このたびの「連邦か独立か」をめぐるモンテネグロの国
民投票の結果、独立派が勝利し、コソボの分離も促進され、チ
トーによって統合されてきたユーゴスラビア連邦はほぼ完全に
解体する見込みと報道されている。
かつて統一されたユーゴスラビアは、ソ連のスターリン独裁
に従わず独自路線を追求し、その共同組合的な労働者自主生産
指向を明確にして、全世界の人々に未来社会への希望を抱かせ
る国だった。
しかしチトーの死後、この国は各民族・各宗教が独立志向に
走り、セルビアを悪者に仕立てて「民族浄化」なる不毛の構造
のもと、同じスラブ系でありながら、クロアチア、スロベニア
、ボスニア・ヘルツゴビナ、セルビアモンテネグロ、マケドニ
ア、そしてコソボ、また隣国アルバニア系と分裂してしまった
。
文字通り「世界の発火点」といわれた「バルカン」に逆戻り
したのだ、それは欧米で進むEU化とは別の方向に突っ走って
いるのである。
そしてコソボなど紛争地には依然としてドイツ軍などNAT
O軍が駐留し、独立どころか半分占領状態となっているのが現
実だ。
そしてごく一部の国を除き、分裂時各々の人々が願った経済
的復興も国内の安定も得られず、分裂時の民族浄化的な愚考が
より定着してしまったのである。
さて、アメリカの占領下のイラクにやっと国防省、内務省と
いう政府の中核部分が未定という、ゆがんだ正当政府が成立し
た。
形だけのアメリカ傀儡政権、机の下ではそれぞれが脚でどつ
きあっている政権である。
そして正式政府の成立によって、より各民族、各宗派、そし
て軍団の対立が深まっているという。
アメリカの侵略占領によって解体・傀儡化したアフガンの矛
盾もより深化している。
これらはほとんどユーゴスラビアの解体とよく似たものだ。
アメリカの武力による「民主化」が、サダムフセイン統治下
の世俗的支配よりはるかに低レベルで人々を破壊に導くもので
あることが、証明されつつあるのだ。
全世界でイラクからの撤退の行動が継続的に闘われている、
私たちもイラクからのアメリカ軍の全面撤退と、自衛隊の即時
撤退を、より一層求めて行こう。