イラクで日本人外交官が殺害された事件についての市田書記局長のコメントが発表 された。
「在イラク日本人外交官二名が殺害される事件が発生しました。どうしてこのような 痛ましい事件が発生したのか、現時点では定かではないが、いかなる勢力によるもの であれ、このような蛮行は許されません。犠牲となった二名の方に深く哀悼の意を表 するとともに、ご家族、関係者にたいして心からお悔やみ申し上げます。
こういう事態そのものが、イラクの状況がきわめて悪化していることをしめしてお り、自衛隊を送り込むべきでないことはあきらかです。」(『しんぶん赤旗』12月1 日)
共産党として語るべきことが語られていないと私は思う。
イラクで日本人外交官2名の尊い命が奪われた。事件の詳細は明らかではないが、
その責任は、危険な戦場へ丸腰で長期の任務に当たらせた日本政府にあることは明白
だ。亡くなった外交官たちを派遣する決定に関するすべてのことがら、その情勢認
識、着任期間や居住地、安全確保のための対策などの見直しを通じて、政府は人命最
重視の立場で、再発防止のため、その責任を果たさなければならない。
当面、このような丸腰の文民派遣はもってのほかである。だからといって、イラク
に自衛隊を派遣することは、それこそイラク戦争への参戦行為になる。改めて政府に
対し、自衛隊派兵の撤回を強く求める。
小泉首相は、自らの責任を棚に上げて「テロ」のせいにし、さらに「テロに屈しな
い」などと好戦的発言を繰り返している。政府は人命をどう考えているのか、見識を
疑う。
こうしたコメントが必要だったのではないだろうか。
先の赤嶺議員の国会での問題発言とその弁明からわかるように、現在のイラク情勢
についての党の主張は、1、国連中心の復興支援に枠組みを移し、2、そのもとで米
英が撤退する、というものである。赤嶺議員の発言趣旨は、これを具体化したにすぎ
ない。国連中心の枠組みを作るまでは、米英軍が治安に責任をもたなければならない
というのだ。
米英軍が今なお攻撃を続け戦争を終わらせていないからこそ反撃があるのであっ
て、国連の枠組みを作るにしても、米英軍の撤退が前提になるということがまるでわ
かっていない。
実際、『しんぶん赤旗』の記事もほとんどがこの立場で書かれている。少数である
が、12月1日の山崎伸治記者の記事「イラク派兵には道理ない」のように、「イラ
クの事態を解決するには、まず米英軍による不法な占領を終わらせ、国連中心の復興
支援に切り替え、速やかにイラク国民に主権を返還すること以外に道はありません」
と、米英軍の撤退を前提だと正しく主張している記事もある。
党指導部にイラク情勢についての党の方針の再考を求めたい。