今度の総選挙で、共産党は数が減ったばかりか、質も落ちてしまったようだと思わせたのが、今日の予算委員会での赤嶺氏のイラク問題に関する質問であった。イラク問題に関する共産党の主張は、23日にNHK「日曜討論」で、佐々木氏が述べた、「アメリカの軍事占領が一般民衆の反感を激しくし、それがテロリストの活動の温床になっている。その点を解決するには軍事占領そのものをやめて、国連の枠組みにかえることだ。そうしないと、根本的には解決しない」ということに尽きると思っていた。
ところが、赤嶺氏は、アメリカの占領責任は当然とした上で、「力ずくの」占領政策がテロリスト、フセイン残党の活動のみならず、イラク民衆のレジスタンス運動を引起しているというものであった。(後で、コメントしたいが何がレジスタンス運動の根拠かはまったく示さなかった。)そして、それを総理はどう思うかというのが質問の趣旨だったようだ。
微妙なニュアンスの問題なので、私の聞き違いかもしれないが、「力ずくの」占領政策というこの「力ずくの」というところに力点があったようだ。小泉首相は、イラクでの世論調査の例をあげ、6月時点と11月時点では、アメリカの駐留を望む声が増えていることを指摘した上で、共産党はアメリカのイラク駐留には賛成なのですかと、突っ込みを入れてきた。ここから後の展開は惨めだった。日頃、統計や文献を客観的事実として突きつけて論争している優等生的共産党議員は、イラクの世論調査結果など、自分達に未知の資料を出されると、たちまち動揺してしまうようだ。「アメリカ軍はイラクから撤退しろなどとは世界は言ってない」という前言を忘れて、「力ずくの」占領政策云々と繰返すものだから、再度の突っ込みを許してしまう。
そしてやっと、それは戦争を引き起したアメリカは国連が責任を持つまでは占領に対しても責任を持つのは当然であるという趣旨だといって、どうにか収める始末であった。(以上は録音を取っていた訳ではないので、不正確であればお許し願いたいが、私の受け取った印象です。)
結局は、この予算委員会で、共産党は何を主張しようとしたのか分からなかった。善意に解釈すれば、「温和な」占領政策ならば、せいぜいテロ程度で収まるが、「過酷な」占領政策だからレジスタンス運動になっている。それを総理はどう考えるかといことだろうか。議席数が減って、質問時間も半減したと思うのだが、貴重な時間が勿体無かったと思う。
イラクの状況がイラク民衆によるレジスタンスというのは、共産党にとっても新説であると思う。日曜日の佐々木氏の見解では、こちらの方が正しいと思うのだが、テロリスト活動の温床だと言っていたのだから、ここ数日の間に証拠をつかんだのだろうか。
ナチス占領下のレジスタンスについては、私は映画でしか知らない。しかし、占領政策に反対して、混乱を引起すために、無辜の民衆をターゲットにしたことは聞いたことがない。言葉の使い方を間違っているとも考えられる。
休日明けの今日のような日は、図書館などの公共施設が休みなので、私のような無職者にとっても休日であるので、国会中継を聞くことができた。共産党の質問は五時過ぎからで、私はラジオで聞いていたが、テレビ中継は五時で打切りとなったようだ。これで、共産党は少しは救われたのではないだろか。ただし、慣例によると、残余分は深夜放送に回すようだから、折角遅くまで起きて、テレビを見る党員や熱心な支持者がガッカリしなければよいが。
<管理人コメント>発言は、「衆議院TV」のビデオライブラリの11/25分で確認できます。