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「イラク戦争」討論欄

右翼マスコミの誹謗中傷を粉砕した今井紀明君のインタビュー

2004/05/08 サザンクロス

 あいも変わらぬ右翼マスコミは、人質被害にあった人々の記者会見に噛みついて、「謝罪しないのは問題だ」と書き立てています。どこまでも恥知らずな連中です。謝罪するべきは、さんざん誹謗中傷記事を書き続けた右翼マスコミのほうでしょう。本来なら、名誉毀損で告訴されて、多額の賠償金を支払うべきところです。
 しかし、マスコミの中には、被害者バッシングに汲々とするばかりではないものもあるようです。今週の『週刊現代』(5月22日号)には、人質の中でもとくにひどいバッシングにあった18歳の今井紀明君のインタビューが掲載されています。それは、この間のネット右翼や新潮・文春・読売・産経などの右翼マスコミによる醜い誹謗中傷を根本的に粉砕するもとのなっています。いくつか、とくに印象に残った部分を紹介しておきます。

 
「武装グループに拘束されている間、自分たちが『人質』となって『自衛隊撤退』の取引に使われていたなんて、全然知りませんでした。それを知ったのは、帰国してからです。
 拘束8日目に民兵がテレビでアルジャジーラを見せてくれたんですが、そこに僕たちの家族が映っていました。彼らが僕たちを指さして、『famous people(有名人)』と言ったので、初めて自分たちのことが騒ぎになっていることを知ったぐらいです。それまでは、てっきり『行方不明』ぐらいに報じられているものと思っていました。
 今でも僕は『人質事件』というより『拘束事件』だと思っています。イラクでは拘束事件が日常的に起こっているんです。米軍によってイラク人が何人も捕まっています。それも1ヵ月も2ヶ月もの間、僕らよりひどい状態で拘束されている。彼らの家族は、僕らの家族が味わったような思いをしているんだということ、そしてその事態に日本が手を貸しているということを、多くの人に知ってもらいたいと思います。」

 自作自演説については、次のように述べています。

 「僕たちの拘束中のビデオ映像が、事件の『自作自演』説の根拠になっているんですよね? 撮影が行なわれたのは、<1日目の>食事が終わったときのことです。ビデオカメラを持った男が部屋に入ってきて、ジェネラル<民兵グループのリーダー>らが僕たちを横一列に並ばせました。それまで笑顔さえ見せていた民兵たちが、もの凄い剣幕で怒鳴り始め、僕たちを小突いたり足蹴にしたりし始めたんです。
 僕の喉元には銃剣が突きつけられ、民兵が、『No ××』と復唱するように迫ってきたんですが、言葉がなかなか聞き取れないんです。本当に怖かった。怖すぎて萎縮してしまい、叫び声を上げたり、涙を流したりすることもできなかった。民兵たちにはそれが不満だったらしく、いったん撮影を中断し、仲間内で相談してから、ますます激しく僕たちを脅しました。その時、僕たちはようやくの思いで、『No Koizumi』と呻き声を上げ、高遠さんは泣き出しました。撮影後、ジェネラルが寄ってきて、『Sorry』と謝りました。高遠さんは泣き続けていました。
 これが、なぜ『自作自演』ということになるんですか。あの状況で演技ができる人がいたら、教えて下さい。撮影前、ジェネラルが高遠さんに、『泣いてほしい』と言っていたことを、僕は拘束3日後ぐらいに知りました。その高遠さんにしても、『「泣いてほしい』と言われた意味が分からなかった。いきなりビデオ撮影が始まって、何も考えられなかった』と話していました。」

 今井君は、釈放後に日本政府の役人が自作自演説へと誘導しようとした事実を暴露しています。

 
「事情聴取を行った人は、警察庁外事課の職員だと名乗りました。名刺は『後で渡す』と言われましたが、結局もらえませんでした。
 聞かれたことは、拘束されたときの状況、犯人グループの靴、服、部屋の概要……。しかし、いま思うと、この人は僕から『自作自演』を裏付ける証言を誘導しようとしていたのかもしれません。僕がビデオ撮影の件を説明する前に、『日本では「自作自演説」みたいなものが流れているんですよ』という言い方をしたと思います。『あれは演技じゃなかったのか?』と。ここまではっきり聞いたかどうかたしかではないんですが、僕が『あんな状況で演技できるはずがないじゃないですか』って食ってかかったことを覚えています。また、こうも聞かれました。
 『犯人グループから声明文が出されたんだけど、持っていないの』
 声明文も僕たちの『自作自演』だとでも言うんでしょうか。そんなもの持っているわけないじゃないですか。」

 帰国の旅費は税金から出ているから返還せよ、という政府・右翼マスコミの言い分に対しては、次のように明確に答えています。

 
「僕たち3人は、空路は別々ですが、アンマンからの帰りの航空券を持っていました。それで帰りたかったので、そうお願いしたんですが、日本政府が用意したアラブ首長国連邦のドバイ経由で帰国することと、ドバイの病院で診察を受けるよう指示されました。結果的に報道陣から守ってくれた点で外務省には感謝しています。でも、帰国の旅費が税金から出ているから返せみたいな言われ方をされるんだったら、航空券を持っていて自分たちはその方法で帰ろうとしたことを、せめて分かってほしいです。」

 さらに、病院での診察後に、警察が意図的に「自作自演説」に沿った情報をマスコミにリークしていたことを明らかにしています。

 
「ドバイのアメリカンホスピタルで治療を受けたんですが、PTSD(心的外傷後ストレス障害)と診断されました。病院に警視庁の人が来て、1時間事情聴取されました。高遠さんは北海道県警の人に聞かれていたみたいでした。警視庁の人は、ものすごく高圧的だったことを覚えています。名前も肩書きもいっさい教えてもらえませんでした。
 警察の人たちは、『秘密は守る』と前置きして、事情聴取したんです。なのに、日本に帰ったら大手の新聞に『警察庁によると』というクレジットで、『自作自演』とか『演技』とか書かれている。要するに、予め決まった筋書きで僕たちに質問して、その筋書きをマスコミに漏らして書かせたんでしょう。だから帰国後の記者会見で、ビデオを撮られた経緯を説明したのに、翌日に『ビデオ演出認める』と一面に書かれてしまう。」

 日本での右翼マスコミによる異様な報道ぶりについて知った今井君は、次のようにその驚きを語っています。

 
「日本で自分たちがどうやって報じられているのかを、何となく知ることになったのはドバイに来た兄貴(洋介さん)から、『大変なことになってるぞ。とにかく、よっぽど低姿勢にしてなきゃダメだ』『とにかく謝れ』としきりに言われたからです。さすがにいまは家族も『謝っちゃダメだ』に変わりましたけどね。帰国して僕たちが新聞や雑誌で、どうやって報道されているかを見て唖然としました。怒りを抑える余裕もないし、とにかく『何だ、これは』という感じです。
 共産党のレッテルは貼られるわ、『自己責任』だと責められるわで、とにかく僕はそう言われる存在なんだな、と認識するのが精一杯でした。」

 政府やマスコミの言う「自己責任」論についても、次のように明確に答えています。

 「『自己責任』という論調に対して、はっきり言いたいことがあります。NGO(非政府組織)の活動を元々奨励していたのは、政府です。NGOの情報がなければ、現地で何が起こっているか報告なんてできない。マスコミも同じです。フリージャーナリストがいなかったら、日本の新聞やテレビは、戦争報道なんてできやしない。なのに、そうした活動をしにイラクに行って拘束された僕たちに、これほど『自己責任』があると責められる筋合いがあるんでしょうか。単純な理屈です。なのに、みんなこの問題を棚上げして自己矛盾に陥っている。
 日本政府は、今回の対応で国際的な評価を落としたはずです。それは僕たちが言っているんじゃない。イラクの人たちが言っているんです。イラク人のための自衛隊派遣なんでしょ? なのに、当のイラク人たちが、こういう事件を起こす。政府は、自衛隊派遣によって事件を引き起こした責任をどう取るのかなっていう気持ちはあります。」

 最後に、人質事件を起こしたイラク人武装グループについてこう述べています。

 「あの武装グループがテロリストとは、どうしても思えないんです。ただ単に抵抗している人たち。米兵がイラクからいなくなれば、何事もない彼らの日常が始まる気がする。
 拘束中にファルージャが空爆される音を聞いたんです。あの瞬間、何百人ものイラク人が死んでいるんですよ。あの現実を伝えたい気持ちは、今も持ち続けています。」

 わずか18歳でありながら、その行動力の点でも、この話す言葉の論理性の点でも、そして彼を今回の行動へと突き動かした動機の倫理性の点でも、今井君は、インターネットで悪口と誹謗中傷を匿名で書くしか能のないネット右翼や、大新聞・大雑誌という権力に守られて一方的に無力な個人を攻撃するマスゴミ人たちと比べて、百万倍も人間的に優越しています。それだけになお、ネット右翼やマスゴミ人たちは、おのれの劣等性を隠すために、今井君たちを攻撃することでしょう。彼らにはそうするしか、自分のちっぽけで惨めな醜い姿から目をそらすすべはないからです。自分たちにとって都合の悪いことはすべて「自作自演」。PTSDも「仮病」。自分の真似のできない立派な行動に対しては、「無謀」「自業自得」と罵る。
 ネット右翼と右翼マスコミのみなさん、あなたたちは本当に醜く、哀れですよ。