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「共産党の理論・政策・歴史」討論欄

原子力の問題について

2006/10/09 日本国憲法擁護連合 20代 自営業

 PINKOさんの問題意識は、とても重要だと思います。
 これまて゜日本共産党は、民主的・平和的な原子力であればよいという路線で、原発反対派の日本社会党・原水禁に対抗してきたからに他なりません。

 私なりにこの問題を掘り下げたいと思います。

まず、第一に、「民主的・平和的」利用ならよいのか?
という問題点です。
 つまり、この言い方は、日本共産党の政権、ないしは、日本共産党の参加する民主連合政権であれば、民主的だから原子力は平和的利用になるのでよいといっているに過ぎないのです。自民党は、資本の立場で軍拡を推進するだろうから、ナンセンスだというわけです。

では、第二に「平和的利用」ならよいのか?
 これは、中国の核武装・原子力利用の際に、米ソがこぞって国連で反対を呼びかける時代に、日本共産党は、帝国主義の軍事力から防衛するためには、社会主義国の核武装は必要だとして中国を支持し、いかなる国の核兵器も反対としてきた原水禁運動を分裂させた原水協の運動にも直結している問題です。日本共産党は、原子力の軍事力利用を禁止し、民主的に開かれていればよいとしているが、そんなものは、いつでも反故にできるわけです。なぜならば、平和利用に転換させるとする民主連合政権がずっと継続するとは限らないからです。
 また、そもそも平和利用というが、原子力発電をもつ国はほとんど核武装化しているわけで、各国が原発を推進した本当の狙いとは、核兵器製造のためのウラン濃縮を自前で行わなくてはならないから、原子力発電という建前を設けてきたにすぎないということが本質なのです。そのへんを日本共産党は、知っていながら隠蔽するわけです。
 つまり、日本共産党は、帝国主義の核武装に備えるためには、社会主義国の核武装は必要だという論を捨ててはいないわけです。
 でなければ、原水禁運動を分裂したままにしておくはずがありません。

第三に原子力は安全か?
 日本共産党は、原発の平和利用を主張していますが、原発そのものが安全かという問題に対して、過剰な市民運動が非科学的なことをいっているに過ぎないと反対派を牽制しているほどです。
 しかし、原発関連労働者の被爆は通常以上であり、癌や白血病になる確立は通常以上といわれています。詳細は割愛。
 しかも、原発はウランなどの廃棄処理物という問題を抱え込むことになります。このへんの矛盾を日本共産党は答えられないのではないでしょうか?さらに、ソ連チェルノブイリの原発事故はそうとうなものでした。これがソ連の科学信仰の自信喪失となつてソ連崩壊の遠因になったともいわれており、日本共産党の原発安全神話も突き崩すものになっているのではないかと思われます。日本共産党は、チェルノブイリをソ連批判の一つとして批判はしますが、原発は安全だという神話が崩れたことについては、本質的に答えられないのではないでしょうか?また、アメリカやフランスなどでは、原子力事故もおきていて、原発推進政策を破棄しだしています。もっとも、両国は核武装はすでに整っているから原発にこだわる必要がなくなったといえるでしょうか。

結論と論議
 日本共産党は、原発は核武装化には使用させない、平和利用であればよい、民主的政権であれば、軍拡に使うことはないと主張していますが、まず以上あげた三つの疑問をクリアはできないと私は認識しています。とくに、民主連合政権だろうが日本共産党が政権を握ろうが、原子力は核武装化に使用されるという本質的問題をクリアできていないということと、原発は安全ではないという本質をクリアできないからです。というのも、まず第一に、日本共産党は、帝国主義から防衛するためには社会主義の核武装は必要だという見解を示した過去があるからです。結局、共産党の政権になった場合、帝国主義から防衛するためには、核武装も必要だとなる可能性が高いということです。中国やソ連とは我々は別だと主張したとしてもです。むしろ、核武装はナンセンスなのだ、帝国主義のもっともいびつで許しがたいものの一つとして核武装があるのだ、世界の人民は核武装をやめさせるよう大衆的に包囲しよう、こういう路線を主張しなくてはならないのが、本来のマルクス主義なはずです。しかし日本共産党は、科学的・民主的・平和的であれば原子力は推進されてよいなどと朗らかに主張してきました。一方で、原水禁運動を分裂させながらです。第二に、いくつかの帝国主義国でさえ、原発は安全とはいえないとして、原発推進政策をあらためているからです。本質的にいえば、核武装化が終了している国がおもでしょうか。第三に、民主連合政権や日本共産党がいう政権の具体的中身とは、二段階革命路線・ブルジョア民主革命の達成に他ならないのですから、社会主義ではないわけで、帝国主義段階を終了させたとはいいきれないわけです。もっとも日本共産党は日本が帝国主義だという認識は欠如しているようですが。しかも、仮に共産党も参加する「民主的」な政権ができたとしても、それは資本主義つまり帝国主義の枠内の政権であるゆえに、本質的に原子力の民主的・平和的利用が可能なのかという問題もあります。政権交代されれば、どのようになるのかという問題もあります。第四に、そもそも民主連合政権から社会主義段階へというような、二段階革命など果たしてありえるのか?ということです。この規定にそって、日本は科学的・民主的な体制になるから、原発は平和利用として使えるのだというのは、極めて空想的だと私は考えて成りません。
 そもそも、ソ連のチェルノブイリの教訓を知らないはずもなく、広島長崎の原爆を経験している日本が、原発政策を推進するのは、ナンセンスではないでしょうか?