左翼がイスラム圏の労働者と共闘する場合に、イスラム
圏を同質なものとしてひとくくりにする危険性は避けねばなら
ない。それは、社会的矛盾と闘う第三世界の労働者との連帯を
損なうものとなる危険性がある。
他国の伝統を尊重するのは良いが、イスラム圏に限らず、朝
鮮半島北部からギニア湾に至るまで第三世界では経済の立ち遅
れが女性に男性以上の負担がかかっていることは認識しなけれ
ばならない。
人類の半分は女性であり、世界の国の大半は第三世界なのであ
る。同じ第三世界でも声を上げられる男性はまだいいだろう。
未だに世界の半分に政治に参加し、物言うことを許されぬ女性
がいることは忘れてはならない。そして、アメリカはポル・ポ
ト、北部同盟をはじめ自分達が掲げているイデオロギーとは正
反対の主張をするものを支援してきたことも。
現在、日刊ベリタの記事によると、イスラム圏では次のよう
な動きが起きている。
通い婚容認のファトワに湾岸女性が反発 「家庭の基礎損な う権利侵害」と
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=200605100339253
より抜粋転載 (貼付開始) 中東のネット紙ミドル・イースト・オンラインによると、メ ッカの世界イスラム連盟(通称ラービタ)のイスラム法学学会 は4月12日、「ミスヤール」婚として知られる居住と金銭の 権利を女性が放棄する形で行われる婚姻形態を許可する決定を 行った。「ミスヤール」という語はアラビア語の湾岸方言で「 訪問」を意味し、夫婦が同居ではなく、夫が妻を訪れる形の結 婚の意味に使われている。
同学会は、住居が無く収入も十分でない夫婦のために二種類 の結婚契約を承認した。一つは、妻が住居や生活費、共同生活 の(権利の)全部又は一部を放棄し、夫が昼夜を問わず好きな 時に妻の自宅を訪れることを容認する契約で、もう一つは妻が 実家に居住し、夫妻が望む時に実家または他のどの場所でも会 うことができる契約だ。この二つの契約やそれに類するものは 、結婚の諸条件を満たし、反対理由がなければ有効と同学会は 裁定した。
▼女性の悩み深くなると批判
しかし、クウェート人女性活動家ルーラー・ダシュティー女 史は、「ミスヤール婚には家庭の基礎と安定を損なう要素がる 。また妻が放棄する諸権利は、安定した家庭を築く基礎だ」と 批判。「まず政治、開発、社会面での対策を講じるべきで、婚 期を逸する女性の増加問題の解決を口実にして女性の権利を減 らすミスヤール婚のような易き道を選ぶべきではない。普通の 男性と結婚した女性でさえ離婚する際に多くの問題に悩むのだ から、ミスヤール婚によって結婚した女性の悩みはどれ程にな ろうか」と反論する。
湾岸経済連盟の会長であるダシュティー女史は、先を競って 女性の権利に反対する長老たち、特に政治的宗教界の長老たち を強く批判した。
さらに同女史は「そもそも問題が湾岸諸国において深刻化し ているのはなぜか」と問いかけ、「アジアやトルコの一部のイ スラム社会に暮らす女性は、このような問題に苦しんではいな いし、地中海沿岸のマグレブ諸国でも問題はより軽微だ。女性 とその権利に関する最大問題は、アラブ世界東部、特に湾岸諸 国に存在する」と説明した。
同女史は「光栄なる宗教者たち」と名づける人々に対し、女 性が過激で遅れた思想と対峙するために支援するよう呼びかけ た。
一方、バーレン拡大女性委員会のガーダ・ジャムシール委員 長は、「この婚姻契約はイスラム法的に正当なものだが、それ でも私はミスヤール婚や(シーア派に於ける)快楽婚に賛成し ない。理由は女性と子供の権利が侵害されるから」と語り、「 私は夫婦が生涯共に暮らす普通の婚姻を正しいと信じる。女性 運動やリベラル派、知識人、及び自由を信奉する全ての人は自 由全般を、特に女性の自由を、防衛するために活動しなければ ならない」と語る。
アラブ首長国連邦(UAE)在住のイラク人宣教家アフマド ・クバイシ師は、「所謂ミスヤール婚は、自分の尊厳を大切に 考える女性が受け入れない『悪い』ものでありながらもイスラ ム法的に合法である」と言明した。