投稿する トップページ ヘルプ

「科学的社会主義」討論欄

私たちをとりまく現実は……

1999/12/5 川上慎一、50代

● テレビ朝日の「朝まで生テレビ」(テーマ:「リストラ」11月26日放映)を見て
 出席者たちの中に労働者代表といえるのはだた1人「連合」の幹部だけ。ほかは資本家や資本家御用達の学者たちと亀井静香政調会長など。
 だれもが現在の不況はかつのて不況とは違う、という。すこし待てば何とかなる、よくなるというようなものではない、という。
 自殺者が年間3万人を超え、そのうち現在の不況と深いかかわりのあるものが1万人。毎日30人ほどが倒産、リストラ、解雇、失業のためにみずから命を絶つ。
 それでも、みんながリストラを正面から肯定はしないものの「やむを得ない」という。それをしなければ企業が生き残れないかららしい。資本主義が生き残るためにはそれが必要だということらしい。
 大学を卒業しようとする学生に職がない。出席していた大学教授は「問題意識を持っていないからいけない」という。職が見つからないのは「問題意識を持っていない学生」が悪いらしい。高い失業率を解決するために、ハローワーク(職業安定所)を土日も開くようにと、別の大学教授が主張する。求職者数に対して求人数が少ないことをどうしようもないこととしてだれも指摘しない。
 資本主義はそこに生きる人たちに仕事さえ与えることができない社会らしい。そして、こよなく資本主義を愛する人たちが集まっても、だれ1人としてこの経済的現実から抜け出る道を示せなかった。いま、資本主義はこういうところにきている。
 政治家としてただ1人出席していた亀井氏は、弱者への保護を説き、優勝劣敗には反対だという。自民党の政治家が、である。20世紀はマルクスレーニン主義、トロツキズムなどで悲惨な体験をした、と彼はいう。資本主義の行く末についての政治家としてのある種の予見である。

● 朝日新聞記事「アルバニア人売春婦急増 3万人マフィアの収入源に」(1999年12月4日夕刊)から
 イタリアには1万5千人、西欧全体で約3万人のアルバニア人売春婦がいるという。大半が14歳から22歳。1回の相場は約5400円。コソボ紛争が武力衝突に発展して以来急増したという。ブリュッセルの飾り窓に立つくだんの女性の半裸の後ろ姿がカラーで写っていた。ベルギーでは「強要による売春は禁止している」というから、そうでなければ、この「職業の自由」を認めているらしい。資本主義は本当に自由だ。他人の労働をわがものとすることを認めるシステムの否定以外にはない。
 アルバニアも旧ユーゴもそれほど豊かだったとはいえないにしても、人間としての尊厳がここまで傷つけられる社会だったとは思えない。旧ソ連、東欧諸国の社会主義が崩壊したあとにもたらされたものは何だったか。

 この欄に投稿する私の現状認識としてはこのようなものがあります。