左翼の反米は2・26事件の将校や三島由紀夫の反米ではな
い。そして、左翼はアメリカこそが民主主義国や自由主義国で
ある前に男性中心主義のバックラッシュの国であることを理解
すべきである。アメリカは政治参加が許されないイスラム国の
女性の地位を更に押し下げ、暴力と戦争と破壊を強要した。故
に弾劾されるべきなのだ。ファシズムや男性中心主義の価値観
を守るための反米があるならばアメリカの中にこそ、そのよう
な価値観は存在するのである。
ポルノ・性産業が氾濫する状況と宗教的禁欲主義を比較して
どちらが良いかではなく、どちらの場合でも男性の意向のみで
女性の身体支配が決定されるなら、両者の本質は同じであると
考えるべきである。
民主主義を掲げる者の反米や反ブッシュは反民主主義や反自
由主義の立場とは全く無縁であるし、そのような価値観は彼ら
に敵対するものだ。アメリカや日本で進行しているものは社会
のファシズム化なのである。殺戮者アメリカのタリバン政権の
打倒は無駄どころか、アフガン女性を更に困窮化させ、有害な
結果をもたらしただけであった。
アフガニスタンコラムby川崎けい子
http://office3way.com/koramu.html
より転載抜粋
投石による公開処刑は、タリバンの時代にしばしば行われてい ましたが、残念ながら、カルザイ政権になってからも行われて います。圧倒的に男性が権力をもつ社会では、男性の言い分だ けが通り、女性は命を守ることもできません。これは、男性と 女性の関係のみならず、権力をもつ者と持たない者がいた場合 、権力を持つ者が持たない者の生存権を握っているという残酷 な事実をよく示していると思います。
性教育ニュース 【03/02/11】
アメリカの禁欲主義教育とわが国の性をめぐる諸問題
http://www.seikyokyo.org/news/news_05.html
より抜粋転載
・アメリカにいま何が起こっているか [石井澄江]
石井澄江氏は昨年12月にタイのバンコクで開かれた第5回ア ジア太平洋人口会議に政府代表団顧問として参加した。この会 議は、国連が10年の一度の割合で開く国際人口開発会議に先立 ち開催される地域会議の一つである。1994年のカイロ国際 人口開発会議で合意を得たリプロダクティブヘルス/ライツの 進捗状況を検証するために、アジア・太平洋諸国を一堂に会し 開催された。
この会議では、アメリカ・ブッシュ政権の反動的な姿勢が露 わとなり、各国代表団を唖然とさせる事態となった。もともと 国内の宗教的保守派(プロライフ派)を支持基盤とするブッシ ュ政権は、大統領就任当初より、「人工妊娠中絶に直接または 間接的に関わる活動をしている団体には政府は1セントもお金 を払わない」「文句をいう団体はその口を閉ざさせる」という 方針をメキシコシティーで発表していた。この考えが、アジア 太平洋人口会議でも露骨に示され、リプロダクティブヘルス/ ライツに正面から反対し、会議を混乱に陥れた。国際的に承認 されていたはずのカイロ行動計画を反故にし、国連の正式文書 からリプロダクティブヘルス/ライツの文言を削除しようとし たため、各国代表団と全てのNGO諸団体の猛反発を受けるこ とになった。
アメリカの言い分は、「リプロダクティブヘルス/ライツは 中絶を推進する言葉であるから反対する」というものだが、こ れはアメリカの勝手な解釈に過ぎない。むしろカイロ行動計画 では、「いかなる場合にも妊娠中絶は家族計画の方法として推 進されてはならない」と明記されており、アメリカは正式文書 に書かれていない文言を勝手にでっち上げて、自分たちの主張 を通そうとする理不尽な対応をとった。
アメリカのこうした姿勢に日本政府が応じないようにするた めに、国内のNGO44団体と超党派の女性国会議員48名が連名 で政府代表団に対して出発前に強く要望していた。このため、 日本はカイロ行動計画の支持を表明するにいたった。会議でも アジアの全ての国が、それこそイスラム諸国から旧ソ連圏の国 々も含めてアメリカの強引な価値観の押しつけに反発し、その 後の公式文書でも、アメリカ一ヵ国だけが反対し続けたことが 明記された内容となった。ブッシュ政権の破壊的な政策はカイ ロ会議や北京女性会議などの成果を踏みにじるものでり、警戒 が必要である。
・性的自己決定力を育てる教育と禁欲主義教育[村瀬幸浩]
代表幹事の村瀬氏からは、性教協の立場と最近のバッシング の背景について報告された。
性教協は、「科学・人権・自立・共生」を基本理念として設 立された民間教育研究団体であり、官制の組織ではない。子ど もたちに、性的自己決定力をつけるために努力している実践者 団体だ。
ブッシュ政権の禁欲主義の方針と少数者の排除の傾向は、ピ ューリタニズムの伝統がアメリカに復活したことを示している 。しかし、文化的土壌の違うはずの日本にも、その影響は出て きている。それは、女性の自己決定を押さえつけ、女性の性的 主体性を忌み嫌う男権意識となって現れている。
『ラブ&ボディ』の回収理由はピルに対する異常なこだわり が原因であったし、昨今のジェンターフリー教育や男女共同参 画社会への敵対意識、援交少女への罰則規定などの一連のバッ クラッシュの動きは、まさに明治以来の男権主義の復活と言う べきである。
性教協は、他者の自己決定権の尊重を踏まえた性的自己決定 力の育成を目指すものであり、「性交推進教育」だの「自分勝 手な性行動を奨励する」などという右派メディアの批判は中傷 でしかない。しかも、『産経新聞』や『週刊新潮』は、判で押 したかのように高橋史朗氏という統一協会系学者の文章やイン タビューから記事を構成しており、メディアとしての取材姿勢 も貧困である。