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「科学的社会主義」討論欄

吉野傍さんの「耐久消費財と失業問題、他について」について

2000/1/3 浩二、40代

 2000年1月1日付、吉野傍さんの「耐久消費財と失業問題、他について」に対して、いくつかレスします。

 耐久消費財についてはこちらにも誤解があったと思います。パソコンを例に持ってきたのは私でした(^^)。ここから誤解が生じたのだとすると悪いのは私です。すみません。ただ、個人的所有といった場合、なら何をどうイメージすればいいのか? というあたりがよくわからないのです。それで安易な例を持ち出してしまいました。これからしばらく、吉野傍さんの投稿を読みつつ理解できればいいなと思いますが、もし可能であれば、その前に、耐久財以外の消費財を使ってイメージしやすい例を書いていただければありがたいと思います。
 資本主義下における長時間・過密労働が強制、不況。こうした問題が計画経済のもとで解決できるというのであれば、私も素直に賛成できます。けれど、少なくともソ連の場合はまったく解決されていなかったと思います。失業はなかったはずなので、失業についてだけはいちおう解決できていたとは思いますが。
 吉野傍さんは「ソ連は社会主義ではなかった」と判断されています。だから、計画経済の例にソ連を持ってきたのは、これまた例として不適切ですが、ではソ連(またはソ連型の計画経済)が社会主義でなかったのはどうしてでしょうか? いくつか理由をお聞かせいただくとありがたいです。
 資本主義と社会主義の比較はどうも水掛論になってしまいそうでこれ以上立ち入りません。「証明せよ」についても証明できるほどの材料がありません。全体として「資本主義の方がいいのだ」という内容を持った投稿をしておきながら、さっさとシッポを巻いて逃げてしまうのはなんとも情けないですが、ただ、一部の先進資本主義国に富を奪われている多くの国が、なぜ一丸となって社会主義を展望しないのか、あるいはできないのか。そこが私としては不思議です。なぜでしょうか? ソ連型社会主義はいやだという共通の認識があるからなのでしょうか? それとも社会主義勢力が力で抑え付けられているからでしょうか? 何かお考えがあればお聞かせください。
 「クルマによって生じている大量の交通事故や交通事故死者」については、資本主義か社会主義かという問題とは直接関係ないと思います。「社会主義国=クルマを使わない社会」であるならともかく、資本主義国で起きている現象のすべてが資本主義「ゆえの」問題とは思えません。

浩二さんは、資本主義のどんな悲惨さを提示されても、心が動かされることはけっしてなく、旧「社会主義」国についてはいつでも悲惨な例だけを取り上げる傾向にあるようです。

 「心が動かされることはけっしてなく」というのはちょっと誤解ですが、旧「社会主義」国に対しては、今後も積極的に悲惨な例を取り上げようと思います。悲惨でない例としては失業がなかったくらいしか思い付かないからです。それに何より、旧「社会主義」国は、資本主義が悲惨であるからこそ生まれたはずだからです。旧「社会主義」国はなんとしてでも生き残り、資本主義国に対してその優位性を示さなければならないはずでした。実際に何をやったかというのはさておき、レーニンが理念としたものは私も理解できるつもりです。

新しい社会システムを模索する努力

 これ自体を否定する気持ちは私にもさらさらありません。「新しい社会システム」は社会主義とは必ずしも同義ではないと考えるからです。

先進資本主義国の豊かな生活の中にしか想像力が及ばない人々は、新しいより人間的なシステムを求める人々の試みを嘲笑し、そういう人々を狂人扱いすることでしょう。しかし、私たちは、そうした嘲笑する人々をこそ静かに軽蔑し、社会変革の事業に邁進することでしょう。

 これまた、「新しいより人間的なシステム」は、必ずしも社会主義、あるいは計画経済と同義ではないと思います。
 今すぐにとは言いません。「より人間的なシステム」としての計画経済がもし可能でその全容が明らかになるなら、私もその方がいいと思います。資本主義はどう転んでも金のある奴が勝ちという社会です。アメリカの横暴には腹を据え兼ねます。おそらくこうした大きな枠組みを変えたいという点では違いはないと思います。けれど、市場経済との対比で示される計画経済は、結局は個人の自由を抑圧した上でしか成り立たない経済だと私は思います。貧乏したって自由な方がいいぜ。これが、しぶしぶながら、現在の世界の大勢が資本主義で動いている理由だと思います。しかし、個人の自由と両立する計画経済こそマルクスが理念として展望した経済のあり方だと思います。それをこれからの吉野傍さんの投稿で感じることができるかどうか、おおいに期待しています。けれどわからない点は遠慮なく質問します。どうぞお許しください。