ついに、本日自衛隊のイラク派兵がなされました。思えば11月終わりに外交官が殺された時に「これでイラクがどれほど危険な状況になっているのか、自衛隊が行けば必ず殺し合いになる、そのことが国民にもわかるのではないか」と私は考えましたが、その後事態はまったく逆に推移してしまいました。
小泉首相は「テロに屈するな」などと言い出し、「2人の死を無駄にしないよう」と自衛隊を送り出すきっかけにすらして、その後派兵を決定しました。「小泉はじめ日本の支配層は、どんな事態も自分の都合のよいように解釈し、実行する」そのことを痛感しました。マスコミも相も変わらず無批判にそうした物言いを垂れ流し、「なんとなく」派兵が正当化される雰囲気を作り出す事に大いに貢献していました。
これから自衛隊は何回かに分けて、最終的に1000人程度派兵されるようです。小泉首相は相変わらず「鎖国を論じていた人も、明治維新の時、全部開国になった・・・一国平和主義が良いのか、国際協調が良いのか、(幕末と)似たような国論で二分されている。いま理解して頂けない方々にも粘り強く説明して、ご協力頂けると思う」などと相変わらずズレた発言を繰り返しています。
この議論が成り立つためには、日本にとっての国際協調とは米国追随(従属)を指すということを前提にしないと成り立たないでしょう。つまり、小泉にとっては「米国追随で自衛隊を出すか、そうでなければ一国平和主義」という二択しかないわけです。国際協調の中身を議論しないと本質が見えません。靖国神社に年頭から参拝することが、小泉にとっての「国際協調」だということなのでしょう。
さて、これから自衛隊にとってイラク情勢はどうなるでしょうか。陸上自衛隊が派遣されるサマワでは、自衛隊が職をくれると思ってサマワの人々の間で過剰な期待が生まれているようです。しかし自衛隊はハローワークではなく軍隊です。サマワの人たちの過剰な期待が裏切られたとき、どうなるか・・・現地のデモと軍隊が相次いで衝突しています。自衛隊が現地市民と殺し合いをする可能性も決して否定できません。
さらに恐ろしいことは、イラクで使用された劣化ウラン弾の汚染がどの程度なのかまったくわからないことです。湾岸戦争時でさえ「従軍したアメリカ兵約70万人のうち・・・DUの影響で、1万5000人がすでに死亡しています・・・今回はその6~8倍の量を市街地で使用した」(『世界』10月号、「劣化ウラン弾は明らかに大量破壊兵器です」P113より)とのことですから、激戦地だったサマワでも当然大量の劣化ウラン弾が使用されたと見るべきでしょう(サマワのDUの状況も一部「しんぶん赤旗」日曜版で紹介されていました)。自衛隊員が被曝するのは避けられないし、どの程度に汚染されるのかは見当もつきません。
本来日本がすべきイラク「人道復興支援」とは、まず何よりもこうした実態を調査し、その情報を公開し、被曝した人々を一刻も早く治療することでしょう。そして、この戦争が何だったのか、国際社会に訴えるべきです。それこそが平和憲法の持つ国の責任だと思うのですが・・・。しかし現実はまったく逆、侵略軍の一員としてイラクの地に乗り込むわけですから、絶望の感を抱かずにはおれません。
そう考えるとこの決定(イラク派兵)は取り返しのつかないことをしてしまったとしか思えません。しかしそれはもう実行され、現在進行形で今後ますます拡大していきます。
共産党は、皆さんもおっしゃるように中央提起のイラク派兵反対の大動員はほとんどなされていません。しかし、一人一人の共産党員は、やはり危機感を抱いた人たちが立ち上がっていると思います。私の支部でも駅頭宣伝・署名活動にデモ行進と、普段加わらない人たちが何かにかきたてられるようにがんばっています。また、通勤時には、共産党が駅で宣伝している量も目に付くようになりつつあります。もちろん、この危機的情勢に比較するとまだまだ足りないとは思いますが、捨てたものではないと思います。
今こそ、私たちは小泉たちのズレた議論を徹底的に追求し、マスコミの大本営発表式の垂れ流し大量報道に対峙し、対案を示していかなければならないと思います。一朝一夕の活動ではありません。最大のヤマは平和憲法をめぐる攻防でしょう。ここに負けるわけにはいきません。これからも大局的な情勢はますます反動へ向かうでしょうが、どこかで転換するときを迎えるために、これからもがんばりましょう。