから北部同盟に寝返ったのもかなりいたという米軍情報が事実な ら、真っ先に、具体的な情報をうるだろう。
 こうしたこと一つ検証してみても、テロリズムの根源にあるものがみえてくる。自 爆テロ実行者は、自分でなく、ムスリムのために、ムスリムの未来のために、世界に うったえるために、究極の表現をする。
 石原慎太郎のテロリズムなど足下にも及ばない、「世界虐殺に抗する反撃思想」で ある。
 私は、このいまだからこそ、あえて、テロリズムの根源を問いたい。表面的な、善 悪論にこだわりたいひとは、相手にしない。時間がない。人の命はひとつである。パ レスチナ人根絶を、ゆるすわけにはいかない。日本が、イスラムの敵になることを黙 認できはしない。
 なによりも、わたしの子どもを殺人者にしたくはない。
 人も自分も殺させたくはない。