1月4日付川上慎一さんの「ソ連社会主義を考える(3)」の一部について、考えていることを書きます。
この引用で著者は、「社会主義へ前進する最低限度の可能性を有した」と規定してはいるものの、ソ連を社会主義であったとは規定していません。
ここが最大の問題だと思います。社会主義とは「市場経済の廃止~土地、産業の国有化」。要するに土台=下部構造の革命的転換です。これなくして社会主義はありえないと、かの上田耕一郎も言っているところのものです。「市場経済の廃止~土地、産業の国有化」は社会主義の最低条件、かつ根本条件であり、しかしこれは、ソビエトが実際にやったことです。では、なぜ、このような根本的な経済的転換=土台=下部構造の革命的転換をやって『さえ』、「本来の社会主義」にならなかったのか?
私は、マルクスの唯物史観が間違っていると思います。土台=下部構造(=経済構造)が、けっきょくはすべてを決めるのだと、こういう単細胞思考(あえてこう言い放ちます)が敗北したのだとしか、私には思えません。
下部構造を変えれば社会は変わる。こういう教えがマルクスによって与えられました。これをそのまま信じて、しかし、完璧に失敗したのが、20世紀の歴史だったと思います。その典型的な例がポル・ポトだと、私は認識しています。
この「教え」はけれど、強烈なインパクトを持っています。この「教え」は、それまで顧みられなかった民衆を歴史の前面に押し出しました。これがまさに躓きの石となったと思います。そして、この「躓きの石」が無数の良心的な民衆をとらえました。この、「良心的な民衆をとらえ」た功績だけが、マルクス主義から受け継がれるべきものと思います。けれど、マルクス主義の「中身」は、受け継がれるべきではないと思います。