イラクではスンニ派の反対、武装勢力の抵抗にもかかわらず、アメリカ軍とイラク軍30万人を総動員する格好で選挙が強行された。
「初めての人々による民主的選挙」とアメリカも暫定傀儡政権も、そして日本のマスメディアも選挙の模様と「正当性」を伝えている。
しかし、なんと米軍は選挙に行かない人も半分強制的に米軍車両に乗せて投票所に行かせるまでの干渉をしている、銃剣で人々に投票を強制しているのだ、これがなぜ民主的で自由な選挙などと言えるのだろう。
それも投票結果が始めからわかっている選挙だ、そういえばスンニ派が選挙に協力する代わりに米軍の撤退時期を明確に要求したところ、アメリカは拒否したという。
アメリカはイラクの「利用価値」がなくなるまで占領を継続するだろう、そして今年後半に予定されている憲法の制定も、本格的総選挙もアメリカの銃剣の下で実行されるのだ、これがブッシュの言う民主主義であり自由なのだ。
また今回の選挙でイラク国内の分裂はより明確化する。
アメリカの庇護の下でのシーア派と抵抗を続けるスンニ派地域、そしてクルディスタンの三つである。
圧政といえ少なくともサダム・フセインの支配の下では世俗的社会としてイラクはアラブ社会では一番「開かれた国」として存在し、それなりに統一が保たれていた。
シーア派の勝利によって隣国イランの原理主義的な影響力はより強まる、しかもアラブではシーア派は少数派である、そしてアメリカはそのイランを敵対国と定めて核問題など口実にして攻め立てる。
今回の選挙でイラク・アラブ社会の混乱はより先鋭化するだろう。
先進世界で一番遅れた選挙システムを取っているアメリカの民主主義の矛盾がより克明になった選挙だったと言えるかも知れない。
イラクの平和と民主主義はアメリカ軍と自衛隊など占領軍の撤退の後、イラクの人々の本当の自主的努力によって達成される。
それまでイラクの人々の武装闘争は継続されていくだろう、そして私は占領軍と自衛隊の即時撤退を求めて闘って行きたい。
さて今日の朝日新聞で、小さくイギリスBBCの調査結果が報道されている。
昨年後半の半年で、公的病院で確認されたイラクの民間人の死亡者の62%はアメリカ軍と占領軍そしてイラク軍によるものだという。
3274人と数が余りにも少ないが、この中には武装勢力は入っていないし、また武装勢力によって殺されたイラク軍や警察官志望者は含まれていないから、民間人の犠牲者の殆どはアメリカ軍と傀儡政府国が殺したことになる。
イギリスのBBCすらこの戦争の不当性本質を報道せざるを得ないのだ、しかしわが公共放送NHKは相変わらずの翼賛報道を恥ずかしげもなく続けている。
やっぱり「くたばれNHK!」、「払うな受信料!」である。