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「イラク戦争」討論欄

日本・イラク民衆の力で自衛隊撤退の実現を!

2004/4/9 酒井徹、20代、学生

(1)反戦派市民の命を楯にした卑劣な人質事件を糾弾する
 イラクで、「サラヤ・ムジャヒディン」(戦士の部隊)を名乗る組織が3人の日本人を拘束し、日本に対して自衛隊の撤退を要求した。
 拘束されたのは、市民団体・「NO!!小型核兵器(DU)サッポロ・プロジェクト」代表の今井紀明さん(18歳)・『週刊朝日』元契約記者の郡山総一郎さん(32歳)・イラクで路上生活を送る孤児らの支援を続けてきた高遠菜穂子さん(34歳)である。
 今井紀明さんは高校2年生のとき、ベトナムの孤児院で米軍の枯葉剤の後遺症に苦しむ子供たちに接し、反戦運動に加わった。特に、イラク戦争で米軍が使用した劣化ウラン弾の危険性に注目し、その製造と使用との禁止を訴えていた。今回イラクを訪問したのも、放射能汚染を撒き散らす「小型核兵器」・劣化ウラン弾についての現地調査を行なうためであったという。自衛隊のイラク派遣が現実味を帯びてきた昨年秋からは「劣化ウラン通信」を発行し、自衛隊のイラク派遣にも一貫して反対の意志を表明していた。
 郡山総一郎さんは2001年、アフガニスタンの子供たちを撮影した写真が掲載されたのがきっかけで『週刊朝日』編集部に出入りするようになり、昨年昨年5月16日にはバクダッドのルポを書くなど、戦火に苦しむアフガニスタンやイラクの現実を熱心に報道していた。
 そして高遠菜穂子さんは、これまで のべ半年にわたってイラクに滞在し、10代の孤児らの世話を中心に、医薬品の運搬などの生活支援活動を続けてきた。自衛隊のイラク派遣に対しても、「銃によって傷ついた人の前に銃を持って現れるということ自体が人道的な行為ではない」と厳しく批判。「自衛隊が来てからは、日本人とわかると敵意を示す人が増えた。握手しようと手を出すとその手をぴしゃりとたたかれたり。以前はそんなことなかったのに……」と話していたという(朝日新聞4月9日)。
 3人は決して、米英によるイラク軍事占領の協力者ではなかった。今井さんや高遠さんは、むしろ米英軍の行動や自衛隊のイラク派遣に批判的な立場である。理不尽なことにそのような人々が、アメリカを支持し、自衛隊を派遣した国の人間であるとして拘束されてしまったのだ。これは、人道的にも絶対に許すことのできない犯罪であると同時に、日本において地道に自衛隊のイラク派遣に反対して反戦・平和を訴える活動に重大な打撃を与える卑劣なテロ行為に他ならない。いかなる組織によるものであれ、僕はこのような行為を強く糾弾する。

(2)武装米兵の輸送を行なう自衛隊を撤退させよう
 政府の福田官房長官は8日夜の緊急記者会見において、「そもそもわが国の自衛隊はイラクの人々のために人道復興支援をしているので、撤退する理由はない」と発言した。しかし自衛隊は、決して「人道」的な「復興支援」のみをイラクで行なっているわけではない。
 イラクへの物資輸送にあたる航空自衛隊が、武器を携行する米兵を輸送していたことが8日、明らかになった(朝日新聞4月9日)。政府は自衛隊イラク派遣の実施要綱においては「武器(弾薬を含む)の輸送は行わない」としていたにもかかわらず、米兵が護身用として携行する武器は「武器・弾薬に当たらない」などとして、武装した米兵を輸送したのだ。自衛隊はイラクにおいて公然と米軍を支援し、米英によるイラク軍事占領支配に加担しているのである。
 イラク駐留米軍は5日から6日にかけ、首都バグダッドや同市西方のファルージャで戦車や武装ヘリを投入し、反占領勢力に対して大規模な攻撃を行なっている。この中ではモスク(イスラム寺院)に対するミサイル攻撃も行なわれ、子供を含む多くの人々が殺害された。またイラク中南部では、占領軍とイスラム教・シーア派の住民との衝突が激しさを増し、自衛隊の駐屯するイラク南部のサマワでも7日、陸上自衛隊の宿営地を狙い3発の迫撃砲が打ち込まれた。
 卑劣な人質事件によってではなく、日本・イラク民衆の連帯による大衆的な行動によって、今こそ僕たちは自衛隊を撤退させなければならない。米英によるイラク軍事占領支配反対! 日本はイラク軍事占領支配に加担するな!