私の投稿に対するコメントを含む投稿を川上慎一さんがされています。川上さん が
>「マルクス主義においては、テロリズムを社会変革の主要な方法と して位置づけることはない」というのが私の理解です。幾人かの政治家を暗殺すると か、市民を無差別に襲うことで恐怖心を抱かせ、このことによって社会変革が実現で きるなどとする思想は少なくとも現代のまともな左翼、社会主義の中には存在しない と言ってよいと思います。
と書かれている点に私は大きな異論はないのですが、左翼・共産主義(特にスター
リン主義=左翼全体主義)と民主主義との関係については、意見が異なります。
ただ、このサイトの共産党員や共産主義者を名乗る人々の中に、市民を無差別に殺
傷する行為を肯定したり、他者の主張をねじ曲げて批判?をすることしかできない方
がいることも事実です。川上さんが想定している「マルクス主義」と、その人々と<
思想>との落差が大きくあることは私もわかります。
川上さんのことではないのですが、最低限、民主的な議論をしようと思ったら、
>1つは、その当人の書いたものをきちんと読み、相手の主張をねつ造しないこと、 2つめは自分の主張と相手の主張の相違点、論点を明確にして論理的に自説を展開す るように努める(9/7N.K無内容な「テロ否定」への批判:長壁満子さんへ)
ことをしていただきたいと思うのですが、公共の場で無差別に人を殺傷する政治目
的の行為を否定すると、11/18付長壁さんの投稿のように、それはブッシュ・シャロ
ンの無差別テロを容認することになり、ペジャワール会への米軍機の機銃掃射という
犯罪テロへの釈明を求められる!という、ことになってしまうのです。
長壁さんのような<思考>をイラクやパレスチナで無垢の人民を殺傷する勢力への
怒りのあまりのことであると大目に見られる方の気持ちをわからないではありません。
しかし、そうした批判?の仕方を惹起する<思考>が、何をもたらしてきたのかを川
上さんもご存知ではありませんか。少しでも異論のある共産党員を<反革命分子>と
して殺傷した左翼全体主義のグロテスクなメカニズム、中央への疑問は即<日和見主
義>と断罪する気風は、そのような<革命的?>で<戦闘的?>な全体主義的思考と
無縁ではないと私は思っています(その点の「社会的基礎というか経済的諸関係に立
ち入って解明すべき問題」との関係は別の機会があれば述べたいです)
さて、話は変わりますが、キューバのグワンタナモには、600名以上のアルカイダ・
タリバンのメンバーだとアメリカ軍・当局が断定した人々が、人権破壊の状態で拘束
されています。アメリカをはじめ世界の市民団体は、ジュネーブ条約やアメリカ憲法
にも違反している、この蛮行(広義のテロといって良いでしょう)をやめさせるため
に努力しています。拷問や人権無視の尋問によって中には精神状態を破壊される人も
出ており、緊急の行動が求められています。レバノンでアマル(だったと思います)
に5年間、拘禁された後、釈放された経験のある英国教会のテリー・ウェイトは、自
ら「テロリスト」に拘束され精神的危機に陥った経験もあるからこそ、こうしたアメ
リカ政府の蛮行を批判しています。私は彼のような一貫した立場を支持するし、説得
力があると思っています。アルカイダの無差別テロ犯罪を裁くことは必要ですが、
「反テロ戦争」だとか、グワンタナモで行われているような人権侵害は、「裁き」で
はなく、より悪質な国家犯罪だからです。
イギリス帝国主義支配者に対するテロとパレスチナ人の土地を収奪するという暴力
から生まれたイスラエル国家のシャロンらの政策によって、パレスチナの何百人もの
子ども達が無差別に殺されています。アパルトヘイトと同じ効果をもつ<壁>の建設
によって、ユダヤ人をゲットーに追い込んだのと同じことをイスラエル当局は行って
います。バルカン半島では敵対するエスニックの人々を虐殺しレイプするという蛮行
が行われたのもつい最近のことです。それらのことに真に対決し闘うためには、それ
と同じ蛮行を仕返すことではできません。人権侵害を肯定することで、思想的・道義
的に敗北しているのですから、結局は無力であり有害です。
天邪鬼さんの投稿は、9.11や市民を殺傷することを肯定し、<テロは革命・民族解
放戦争に有効な手段>だと主張され、民主主義や人権を普遍的なものとみなしていな
いので一貫されていると思います。ファシストと通底する左翼全体主義の確信的な信
奉者なのですから、私に対しての悪罵は理にかなっています。
ただいくつか指摘しておきたいことがあります。まず事実関係について。天邪鬼さ
んは、
>嘘付け。反戦運動は2000万人も加わっているから色々な人がいるが「無差別テロを 断じて許さないというプラカード」も、代表の話も読んだことはない。「講釈師 見 てきたような 嘘を付き」
と言われています。「色々な人がいる」ことは仰る通りです。ただ、イラク戦争に
反対することが主目的であるデモで、「無差別テロ反対」だけを掲げないのが当然で
す。私もそのようなプラカードを掲げたことも、そのように唱和したこともありませ
ん。私がイラク戦争に関わりの中では、「人間の楯」として開戦直前にイラク国内に
行かれた方がいます。その人はフセイン独裁政権の人権侵害・化学兵器使用・クルド
人弾圧に反対していましたが、イラクでフセイン政権当局者と接触する場ではもちろ
ん、イラク内でその意見を表明したり叫んだりはしていません。ここでの討論もそう
なのですが、ある団体・個人の全主張・全思想を表明する場ではない限り、何が主題
なのかに応じて、何を重点的に表明するのかは異なってくるのです。PLOの自爆無
差別テロ攻撃反対の立場を支持するからといって、POLを支援する国際支援運動の
活動家は、イスラエル軍の蛮行に体を張って抗議する時、そこで「自爆テロ反対」で
はなく「パレスチナ民衆抑圧・殺害をやめよ」をスローガンとします。
アムネスティイ・ンターナショナルは、イラク戦争に対して日本でもデモ集会の呼
びかけ団体として役割をはたしたことをご存知の方も少なくないと思います。その団
体の最近のトルコでのテロに対する態度は「断固として非難する」ものです。
http://web.amnesty.org/library/Index/ENGEUR440262003
最近、ブッシュ氏がロンドンに行った時、30万人のデモを含む抗議行動に迎えられ
たことは、皆さんもご存知だと思いますが、そのイギリスの反戦団体は次のように言っ
ています。
http://www.j-n-v.org/JNVprinciples.htm
尚、イラクで米軍がフセイン政権の元秘密警察のエージェントをリクルートし、イ
ラクを<再ナチス化>していることを具体的に示している記事も同じサイトにありま
す。
http://www.j-n-v.org/AW_briefings/JNV_briefing048.htm