1、本欄での天邪鬼さんの極左主義や長壁さんの議論の混乱は問題あり
米英等の占領を一刻も早く止めさせることは、イラクと日本の人民にとっての共通の課題である。ここで問題とされている「9.11テロ」やイラク国連本部へのテロ等の自爆テロが、そうした闘いにおいて、われらの陣営を利するどころか妨害していることはほとんど自明であろう。西アジアの左翼党派が「無差別テロ」に反対しているのは、それら彼らの闘争に役に立たず、障害となっているからに他ならない。
以前、さつきさんが、自爆テロを非難できるのは現地の人民だけだという趣旨のことを述べていたが、それは自らを闘いの外におく主張ではないだろうか。
2、やつらのヒューマニズム、やつらの自由と民主主義
ブッシュは、同盟軍に対する誤爆について厳正に調査・謝罪し、遺族らへの補償を行なったが、イラクの結婚式場等への誤爆については、調査すらしなかった。ブッシュは使用すること自体が重大な犯罪行為である劣化ウラン弾をイラクに投下しながら、自らの兵士にさえ、その危険を告知・防御する義務さえ怠った。
これらがやつらのヒューマニズム、やつらの自由と民主主義である。その恩恵は、支配される側には施されることのない極めて不平等・差別的なものである。それらを侮蔑・嘲笑し、それらとは区別された支配される側のヒューマニズムや自由・民主主義を訴える事はわれわれの固有の権利であろう。そのヒューマニズムを「革命的ヒューマニズム」と呼んでやつらのヒューマニズムと区別することは、それなりの意義をもつ。
われわれは、「階級的利益」ではなく「階級的視点」でもって明らかにされた自らのヒューマニズムを「手段」ではなく「目的」として闘う。その点、democratさんの議論は川上さんに対する批判のつもりなら、少しずれているようだ。
もちろん、ここで問題にされている「無差別テロ」はわれらのヒューマニズムにも敵対するものであり、われわれは非難しなければならないし、実行者は公正に処罰されるべきであろう(もっとも自爆死した実行者を処罰することはできないが)。
3、侵略に対する抵抗と法的概念
ここで、democratさんが侵略に対する抵抗を法的概念から説明してくれているが、もう少し深める必要はないだろうか。
現代国際法では戦争や武力行使は違法化されているがゆえに、イラクについて言えば、旧政権の残存勢力あるいはイラク人民は、違法な占領者たる米英軍に対して攻撃・抵抗する正当な権利を有する。つまり、大規模な戦闘は終結したとしても、イラクにおける米英軍による占領行為は、イラク人民等にとって「急迫不正の侵害状況」に該当する。
イスラエルの違法占領についても同様だし、この場合、占領地の植民者たちは、軍人・民間人にかかわらず、パレスチナ人民のレジスタンスの対象になりうる。
もっとも、この権利があるからと言って、国際人道法等に抵触する行為が許されない事はいうまでもない。
そのことは、かつて、「糾弾権」を有する「解同」が、八鹿高校事件などで有罪となり、その暴力行為が否定されたのと同じことである。抵抗権を有するからと言ってどんな行為でも許されると考えるのは、極左主義と言わなければなるまい。
ただ、イラクやパレスチナで「急迫不正の侵害状況」が成立していると考えられる以上、実際のさまざまなテロや戦闘行為については、「正当防衛」の権利行使に当たるのか否か、また権利行使に当たるとしても、国際人道法に抵触しないか否かが問われることになる。そのような検証作業をしてみるなら、「無差別テロ」と思っていた事件が、実は「正当防衛」に相当し「容認」されるべきものもあるかもしれない。ここでは、可能性として指摘しておきたい。
なお、democratさんは「一般市民を狙ったハマスの自爆テロ」を、われわれが批判する「無差別テロ」と考えているようだが、「一般市民」という言葉に入植者が含まれるならば、私は同意しない。イスラエルの占領下にあるパレスチナ人民は、占領地において入植者を攻撃する正当な権利を有する。隔離壁の建設、ブルドーザーによる家屋の破壊、一方的殺りく等、今なお続けられているイスラエルの侵略・殺りく行為を目の当たりにして、抵抗するなという者は共産主義者でないのはもちろん、ヒューマニストでもないことは明らかだ。
democratさんが議論を整理してくれたので、私もようやく意見を述べる気になったが、実りのある議論を求めるならば、投稿者はもう少し具体的事件や事象に基づいて語るべきだろう。