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「科学的社会主義」討論欄

物事には順序と順番がある

1999/12/3 吉野傍、30代、アルバイター

 また本題の議論を中断して、浩二さんに答えなければなりません。

「初めに確認したいのですが、共産党=前衛党であり、政党として認められるべき唯一の存在であるとしたのは、スターリンではなくレーニンであり、レーニンの前衛党の考えを党の基本的な考え方にしているのが日本共産党です」。

 前衛党というのが、つねに真理を知っており、何でも答えを持っていて、それを人民に教えるだけの存在である、という観念こそスターリンの前衛党論だと私は言っているのです。また、「前衛党が政党として認められるべき唯一の存在」だとレーニンがいつどこで言ったのでしょう。ソ連では内戦の結果として一党独裁になりましたが、それが前衛党の基本的あり方だとレーニンがいつどこで言ったのでしょう。少なくとも日本の党は一党独裁を否定しています。また日本の共産党がレーニンの前衛党の考え方を基本にしているというのも間違いです。わが党は、残念ながら、レーニンではなく、スターリンの考え方を基本にしています。この点については、これまで繰り返し、げじげじさんとの論争で主張してきたことです。私はそのような前衛党論を共有していません。したがって、それを前提にして、議論をされても困ります。

「前衛党である日本共産党は、綱領路線として明確に社会主義を展望しています。であるなら、その具体的な中身はいったい何なのか?、ということは、自らの責任において明らかにしなければならない道理だと思います」。

 日本共産党としては明らかにしていますね。『日本共産党綱領』と『自由と民主主義の宣言』、その他、不破委員長や上田耕一郎が書いている多数の書物をお読みください。しかし、私は別に共産党を代表しているわけではありません。共産党の公式の考えを聞きたいのなら、共産党中央に質問するか、共産党が出している文献をお読みください。

「科学的社会主義を理論的柱としながら、では具体的に本来の社会主義とはいったい何なんだと聞かれたら、『もっぱら他人(共産党員)に何か完成された、100%納得しうる答えを求めている』といって、そんなこと聞く方が悪いかのように言われる。だったら科学的社会主義という看板は取り下げたらどうでしょう? 」

 誰も「聞くほうが悪い」などとは言っていません。私は、共産党の公式見解では見落とされている「個人的所有の再建」命題をめぐる論争を紹介することを、この間の投稿の主要任務にしています。その課題の範囲を大きく越えた質問を今されても、困ります、と言っているだけです。「本来の社会主義」とは何なのか、という実に根源的なレベルでさえ、完成された答えが存在しないことこそが、科学的社会主義を「科学的」たらしめているものです。それが絶対的な宗教なら、それこそ、「定説」だの「天声」だのといって、すらすらと答えが出てくるでしょうけど。そういう、すらすらと確信を持って答えてくれることを期待して質問しているのだとしたら、それこそ、宗教的であり、またスターリン主義的ではないのですか? 私のこの間の投稿は、「本来の社会主義」について科学的討論をするべく、まずもって、その初歩の初歩である、マルクスその人の見解について吟味しようとしているのです。その初歩的水準での議論をやっている時に、ソ連の崩壊の原因を明らかにし同じ過ちを繰り返さない具体的な制度的保障を提示せよ、と迫るような議論の仕方がおかしいと言っているのです。

「本来の社会主義をめざす上で、いったいどのように生産手段の所有権の移動をなしとげる構想なのか? それはそもそも可能なのかどうか?  ここが提示されないまま『本来の社会主義』を何度叫ばれたところで、私には机上の空論にしか聞こえません」。

 物事には順序がある、議論には順番がある、と繰り返すしかありませんね。あなたの質問は、相当に高度なレベルでの問いです。このことの解明に向けて、すべての党員(および支持者や、他の党派に属する社会主義者、無党派の社会主義者も)が知恵を出し合い、議論をし、解明していかなければならない、21世紀の大課題です。その第1歩として、私はとりあえず、マルクスその人の社会主義象について、所有論のレベルでの議論を紹介しようとしているのです。こうした大問題について、あたかも最初から真理がわかっているかのごとく、ぺらぺらと答えを出してほしいと願っているのなら、それこそ「科学」も「討論」も必要ありません。私があなたの議論姿勢に対して抱いた疑問は、そういうことです。

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