アメリカの大々的かつ周到なイラン戦争策謀と、その原因分析らしきものをここに書いてきた。今回はその現段階報告と、今後の見通しについて書いてみたい。いつも言うように、石油絡みで自衛隊大軍派遣、9条改悪の震源地にもなりうる重大問題でもあるから。
安保理常任理事5カ国プラスドイツの会議などなどを特別に開いて話し合ってみても、アメリカの脅し策謀が全く頓挫している。中ロの反対があるからだし、西欧も含めて2カ国で話し合えと諭したりと、周囲がアメリカを必死に抑えているようだ。ライス国務長官が「有志連合でやる」と息巻いてみせても、これだけ孤立してはもう有志連合での上陸作戦は到底無理だ。スペイン、イタリアはもちろん、イギリスも下りるようだから。単独の重点爆撃ならありうるかも知れないが、国連の支持なしにイラク侵攻を強行して八方塞がりになった現在、アメリカ世論が許すかどうかと、2年後の大統領選挙が心配になっているはずだ。
確かに本年末まではまだまだ流動的で、不安な状況は続くのだろう。先回書いた「イラン石油取引所、ドル支払い以外も可」というイランの開設計画は年内が期限なのだから。
イラクで足蹴にされた国連がここに来て、常任理事国の努力も含めて見直され始めたと言えるだろう。ユニテラリズムのアメリカでさえ、もはや国連を無視できなくなったとも言える。イラク戦争から今日までの流れがこういう方向への結束を生んだとすれば、目下の人類史にとって素晴らしいことではないか。
にしても9条がありながら国連で何もできない日本政府は情けない。アメリカと同額ほどで、ダントツ2位という拠出金を出している国なのだが。いや、9条改訂のためには、多少もめた方が良いと考えているのではないか。今はむしろ軍縮の時とも見えるのに、困ったことだ。