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「科学的社会主義」討論欄

倫理、価値、社会主義、理論(科学)の再結合

2001/4/4 三郎、50代

 「科学的社会主義」という言葉がありますが、「社会主義」自体は「科学」ではありません。なぜなら、先にも指摘したんですが、社会主義とはなによりもまず「価値」を意味するからです。すべての社会主義思想家は、マルクス自身もふくめて、社会主義的な価値から出発して、彼の社会主義思想を形成し、それと結びついた社会科学・歴史科学を構築していったんだと思います。
 しかし、その作業の根抵にあったのは、社会主義的な「価値」だと思います。この「価値」は「倫理」と不可分に結合しているはずです。「倫理」とは、言うまでもなく、モラル的な「善」「悪」の問題です。現に存在する社会の在り方に対する倫理的な憤激が、彼の社会主義的な「価値」と結びついていたはずです。マルクスの場合もそうだったでしょう。
 マルクスの社会主義思想は、カール・マルクスという主体をにない手として、独自のかたちで、倫理、価値、思想、理論の結合が生じることによって、生まれたと言えるでしょう。しかし、それは、19世紀中葉という時期、そして当時のドイツ西部や南イングランドという地域という限定された時空間でのことでした。
 21世紀を迎えたいま、時代は大きく変わっています。グローバリゼーション、ポスト工業社会への移行、近代主権国家の転形。これらはいずれもマルクスとマルクス主義の射程を大きく超えた構造的な歴史変動です。
 いま社会主義思想にとって必要な課題は、倫理、価値、思想、理論の再結合を新しい時空間のただ中で遂行することでしょう。その際、マルクスをふくめた、19世以来の古典的な社会主義思想は十分尊重する必要があります。しかし、同時に、それらの限界を確認しつつ、新たな発展を企てる必要があります。